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3.二人で

 


 私の力、【死神の左手】が発現したのは、三年前の冬。


 突然の発熱と、意識の混濁。昏睡状態となった私は目が覚めると、その力を自覚していました。


 左手に宿る禍々しい、魔力。


 その日から私は最深の注意をはらい、人と居るときは勿論、眠る時ですら常に手袋をしていました。


 これは私だけの秘密。誰にも言えない。

 知られれば、忌み子として殺されるかよくて永久隔離。


 この孤独はやがて私の心を蝕んでいく。


 が、ただ......妹にこの能力を見せるまでは、唯一こちらのチェシャにだけその寂しさと共にこの秘密を打ち明けてきた。

 そうして、私の心はこの子に救われ続けたのです。


 お母様が亡くなった時も、お父様に冷たくされた時も、妹のニアラが私の物を盗った時も......その悩みを打ち明け、いつも支えてくださいました。


「......その、恩人......ではなく、恩猫であるチェシャをこのように、私自身の力で殺してしまうとは......」


 ずっと拠り所にさせていただいていたのに。


「ごめんね、チェシャ」


「いやあ、そんな気に病むことないにゃ。 あれ、僕から撫でられたんだし」










「......」

「どうしたのにゃ?」




 ......むむっ?


 チェシャの体をひょいっと持ち上げ体中を観察してみる。


「あわっ、や、やめてよ! 何してるのさ!」

「あ、いえ、生きてるんだなあ?と」

「生きてるよ! あ、ああ、そうか......僕は確かに君の力で一度死んだよ」

「そう、ですわよね? 生気が完全に消えていましたもの......では、なぜチェシャは生きているんですか?」

「それは君の力で魂が戻されたからさ」

「魂を、戻す? 私の力......命を奪うのではなくて?」

「そうだよ。 アリメのその【死神の左手】は相手の生命力や魂を吸い取る......別名、ドレインタッチとも言われているね。 そして、右手で触れればその命を戻せるんだにゃ」


 へ、へえ......。


「はあ、なるほど......では、あなたは魂を抜かれて、今戻されたと、そうおっしゃるのね?」

「そうだよ。 魂のまま君についていこうかとも思ったけど、僕の遺体ごと地下へいれられたからね。 さっき君の右手が触れた時に戻ったのさ。 肉体があるに越したことはないしにゃ」


 ふむふむ、なるほど。私の力は奪うだけでなく、戻すこともできるのですね。それは知りませんでした。

 まあ、今更それがわかったところで、この状況が変わるわけでもないですし。


 ふと、お父様と妹の目を思い出す。その瞳に現れていたのは、冷たい拒絶の色合い。


 彼らは私を、ただただ排除したかったのかもしれない。


「元気ないねえ、アリメ」

「それは、まあ。 これで元気いっぱいでしたら、メンタルオバケですわよ......」

「はははっ、まあそうだよねえ」

「っていうか」



 私は、ふむ、と顎に手をあてチェシャを見つめ、少し気になっていた事を問います。


「先程から何故、猫が言葉を喋ってるんですの?」

「え、今?」


 しっぽがピーンとなるチェシャ。ふふ、可愛らしいですわね。





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