止まらない暦・映像の間
渋谷の現場は、机上の端末だけが動いていた。休職期間も退職期間も日数を消さない。数えているのは連続勤務ではなく、同じ業務へ参加した日の累積だった。 三上は映像を一コマずつ確認し、停電、通信切断、編集痕を調べる。何も起きていない部分も時刻ごと保存した。
休職、退職、海外滞在の間に消失は起きていない。現象は人を追い続けるのではなく、業務参加を再開した時だけ数える。
白石は過去の勤務履歴を破棄しないよう企業へ求めた。忘れた日数が、復帰した本人へ予告なしに戻ってくる。
一年の空白も記録を消さない。退職期間中は増えなかったが、同じ仕事へ戻った日から残りの日数が再開した。
真壁は明日の対象階を予告できなかった。できるのは危険な勤務を止めるよう伝え、発生後の記録を失わないことだけだった。
窓の外には、夜勤の明かりを残すビルが無数に並んでいた。その一つ一つに、誰にも数え切れない出勤日が積もっている。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
(本文実測:692字)




