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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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6話

ミーレス──

国が運営する冒険者養成機関。騎士や冒険者を志す者に技術と知識を与える訓練校だ。


簡素ながら設備は充実しており、寮や広いグラウンド、そして大浴場にシャワー室、衛生的な水洗トイレまで完備されている。

食事は決まったメニューと量ではあるが、栄養は十分で満足している。


かなり恵まれた環境で、運営の資金回りとかどうなってるんだろう。

  

ここではある程度の技術や知識の習得が見込まれるまでは最長で半年の在籍が許されるらしい。

 

だが明らかに才能の無いもの、適正がないと思われる者には途中であっても足切りが行われる。

人には向き不向きがあって、向かない者を育ててもお互い不利益になるため、とのこと。

 

ミーレスにはかなりの税金が投入されていると思う。

建前上は戦時中だから、有事の際には数を揃えられる事、人材を集められる事は大切なのだろう。

 

ランクが低いうちに受けられる依頼について学ぶ日もあれば、戦いについて学ぶ日もある。

冒険者志望の者達には実地訓練がメインだ。


ここではS、次いでA、B、C、Dと5クラスに振り分けられる。

これは主に戦闘能力で振り分けられているっぽい。

定期的にクラス分けがあって、かなり流動的らしい。

入ってくるものも出ていくものも多いからかな。

 

Dクラスから上がれなさそうな者が足切りに遭い、冒険者登録は今後できなくなると言う。

顔を知った人が何人かいなくなってたりするから、その辺りで忖度はしないっぽい。


逆にSクラスにしばらく滞在できるような者もすぐに卒業となる。

そんなやつはさっさと働けってことらしい。

騎士団に抱えられる為に騎士クラスへ編入することも可能なんだとか。


貴族、士族が中心の騎士団でも平民が入団できるのは夢があるってアクセル君が言っていた。

 

なんとも忙しいシステムだが必要以上に弱者を救済することもしないし、才能あるものに対しても必要以上に拘束しないのは良いなと思った。

 

さて、三週間を過ぎ、アクセル君と俺たち三人はSクラスにいる。

 

自称元世界最強のレティは自称するだけあり、その戦闘技術は群を抜いている。

俺たちをこの世界に連れてくる為に力を使い切って能力がリセットされても、自分の技術はその身に刻まれている。

 

特に魔法の扱いについてはミーレスの教官ですら足元にも及ばないそうで、逆に教えを請われる事すらある。

かといって近接戦闘ができないというわけでもなんでもなくそちらも馬鹿みたいに強い。

 

本人には絶対に言わないが、戦闘中の彼女はそれはもう美しい。

洗練された動きは神々しく見える程で目を奪われるほどだ。

レティらしくもあり、らしくもない。


俺も格闘技の世界ではワールドクラスだった。

  

その経験が活きているのか一応Sクラスに在籍できている。

剣と盾を用いた戦いは不馴れであったがすぐに順応できた。

純粋な近接戦闘ならばミーレスに所属しているルーキー達には負けることは無かった。

 

メイはAとSをいったり来たりしていたが、最近はずっとSだ。

戦闘スタイルは近接戦闘タイプ。

グラップリングもできるけど彼女はストライキングの方が得意だ。

もともとフットワークを活かした闘いが得意なうえ、フェイリスという種族の特性で素早さや反応速度が優れている。

油断しているとあっという間に間合いを詰められる。

我が娘ながら油断ならんやつだ。


そしてアクセル君は最初こそDクラスだったが直ぐに頭角を表し、どんどんクラスを上げていき今では不動のSクラスだ。


この子の才能は群を抜いている。

小兵ならではの敏捷性は他を圧倒し、その上で力も強い。

加えて魔法も幅広く使用できて、万能タイプでどれも高水準だ。


俺とメイはまだ魔法が使えないのに……


アクセル君も最初こそ魔法を上手く使えなかった。

だがレティから少し手解きを受けただけであっという間に上達していった。


よく模擬戦をやるんだが……悔しいが今のところ、アクセル君の方が一枚上手だ。

戦いの中で、魔法を交えられるとどうしても押し込まれる。

 

たまたま才能の塊に出会ったのか、こんなやつが世界に溢れているのか判断がつかなくて焦る。

元の世界のトップクラスがこちらの世界のヤツに劣るのか?


