明日からの旅路を抱きしめて
歩さんと先程の緑髪の青年、遊作さんの会話をぼんやりと聞いていた。何となく、彼らの会話はこの先の自分の人生を変えてくれる鍵になるような気がする。
「さてと、オレらも行こう。あんまり遅く行くと…キトが怒っちまうかもしれないからな」
彼の言葉に一気に現実に引き戻される。急いで顔をあげると、歩さんは手を差し伸べ、心優しい笑みを浮かべていた。私は彼の手を取って立ち上がり、そのままついて行った
細長い廊下を歩く。その間、会話は無かった。でもただ、なんだか妙に頭が痛い。頭蓋骨が内側から押されているような、脳みそが掻き回されているような。そんな感じがした。
いつの間にか、目的地に着いていたようだった。遊作さんと黒髪ロングの女性が何かを話しているのが見える。
「おーい!キト、遊作!」そう言って、歩さんが手を振って彼らに駆け寄って行った。私もそれに続こうと1歩踏み出した。その時、
「……っ…あ…」
頭痛が酷くなった。頭がかち割られるような痛み。
意識が朦朧としてくる。
閉じかけていた瞳にノイズが走った。
ーーー【???】ーーーーーーーーーーーーーーーー
うっすらと目を開けると、そこは診療所のエントランスではなかった。朧げに、誰かの部屋なのだと理解ができた。でも…なんで?
「………起きたか?█▆▅▆」
名前を呼ばれた気がして、私は顔を上げた。その先には、白の長い髪を下ろした男性が立っていた。顔はぼやけ、よく見えないが、なんだか懐かしい雰囲気がした。
「まだ█▆のか?もうす█▅▆る。はや▆▆▉▆▅▉」
目の前の男性が何かを言っているのはわかった。でも、所々にノイズがかかっていき、言葉とは到底言えないような音になる。
「……█▆▅▉、▉▆█……」
また、頭にモヤがかかる。頭痛もする。「貴方は誰?」と聞きたいけれど、声が出ない。
頭を殴られているみたいに痛い。私は壁らしきものに寄りかかり、私はまた意識を手放す。
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「…………シア…エルシアっ…!!」
身体を揺さぶられる感覚で私は目を覚ました。目の前には焦った様子の歩さんと遊作さん、そしてキトさんであろう女性がいた。どうやら先程のものは夢だったらしい。
「急に気を失って…幸い、すぐに目を覚ましたからよかったけど…」
「……歩が言うには、体調が悪い素振りも、こんな兆候もなかったと。ねえ、新入り。緊急の命令よ。今から研究所に行って、この子を検査に連れてって。報告はメールで送るから」
「研究所かい?体調が悪いのならここでもいいとは思うけど…まあ、キト先輩が言うのなら…」
遊作さんが突然の話に困惑している様子だが、渋々と言った感じに承諾した。
「じゃあ、行こうかエルシアさん。立てるかい?もし良ければ肩を貸すけど……」
「お願い…します……」
彼の肩にそっと手を置き、おぼつかない足取りで歩き出した。
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「なあ、キト。なんでエルシアを研究所に連れてったんだ?遊作の言う通り、ここでも、病院でも治療はできるはず…」
「アタシも、最初はそう考えてた。でも、あの子の異常が終末によるものであり、彼女の根底を抉り出すものだとしたら?」
「……終末によって心の奥底ある記憶、もしくはトラウマが触発された…ってか。オレは専門家でもないからわかんねぇけど…そういう可能性は否めないか」
「ええ、そうね。そうなると、絶対に病院では解決できない。だからこそ、あの子の為にも、終末の専門家に見てもらうのが吉って思ったの」
「なるほどな。あっ、そうだ。話は変わるけど…例の極夜の話ってどうなった?キトにしては神妙な顔をしてたし、なんかあったんだろ」
「……そうね。少しばかり、ショッキングな話になってしまうけど…特にあの子にとっては。でも…必ず話さないといけないわね。私たちのこれからの為にも」
お久しぶりです、霜月東です。ほんとうにお久しぶりですね…今のところ小説の投稿が遅れすぎて冷や汗をかいております。
お正月をおばあちゃんちで結構満喫でき、推しのアクスタなどをGETで来て至福でしたね。
次は頑張って投稿を早めたいので頑張ります。それでは、また次の更新までさようなら。




