2話 そんな餌に俺が釣られクマー
こうして俺は初めて動物を殺した
いや動物じゃなくて魔物だけど
やはり動物を殺すというのはあまり気分の良い物ではない、だが一応冒険者となったのだこれから慣れていかないといけないのだろう
「やっぱアンタ初めて戦うにしては強いわね、ところでなんで素手で戦ってたの?普通格闘家でも魔物と戦うならメリケンサックぐらいは付けるわよ」
金無くて武器は買えないんだよ!
というのは嘘で いや3割くらいはあってるけど
「剣は使い慣れてない状態で使ったら自分に当たってしまうかもしれない、それに昔空手を少しやっていたから殴りの方が戦いやすいんだよ」
「なるほどね、まぁ良いわ狩りを続けましょ」
「え?これで終わりじゃないのか?」
「あの程度のゴブリン一体倒したぐらいじゃご飯一食分にもならないわよ」
狩りは続く
「まぁ今度からは私もしっかり援護するから多少楽になると思うわよ」
「それは良かった」
でなければ次くらいで俺は限界だっただろう
「ギシャリグゥァアアァ」
「何だ今の声は!」
まるで生き物とは思えないような鳴き声だ
魔物について俺はあまり知らないから普通の鳴き声なのだろうか
「今の声、ここら辺ではあまり聞かないような声ね。たしか本来とは違う場所にいる協力な魔物の報告をすると臨時報酬が貰えたはずよ。せっかくだから確認くらいはしておきましょ」
こうして謎の鳴き声の方向に向かっていった
「なんか様子が変よあの魔物」
そう言われて様子がおかしいらしい魔物を見た
その魔物は、ドス黒い熊の様な魔物で、体に黒い霧の様な物を纏っていた
そして動きには生気がないようでフラフラと歩いている
「あれは多分グリッドグリズリーだと思うけど、普通はあんな霧は纏ってないしあそこまで黒くは無いはずよ」
「なるほどたしかにあんな感じではなかったはずだ、もっとこう、凄そうな感じだったはずだよな」
「アンタ見た事ないでしょ」
そうして動きを観察していると、ゴブリンがグリッドグリズリーに果敢に立ち向かっていった
「キシャァァァ」
「ギシャリグゥァアアァ」
威嚇でお互い警戒している
そしてゴブリンはまるで瞬間移動したかのような速度でグリッドグリズリー、面倒だからグリグリでいいや
グリグリの横へ回り込み、重い一撃をいれた
「あれはスキル持ちね、多分あの様子からすると短距離テレポートね。」
本当に瞬間移動していたらしい
「おーっとゴブリンが飛び上がった、そして飛び上がった事によりグリグリの切り裂きを避けたー!そしてゴブリンが空中に描く放物線はまるで朝の虹の如き動き、そして天高くにてゴブリンは武器を構え、グリグリに大きな一撃を叩き込んだー!これは痛い、この場面どう見ますか、解説のファミラさん」
「どうした急にそんな変な事言ってあとグリグリって何」
「なるほど、たしかにゴブリンの耐久力ではグリグリの攻撃が一撃でも当たれば逆転するかもしれませんね」
「私そんな事一言も言ってないんだけど」
そうして遊んでいるとグリグリの動きが変わった、急に苦しみ始めうずくまってしまった
「ギシャリグゥァアアァァァァァァァ」
「くっ」
とてつもない声だ!衝撃がここまで届いてくる
すると纏っていた霧がまるで触手のような形になりゴブリンに襲いかかりゴブリンに纏わり付いた!
すると今度はゴブリンが苦しみ始め
バタッと倒れた
本能的に分かる、あの霧はやばいと
そしてグリッドグリズリーがこちらの方向を向こうとした
その瞬間俺はファミラの腕を掴み全力で街の方へ駆け出していた
「逃げるぞ!」
「ちょちょっともう少し観察してても良いんじゃないかしら」
「見て分からなかったのか!アレはやばい、俺の全ての感覚がアレから逃げろと告げている!」
そして俺達は森から出て後ろを確認したがグリグリの気配は無かった
多少警戒しつつ街へと戻ったがグリグリが関わってくる事はなく安全に戻れた
そして冒険者ギルドの受付に事情を話した
「なるほど様子がおかしいグリッドグリズリーにスキル持ちのゴブリンですか、ゴブリンの方はまだなんとかなるでしょうが、
問題はグリッドグリズリーの方ですね、グリッドグリズリーは本来森の奥深くに少数しかいないのですが森の浅い方に居た、それに加え黒い霧を纏っていたとなるとスキル持ちの可能性が高いですね、
ひとまずあの森は一時封鎖し、後日討伐隊を派遣します。
情報提供ありがとうございました」
何だか嫌な予感はするが、ギルドと討伐隊を信じる事にしよう
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