そんなわけねぇ。


俺は負けていない。

まだ始まったばかりだ。

剣と盾の戦い方を考えろ。

間合い管理や駆け引きなどは自分の得意分野のはずだ。

俺はまだまだ強くなれる。

伸び代はある。


例えば魔法だ。

 

魔法を使えるようになれば戦いの幅は劇的に広がる。

 

レティの魂からできたこの身体は、むしろ他の人より魔法に高い適正を持つはずだとレティは言っていた。


元の世界では当然魔法なんて無かったからコツをつかむまで時間がかかるのだ。

 

確かに朧気ながら何か自分の内に秘める力の様なものを感じることができる。

これが魔力と呼ばれるものなのだろうと。


ただそれを自分が思う属性に変換してイメージを出力するだけと言われるけれどもその感覚がつかめない。

 

魔法には火、水、風、土、雷、氷の六つに加えて神聖、暗黒、そして無を合わせた九つの属性がある。

自身の持つ魔力をそれらの属性に変換することにより、炎を出したり、氷の塊を射出することができる……らしい。

 

人には得意な属性変換があって、例えば魔力量が10あるとすると、得意な属性だと15回魔法がつかえるけど苦手なものは5回しか使えないといった感じ。


レティは流石のチートヤロウで六属性全てに適正がある上、暗黒魔法も無属性も得意だ。


レティ曰く

「かつてワシが無限の魔力を持つと言われたのも単純な魔力量だけではなく属性変換効率が優れていたからじゃ。」

との事。


ミーレスの教官も見たことがないレベルと言っていたので多分そうなのだろう。

ちなみに神聖魔法だけ超苦手らしい。

 

神様の癖に神聖が苦手とかウケる。

自称神様が本当だとしても間違いなく邪心の類だな。


いずれ使えると信じて魔法を用いた戦い方をイメージトレーニングしておくのだ。

 

毎日の訓練の中で少しずつ冒険者としての知識や経験が積み重なっていく。


森の中に生えた草なんて今まではただの草としか思えなかったが、今ではどれが薬の材料になるのか判別ができるようになってきた。


この魔法のある世界においても薬は大切なもので、もとの世界ではあり得ないような効果、例えば骨折などの怪我を一瞬で治したりするような薬も存在するんだとか。


日々暮らしていくなかで明らかに今までの常識とは違う理で世界は動いていると感じる。

なので割りと楽しんで訓練に参加していたけど代わり映えのない毎日に少し退屈してきたところだった。


そんなある日、教官から特別な訓練を行う事を告げられる。

実践形式の訓練はいつもミーレス訓練生の中で模擬戦を行っていた。

だが今日のお相手は今までとは違い現役、第五騎士団に所属する騎士たちらしい。


この国の第五騎士団と言えばその風貌で知られている。

騎士と言えば白い鎧を着用し騎士道精神を重んじ清廉潔白な人達を思い浮かべるけど、彼らは全員が漆黒の鎧を装備していて、さながら暗黒騎士といった様子だ。


訓練場に乱れなく整列し威風堂々とした騎士達は、数々の闘いを生き抜いてきたのだと、その面構えから察することができる。

 

その一団の中央に黒い鎧に紅く怪しく光る宝石が散りばめられた鎧に身を包む、身長は2メートルを越えるであろう偉丈夫がいた。

 

その手にはこれまた真っ黒なデカい斧を持っていて、オレンジの髪をオールバックにし、小さく、そして整った卵形の顔に細目の眉と切れ長の目が身体に似合わず異様な雰囲気を放っていた。


緊張した面持ちで教官が叫ぶ。

「傾聴!」


いつもと違う強ばった顔の教官に俺たちも固くなる。

 

張り詰められた空気の中、となりの銀髪少女はいつも通りだった。

「のぅのぅ、あの雲の形、卑猥じゃの。 まるで……」

「黙れ」

こいつ……


生まれた時に普通の感性とか常識がインストールされなかったのだろう。


なんて悲しい生き物なんだろうか。


 

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