二十日警告・判断
白石は勤務者の生活条件まで確かめ、停止できる道があるかを探った。二十日目の社員十二人が自宅待機へ移る。給与が止まれば勧告は守られないため、都は休業補償を同時に用意した。
三上は出勤簿だけを信用せず、入館証、端末起動、送信履歴を重ねた。欠けた一日は推測で埋めず、欠損として残した。
派遣業務だけで成り立つフロアでは、受付や清掃や設備管理まで業務の一部として扱われ、通常階なら残る役割も消えた例がある。
家族へは行方不明として連絡した。遺体も帰還者もなく、警察は生死や行き先を言葉で埋めることができない。
欠けた勤務歴をゼロとは扱えない。分からない日を明示し、安全側で仕事を止める判断が必要だった。
予告できなかった事例を隠せば、次の警告も信用されなくなる。班は失敗と欠損を成功例と同じ紙幅で残した。
班は他県の警察とも記録形式を揃えたが、指揮権まで一つにしなかった。現地の家族対応と捜査は各署が担った。
夜の引き継ぎでは、確定した条件より先に、翌朝までに止めるべき業務と連絡の届いていない人を読み上げた。
真壁は日付と原記録への参照先を付け、後から別の班が同じ判断を確かめられるようにした。
一つの一致だけで線を結ばず、残った人の例も同じ条件で照合した。反証を外せば、規則は簡単に作れてしまう。
働く本人へ説明する時、班は「安全」と「対象外」を使い分けた。対象外の確認例が、将来までの保証になるわけではない。
報告書には現象の呼び名より、勤務日と作業内容が多く並んだ。名前を与えても、消えた人の行き先は分からない。 班は原記録へ戻り、判断の根拠をもう一度確かめた。
(本文実測:670字)




