4.私、ヴァンパイア?
くるくると尻尾を回すチェシャは言いました。
「僕の声が聞こえるようになったのはねえ、君の体が少しずつ変化していってるからにゃのさ」
「私の体が?」
「そう、君は魔族だからね」
「え」
唐突なお前は魔族だ宣言に、私は身を固める。
「魔族では......ありませんわよ? お母様もお父様も紛うことなき人間です。 それに、もし魔族であれば魔除けの結界があるこの御屋敷には立ち入れませんもの」
そう、この御屋敷の周囲には魔除けの結界が使用人により張られている。
これは高位の魔物であればある程に効果があるとされます。
そんな対魔の結界を何度も出入りしているお母様もお父様も魔族であるわけが......。
「そうだね。 あの二人は人間さ......けど、君の中には魔族の遺伝子があった。 隔世遺伝てやつだにゃ」
隔世遺伝......いやいや、そんなわけ。
「それがもし本当であるなら、知っているあなたはいったい......何者なんですの?」
「ん? 僕? 僕はねえ」
と、その時。
バサッ、とチェシャの背には小さな翼が。
「!?」
「僕は君の使い魔だよ。 君から生まれ、今日まで君を守ってきた」
「ほ、本当に......私は、魔族」
そう。ならば私は忌み子だということですわね。お父様も妹のニアラも私を地下へ封じるという判断は正しかったと、そうなります。
って、いや、なりませんわよね?私、実際なにもしてないし。
「ちなみに私はどういった魔族なんですか? やっぱり死神的なやべーやつですの?」
「あはは、死神ではないかな。 やべーやつには変わりないけどにゃ」
まじですの。私の正体......きになりますわ!
やべー魔族と言えば、その怪力で村一つを潰してしまった巨人族の血統サイクロプス?それとも、圧倒的魔力量で誰も手出しできない力を持つダークエルフ?
他にもその知能と人間を遥かに凌駕した身体能力をもち、Sレート認定された、人狼族、ワーウルフ。
数多の雷をあやつり城を攻め落としたといわれるSSレート、雷神族なんてとんでもねえ魔族も。
私はいったいどの程度のやべえやつなんですの?
流石に高レート(A〜)魔族ではないでしょうが。と、そんな事を考えていると、チェシャは一言。
「君は、吸血鬼。 ヴァンパイアにゃ」
ほ、ほーん。
ヴァンパイアですか、なるほど。私、知ってますわよ。
たしかあれでしょう、他者の魔力を吸い取り与え、その高い魔力量で自身の体を治癒できる。
それどころか、自身の血を使い武器を生成し、戦闘力は他に類を見ないほどの......恐ろしき、魔族。
「ヴァンパイアって、もしかすると......あの?」
「あの、にゃ」
「でもヴァンパイアってSSSレートですのよ? そんな魔族と私の祖先が接触していたと? にわかには信じられませんわね......」
SSSレート魔族ってあったら秒で殺されますわよ。
「でも事実、ヴァンパイアの君はこうしてここに居るだろ?」
「た、確かに......」
この命を奪い取る力がドレインタッチだとすれば辻褄が合う。
それにこの少し長い八重歯も。
「......そう。 私、ヴァンパイアでしたのね」
この真紅の眼と白い肌、全てが腑に落ちましたわ。
いや、SSSレートて......。
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