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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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5/7

5話

「そう言えばレティさん、元の世界では考えられない位に強くなれるってどれくらいのものなの?」

皐月も格闘技をやっていた。

俺と同じように強さに対して人一倍の興味を持っている。

 

「そうじゃのぅ、ワシが闘った中で一番強いやつは剣の一振で山をも切断できるレベルじゃよ」

「はっ?」

「流石にそいつは別格じゃが、その領域に至るヤツがいたのは紛れもない事実じゃ」

「何それ、人間で括っていいのか? 人類卒業してるじゃねぇか」

「まぁの。 ワシも似たようなもんじゃったが、あやつにはボコられたもの」

「まぢか、レティも……コイツやべぇ」

「全盛期のワシ、世界で最強じゃと思っとったけど命からがら逃げ出したんじゃ。 ほれ、ヌシとの出会いがまさにそれじゃ。」

驚愕の事実がしれっと並んでいく。

 

レティとの出会いは俺が初めてリファインファンタジーにログインした時だ。

何故か街中で死にかけていたレティを見かけたので初期配布されていた回復薬をかけてやったのだ。


プレイアブルになった瞬間血だらけのキャラクターが目の前に倒れていて焦ったのを良く覚えている。

  

「あの時はビビったぜ。 悪質ないたずらかと思ったわ」

「あやつ、まぢで強くてのぅ。 何度かやり合ったんじゃが最終的に歯がたたんくなって、死の間際に転生の秘術を試したんじゃ。 ヌシも知るように転生自体は成功したんじゃが、ヌシがおらなんだらそのまま力尽きておっちんどったところじゃ」

「まぢかよ、神様の命の恩人とかレアすぎる」

「良いことしたね、とうちゃん」

「お、おぅ」

人助けならぬ神助けをしていたとは。

人生色々あるもんだ。


「ゆうて千年も前の話じゃから、そいつももう死んどるじゃろう。今の世界の最強がどんなヤツかわからんし、どのみち必要なんじゃから、しっかり鍛えておく方が安全じゃろ」

「そうだな……」

頂点のレベルが想像できないレベルなのは驚いたが、自分の伸び代がどこまであるのか楽しみになってきた。

山をも両断する……これは流石に中二心を擽るな。

 

色々と話し込んでいる間に目的の冒険者ギルドにたどり着く。

ガッシリとしたレンガ作りで大きさは学校の体育館程度。

かなり大きい。


両開きの鉄の扉は開け放たれていて中の喧騒が漏れ出し威圧感のある建物の割りに雰囲気は明るい。

 

扉をくぐるとそこには所狭しと多数の冒険者がいて活気に溢れていた。

手前が酒場になっていて、カウンターや飲み食いできる机などが設置されている。


バーカウンターの右手には依頼が貼り付けられた大きな掲示板があり、いくつもの依頼と思われる紙が貼り付けられていた。


その回りでは人集りができていて、依頼をこなす為のパーティーメンバー募集や戦略戦術を語り合っていたり、噂話に華を咲かせたりしていた。


少し話を聞いただけでも火トカゲの討伐に前衛職を探す声や、バストン共和国に不穏の動き有りだとか、帝国の神速と連邦の紫炎の華、どちらが強いだとか、その話題は様々だ。


どれも興味を惹かれる。


モンスター討伐に最強は誰かなんて、いつの時代でもどの世代でも、そして世界が変わっても、変わらないものがそこにあった。


俺たちは酒場を抜けて奥へと進む。

どういう原理かしらないがランプの様なものが光っていて、建物の奥の方ではあるが十分な光量が保たれている。

 

受付は4列あるのにも関わらず長蛇の列。

その一列の最後尾に並ぶ。


ここへ来た目的は当然冒険者ギルドへの登録もあるが、ギルドの教育機関、ミーレスのお世話になることにした。


文無し宿無しの身で生活の基盤を整えるのはここにお世話になるのが良い。


衣食住に加えて武器防具のレンタルまであるんだから言うことはない。

貴族や騎士階級の子弟までもがここに入る事が多いらしいし。


ミーレスでは、冒険者を目指すものにはランクの低いうちに受けるであろう依頼の研修や実地を行う。

実際の依頼を元に行うので報酬が発生しているが、そこは国が回収する。

流石に無料で教育が受けられてお金が貰える程甘くはない。


しかし右も左も判らないようなルーキー達にチュートリアルがあるのと無いのでは冒険者としてのスタート位置は全く違うだろう。


騎士を目指す者は冒険者志望とは異なり、本格的な学校の様なものに入り、そこで戦う術はもちろん、戦略戦術、学門も学ぶことになる。


俺たちの様な有象無象がいきなり騎士を目指すような事はできないが、成績優秀者に限り騎士への門が開かれることもある。


このような理由からこの国の冒険者志望のルーキー達は、このギルドの教育機関たるミーレスに殺到するのである。


それがこの四つの長蛇の列という訳だ。

   

