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16話:研究室

 俺は目を覚ましたことにも気づいてないように、びくりとも動かない。


 意識は泥沼にはまっているみたいだが、それが原因ではないと思う。


 別の生き物に乗り移ったように体の動かし方が分からないのだ。


 だが、意識が泥沼から抜け出せば、次第に体の感覚が戻ってくる。


 言うことを聞くようになった体を起こし、周りを見渡す。


 気絶する前のことはよく覚えてないが、見える景色が少し、高くなったように感じる。


 そして、下へと続く階段をまた見つけた。


 下へ向かうのは止めておいた方がいいかな?


 本心では階段の先へと行きたいのだが、別に死にたい訳でもないので、アイスに聞いてみる。


『私は正直言えば、行かない方がいいと思いますが、心の底では行きたいと思っているのでしょう?』


 まぁ、そうだけど·····


 アイスは俺の考えているのが分かることを忘れていた。


『それでは、行けばいいのではないですか?』


 アイスって元はアドバイスのために生み出された存在だろ、俺のストッパーとしての役割もあるんじゃないか?


『私はこの前、あなたが死なないように作られたと言いましたが、あれはあなたがこの世界でしたいことをできるようにするためです。なので、あなたがしたいことをして死ぬなら別にいいです』


 この世界でしたいことか。

 魔王になるってのもあるけど、自由気ままに生きるというのもこの世界でしたいことかな。


 よし、階段下りてみよ。


 階段を下りる1歩目を踏み出したら、足は僅かに届かず地面を空かした。


 え? うわぁぁぁあッ!


「きゃぅぅぅうんッ!」


 俺は進化したばっかりで、寝起きみたいな感じだったからか、人間の頃みたいに階段を下りることができないことを忘れてしまい、重量感を増した体でころころと階段を下りる。


 ぐふっ。


「こぉっ」


 やっと階段を下り終わり、下層へと辿り着いたようだ。


 さっきまでは進化ぼけ(?)をしていたけど、これで意識がはっきりと覚醒した。


 周りを確認しようとするが、何も見えない。


 暗いのだ。


 これまでの階層は何故か分からないが、明るかった。俺が最初に目を覚ました階層も、猿がうじゃうじゃいる階層もだ。森林のところなんて、太陽の光まであった。


 どういう原理かは分からないが、これまでの階層には明かりがあったのにこの階層には明かりがない。


 いきなり、不親切仕様になった。


 ま、俺には光魔法があるから関係ないけどな。


 光魔法で明かりを作り出すと、あの洞窟を少し大きくした、岩肌のごつごつとした空間が現れる。


 しかし、あの洞窟と違う点が大きさ以外にもあった。


 洞窟とは不釣合いな無機質な扉が、そこにあるのが当たり前かのように存在していた。


 一瞬悩んだが、警戒しながら扉の取っ手をどうにか口に咥え、開ける。


 扉の先にあったのは怪しく光る、研究室のような場所だった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 研究所…?誰かかダンマスをやっているのか、そういうフロアなのか、扉連想だとボスフロアかな?
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