二十四日契約・現場
久世は現場へ向かい、管理職より先に実際の作業者へ話を聞いた。白石は二十四日で解雇することを安全対策と認めない。業務を止めず、人だけ替える仕組みは累積を隠すからだった。
現象を再現する実験は行わない。二十五日目へ誰かを立たせる方法は、検証でなく犠牲を選ぶ行為になる。
対象になるのは雇用契約の名称ではなく、実際に同じ業務を成立させた役割だった。正社員もアルバイトも派遣も、そこでは分けられない。
窓の外では電車が通常どおり走り、閉じた事務所の隣で別の会社が働いていた。東京全体が止まったわけではなかった。
会社名を変える対策は採らない。現象が業務を追う以上、名札や法人格の変更は勤務者の日数を見えにくくする。
二十四日以下を永久の安全とは呼べない。確認済み事例の境目を退避へ使っているだけで、現象が変わらない保証はない。
一つの一致だけで線を結ばず、残った人の例も同じ条件で照合した。反証を外せば、規則は簡単に作れてしまう。
働く本人へ説明する時、班は「安全」と「対象外」を使い分けた。対象外の確認例が、将来までの保証になるわけではない。
報告書には現象の呼び名より、勤務日と作業内容が多く並んだ。名前を与えても、消えた人の行き先は分からない。
班は他県の警察とも記録形式を揃えたが、指揮権まで一つにしなかった。現地の家族対応と捜査は各署が担った。
夜の引き継ぎでは、確定した条件より先に、翌朝までに止めるべき業務と連絡の届いていない人を読み上げた。
真壁は日付と原記録への参照先を付け、後から別の班が同じ判断を確かめられるようにした。
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