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東京から人が消える。――二十五日働いた者だけが消失する現象を追う特別班の記録  作者: 竜太郎


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残った清掃員・夜の記録

品川の朝、特別班へ一本の通報が入った。毎朝同じフロアを清掃していた女性が残る。勤務回数は百日を越えるが、対象会社の業務には参加していなかった。 会議の最後に確定、推定、不明を三列へ分ける。現象へ名前を与えず、見た事実だけを次の班へ残す。


三上は入社日ではなく、入館記録と端末起動時刻から実出勤日を作り直した。残った社員の多くは休暇や在宅勤務を挟んでいる。


一日の勤務時間は関係しない。数分の引き継ぎでも業務へ参加した日は一日として残り、長時間の残業でも加算は一回だった。


白石は対象者という言葉を慎重に使った。雇用形態では正社員とアルバイトが消え、外部業者が残る。境界は契約書にない。


一度消えた者から連絡はない。声、映像、位置情報、遺留物のどれも戻らず、行方不明者名簿だけが長くなった。


会議室の壁には、消えた人の写真ではなく確認済みの条件だけが貼られた。家族へ返せる答えがないことを、真壁は毎晩思い知らされる。


特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。


消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。


原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。


特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。


消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。


(本文実測:697字)

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