19話:フードを被る少年
ローファンの短編書きたくなって書いてたら更新遅れました! すみません!
「お兄さん、その仮面なに?」
街に入るために、検問所の列に並んでいると、フードを深く被っている少年に後ろから話しかけられた。
少年は13、4ぐらいで声変わりを控えている年頃だと思う。
「これはな、俺の生まれ故郷の祭りで着ける仮面だ」
予め、決めていたことを言う。
「じゃあ、なんで今着けているの?」
この返しは予想通りだ。
「顔に火傷跡があってな、人には見られたくないんだよ」
「それは大変だね、今から面倒なことになるよ」
「おい! 次のやつ早く来い!」
"面倒なことになる"という言葉に疑問を感じたが、俺の番が来たらしくお呼びがかかった。
これを無視する方が面倒なことになるだろう。急いで向かう。
「荷物は·····無いな。どこから来た、それとこの街に来た理由は?」
入国審査のように聞いてくる。もちろん、この街に来た理由は1つだ。
「ずっと向こうの村からだ、冒険者になるために来た」
「そうか頑張れよ。じゃあ最後にその仮面を取ってくれ」
俺の冒険者志望を聞いても、なんとも興味の無さそうに言う。
べつにそれはいい、聞き飽きた理由だろうから。だが、仮面を取るのは無理だ。絶対に取ることはできない。
取れば魔物の姿に戻り、大騒ぎになるだろう、当然俺は殺される。俺はもっとこの世界を楽しみたいんだ。
「いやー、ちょっと顔に火傷跡があって取りたくないんだけど·····」
「すまんが規則だ。あんたがそうとは言わないが、ここら辺には盗賊の類がいるからな。そいつらをこの街に入れる訳にはいかないんだ」
申し訳なさそうに言っているが、その目には警戒の色を含んでいる。俺が頑なに仮面を取らないことに怪しんでいるようだ。
「だーかーら! 門番長を呼んでって言ってるじゃん、あいつなら分かるって」
「さっきも言った通り、フードを取ったら解決する話ですので」
あまり気にしないようにしてたが、さっきからすぐ隣でフードの少年が門番と口論になっている。なんか、俺と同じで顔を見せろって揉めているようだ。
「それが無理って話でしょ」
なーにが面倒なことになるだ。そっちの方が面倒なことになっているじゃねーか。
「あなたのお仲間ですか?」
「いえ、ついさっき会っただけです」
「僕、お仲間じゃなかったの!?」
いや、違うだろ。本当についさっき会ったばっかだ。
それとなんか門番の人が、1人暇を持て余してる人に手を背中に回し指示を出しているのが見えた。
ちょっとやばいかも·····
「仮面取りたくないので村に帰りま―――」
「ちょっと悪いけど2人共こっちに来てくれるかな?」
フードの子の方を対応していた門番が俺らに手招きする。
正直応じたくないが素直について行くことにした。槍を構える人が数人見えたからだ。
「じゃあここに居といてな」
そう言って門番は俺らを部屋に置いていく。取調室みたいなところだ。
「なぁ、お前も面倒なことになってないか?」
なんでこいつは俺に面倒なことなるよって言ったのに、自分は大丈夫だと思ったのだろうか。こいつもフードを被って顔見えないのに。
「今日のこの時間には門番長いるから大丈夫だと思ったのに·····」
「門番長いるからって何も意味ないだろ」
「うーん、ちょっと待ってね」
フードのボケっとをゴソゴソと何かを探すように探る。
「あったあった。この金貨のこっちが表こっちが裏ね」
剣を持った人の絵が表、闘技場らしき絵が裏らしい。
「なんなんだよ、いきなり」
「見といてね、はい! 表裏どっち?」
少年は金貨を指で弾いて、そのまま手の甲に隠した。だが、俺には見えていた。
「表だ」
「本当にそれでいいのー?」
「あぁ」
少年は俺にファイナルアンサー? をしてくるが、絶対表だ。
「おー、すごいね! 大正解!」
やけにハイテンションで褒めてくる。
ちょっと嬉しい。
「当たり前だ」
『ズルしたから当たり前ですね』
そう、俺はズルをした。《動体視力強化》を使ったんだ。
いや、べつに良いじゃん。これが分かったからって賞金が貰える訳でもないし。
「いやー、お兄さんは信頼できると分かってたよ」
少年は深く被っていたフードを取った。