5話:仲間発見
魔物狩りに行こうとしたが、やっぱり止めた。
進化した自分がどんなものか試してなかったのだ。
まず、姿見。すぐ近くの川のブルベフのいない所で見る。進化前はオレンジ色で小さかったが、今は少し金色がかって体長も少し大きくなった。
次に身体能力。ジャンプしたり、岩に体当たりしたりしてみる。ジャンプはそこまで出来なかったが、体当たりでは岩に少しひびが入った。
成長を感じる。
最後に《狐火》だ。
正直あまり期待はしていない。他のスキルが100Pとかの中4Pだったからだ。
《狐火》を体当たりした岩にぶつける。
ズッバーーン!
へ?
炎が岩に当たったからと言って鳴るような音ではなかった。
砂煙が退くと、少し火のついている砕けた岩が見えた。
これ、強くね?
レベル2だからと言ってたかが12Pだぞ。これは超有能スキルじゃね?
ま、まぁ、俺の本能は正しかったという事だな。
よし、これで魔物狩りに行ける。
気を取り直して·····美味しい物目指して、レッツゴー!
狐の小さな1歩でてくてくと進む。
数十分は歩いているはずなのに、中々魔物と遭遇しない。
おかしい。ブルベフ狩りをしている時は幾度となく、魔物に見つかって逃げていたのに…
ブルベフ狩りをしていると、いつも狼のような魔物―――グレイトウルフに狙われ、ステータスを見る限り勝率はあまり高くなかったため逃げていた。
しかし、今の俺は違う。進化を果たしたのだ。
そんなことを考えていると、2匹のグレイトウルフと俺の進化前の子狐を見つけた。
2匹のグレイトウルフから子狐が逃げている。
元々俺は一匹でいる魔物を相手に戦おうとしていたが、その光景に親近感を覚えたのか、片方のグレイトウルフの首筋に噛み付いてしまった。
噛み付かれた狼はどうにか俺を振り払おうと、一心に首を振る。俺は離さまいとするが、相方の危機に気づいた狼が俺に体当たりをかましてきた。
流石にそれには耐えきれず、吹き飛ばされる。だが首筋から血の垂れている狼のHPは段々と減っていき、今は5/16になっている。
へっ、肉ごと噛み切ってやったからな。
狼の肉を咀嚼しながら2匹の狼に向く。
狼たちは分が悪いと思ったのか、逃げ出して行った。
子狐がてくてくとこちらに走り寄ってくる。
「こぉーん!」
別にいいよ、俺もあいつらに追いかけ回されたことあるからな。
「こん、こんっ」
「くぉーん」
お礼はいいよ、じゃあな。
「くぉ、こん」
「こーん!」
礼儀正しい子だったな。
て、え? なんで俺狐と普通に会話してんだ? いや、別に俺も狐なんだからおかしいことでは無いと思うんだけどさ、違和感なく狐と喋るっておかしくない?
もしかして、俺人の言葉話せなくなってるとかないよな? 俺、一応魔王になるつもりなんだけど…
うーん、もういいや! 難しいこと考えずに美味しい物探しに行こ!