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【毎晩22時更新!】ガン=カタ皇子、夜に踊る――無気力な第十二皇子は影で悪と戦っています――【リメイク版】  作者: 2626


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30/60

第三十〇話 雁字搦めの呪翼×踊る影の道化師

 「――ガン=カタForm.12『ハングドマン』!」


 (噂通りの飛び道具)

 (魔導銃(マナ・ライフル)の一種か)

 (だが威力と連射性が違う)

 (体を奪われたとは言え、私の一閃を全て躱し)

 (同時に魔弾を命中させる)

 (何と言う強さだ)

 (複数の【虚魂獣】を相手取り)

 (無双したとの情報は事実だったか)


 (ああ)


 (一度で良い)

 (『シャドウ』と戦いたい!)




 「な、何故だ!」

とうとう口から血反吐を吐きながら、ギルガンドの体を奪った者は膝を突いた。

刃こぼれした白刃を杖に立ち上がろうとするが、容赦の無い一発が胴体に命中して前のめりに倒れる。

「こ、この者の体はっ!アニグトラーンの……ッ!!!それが、どうして貴様のような、無礼者ごときに……」


 「決まっているじゃねえか!」

 「貴様が【閃翔】ではないからだ!」

 「寄生虫の分際で態度がデカい!」

 「消え失せろ、この場で!」


 『シャドウ』の背後で何かが動いたのをギルガンドは探知する。

それは不可視の存在であったのにも関わらず、確かにギルガンドの体に触れて――。


 「引っ繰り『還して』やる!」


 凄まじい衝撃と呼吸さえ出来ない苦痛がギルガンドの体を襲った。

まるで脳内と臓腑に透明な手を突っ込まれて、滅茶苦茶にかき回されているようだった。

体中の血液が逆流し、骨すらも歪んでいくような圧力と激痛。

彼には分からなかったが、彼の体内の【瘴体】が強制的に魔力へと還元されているのだった。

時間をかけてゆっくりと還元していくのならばともかく、あまりにも無理矢理が過ぎた。

だが。

拷問のような苦痛に呻く事さえ出来ないでいたギルガンドの――彼の体内を乱暴にかき回していたその手が、【瘴体】を失ってもなおとうとう彼の体内をしつこく逃げ回っていた『呪詛』と言う名の寄生虫の尾を掴み、そのまま体外へと引きずり出す事に成功したのだった。


 『ヤメロ、ヤメロ!ナニヲスル!ハナセ!』


 その芋虫に似た寄生虫には人面が付いていて、キイキイと甲高い声で人語を話した。


 「何をするって?」

 「こうするだけだ」


 ――ブチン!

靴底で寄生虫を踏み潰し、『シャドウ』はギルガンドの側にかがみ込む。

彼に意識があって呼吸をしている事を確認すると、『シャドウ』はすぐさまその場から立ち去ったのだった。

「待、て――」

ギルガンドは血まみれの手を伸ばす。

後を追わねばと思ったそこで、とうとう意識が絶えた。




*******************

 逃げなければ――。

相手が悪すぎたのだ。


 気絶している【V】を抱きかかえながら【スレイブ】は【滅廟】の外を疾走している。


 【閃翔】は倒せなかったが、最大の目的は果たした。

だから、この場は逃げるべきだ!


 「おい」

反射的に振り返った【スレイブ】の視線の先には、盲目の男が立っていた。

『間違いないわ、あれは【精霊】よっ!「視える」わよねっ?』

「ああ。しっかりと「視える」ぞ」


 ――その肩に小柄な【精霊】を座らせて。


 「ぐうっ!!!」

咄嗟に【スレイブ】は生えてきたばかりの舌をもう一度噛み切って、男達目がけて血煙を吐きかけた。

「っ!?」

『きゃあっ!?』

男達が怯んだ一瞬の隙を突いて、脱兎のごとく【スレイブ】は逃げおおせたのだった。




 「……逃がしたか」

ロウはパーシーバーの背中にべったりと付いた血煙を拭って、溜息をついた。

『大丈夫、ロウ!?怪我はしていない!?』

咄嗟にロウを庇った【パーシーバー】に、安心させるように頷いて見せて、

「ああ、しかしこれじゃ鼻が利かないな。困ったぞ。【パーシーバー】、『シャドウ』の方は――」

『大丈夫、足音が聞こえるわ。もうすぐここに来るでしょうから、一緒に【よろず屋アウルガ】に帰りましょっ!』




 ――二人は気付いていない。

その血煙の中には薄らと『呪詛』が存在していた事を。

血生臭さの中に完全に紛れていたし、そもそも、とても小さな卵に近しい状態でパーシーバーの体にくっついていたから。


 それはやがて孵化し、音も痛みも無くその小さな体内に潜り込んで時を待つのだった――。

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