そして俺たちの前に並んでいるのは、皐月とそんなに背丈の変わらない男の子。

年齢は13、14歳といったところか、若々しいというよりその顔には幼さを残している。

俺が見ていた事に気付いた少年は、気さくな笑顔を向けて話しかけてきた。


「君たちもギルドへの登録?」

「そだよ! 君も同じ?」

少年から話しかけられた皐月が元気良く答える。

 

少年は赤みがかった茶髪で良く日に焼けた肌で部活を頑張る中学生みたいなイメージ。

野球部出はなくサッカー部だな、顔もサッカーの顔してる、偏見だけど。

うぇ~い系のサッカー部員に混じってる良い子側の子。

我ながらずいぶんと偏った私見だな。

  

「へぇ、奇遇だね、僕もなんだ。 僕の名前はアクセル」

「ウチはさつ、じゃなくてメイだよ! よろしくね!」

本名ではなくキャラ名で名乗る皐月。

 

そうか、ネットリテラシーだ。 いや、異世界リテラシーか。

別に本名名乗っても良い気もするけど、そこはそのロールプレイに乗っておこう。


「こっちがウチのとうちゃん」

「ミルズだよ」

ナチュラルに他人に自分の親だと紹介する皐月。

今や種族も違う自分達の事を全く考えていないのは我が娘らしい。

 

「ん? 君の種族はフェイリスで、この人はエルフィニアだよね?  歳もそんなに離れてなくない?」

「細かい事気にすんな! 男の子は大きくいけ!」

当然の指摘に皐月は勢いだけで誤魔化す。

  

「あ、ちょっとこの子、頭がアレな感じなのよ。 気にしないで」

「都会には色々な人がいるんだな」

アクセル君はお上りさんらしい。

都会の子に憧れを持っているらしく、瞳をキラキラさせながら俺たちを見ていた。

残念ながら、俺たちも今日ここに来たから、別に都会っ子ってわけでもないんだけど。

この世界に比べたら都会に住んでいたとは思うけどさ。


俺たちの自己紹介が終わると待ってましたとばかりにさらに斜め上を行く頭のアレな子がずいっと前に出てくる。  

「ワシの名はレティシアじゃ。 久しぶりにこの世界へと帰ってきた。 出会えた事を光栄に思うが良い!」


誰かこの子に礼儀を教えて上げてほしい。

知性の上に礼節も欠けてしまっているなんて可哀想だろ?

 

「お伽噺の蒙昧の魔女と同じ名前 って君の親もなかなか攻めた名付けをしたんだね。」

魔女だって。

ぷぷ、神様じゃないのか。

 

魔女が昔のレティを指して言っているんだとしたらランクダウンも甚だしい。

今のところ全てレティが話したことであって、神なのか魔女なのか、誰にも知ることはできない。

蒙昧ってところは合ってると思うけどな。

 

「のぅのぅ、もうまいってなんじゃ?」

「バカでアホで道理がわからないって事だ。 その質問が昔の人の正しさを証明しているな」

「誰がバカアホじゃ、ごるぁあ~」

 

暴れだすレティは受付のお姉さんから速攻で叱りつけられていた。

ぐぬぬと怒り冷めやらぬ蒙昧のなんとかは地団駄を踏んでいる。

知性と礼節に加えて理性すら持ち合わせていなかったのか……


こいつが蒙昧の魔女なのは間違いない。

その名前に恥じない資質を感じるからな。


「君もギルドの教育機関、ミーレスってやつにはいるつもりなの?」

「はい、そうですね。 僕はカルネという小さな村の出身で家は農業をやっているんですが小さい畑にそんなに人手が要らなくて。 それで別の稼ぐ手段を考えてここに来ました!」

若いのに偉いなぁ。

自分がアクセル君の年の頃はそんなことは全く考えもしていなかった。


おじさん、ホロリときちゃうよ。

 

「そうなんだ、大変だけどお互い頑張ろう」

「あなた方はどちらから?」

俺たちにはちょっと答えにくい質問に言い淀む。


するとレティが天井を指差す。

「ふっ、天からよ。 久しぶりに下界に降りてきてやったのじゃ、この世を統べるためにな、ククク」

まぁ、建物の中だから天を指差してるんじゃなくてアイツの頭の上のライトを指してるんだけどな。

ライトに照らされて馬鹿らしさが光ってる。

流石だ。

 

「そうなんですね! 本当に蒙昧の魔女みたいです!」

レティは得意気な顔をしている。

 

だけどレティシアさんや、あなたは今、バカでアホっぽいから本物みたいって言われてるんよ?

決して誉められてはいないんだ。

残念。

蒙昧だからわからないか。

 

しっかしアクセル君も割りと良い性格してんな。

ナチュラルに煽ってる。


お互いがニッコニコしててウケるんだけど。


それからアクセル君と俺たちは無事にギルドの登録を済ませる。


今後はミーレスで、共に学ぶご学友だ。

仲良くしておこう。

 


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