1.幽閉
「......アリメ、お前を地下室へと幽閉する。 二度と表へと出てくるな」
「ど、どういうことですの......お父様」
冬の風にあたるかのよう、背筋に冷たいものが走る。
私、メーロサミニ家の令嬢、アリメは夢の中を歩くようなふわふわとした感覚にとらわれていました。
しかし、お昼寝好きの私でもこれは喜べはしません。夢は夢でもこれは紛れもなく悪夢の方なのですから....。
......地下室へ幽閉される、それはすなわち死と同義。なぜならあの場所は、忌み子を隔離し処理する場。
「なぜ、なのです? 私は...この通り、普通の人間ですわ! 忌み子などではありません!」
その時、後ろから嘲笑うかのような声がしました。
「ふふっ、お姉ちゃん、もうやめなよ......お父様全部知っているんだよ?」
「ニアラ......! あなたまさか」
「ごめんね、お姉ちゃん。 私、嘘ついちゃった」
ぺろっと舌を出す妹のニアラ。はめられたと知った今でもその可愛らしい仕草に胸を射抜かれてしまう私......くっ、なんて可愛らしい笑顔だこと!!
しかし、ではあの日のあれは私に異能があることを明かすための芝居でしたのね。
自分が忌み子だと嘘をつき、孤独だと言ったあれは......同情を誘い、私の力を観るための。
「さて、アリメ。 お前の異能を見せてもらおうか......」
そう言ったお父様は使用人に一匹の黒猫を連れてこさせた。
「この猫に、その左手で触れてみろ」
私の左手は命を奪う。この力をその可愛い猫ちゃんで見せてみろと、そういうことですの?
「ほらほら、お姉ちゃん! あのとき見せてくれたでしょ? あの魔蟲を殺したように、その子の命を奪って見せてよ」
あれは魔蟲、人に害をなすものでしたから駆逐しました。しかし、この猫ちゃんは。
「ふむ、できぬのか? それならばそれで、お前は地下へ幽閉する事になるぞ? 嫌ならば、触れてみせろ」
......わけが分かりませんわね。お父様もニアラも。
「それは無理ですわ」
そう私が言うと、ふふん、と勝ち誇るような笑いを洩らしたニアラが言った。
「ほーら、触らないってことは異能があるって事でしょう? お姉ちゃん忌み子確定じゃーん! ね、お父様?」
「うむ、そうだな。 貴様のような汚らわしい娘が我が由緒正しきメーロサミニ家に居ることは許されない......!」
ギラっと睨みつけるお父様のそれは、最早娘に向けられるものではなく、罪人か何かを見る目。
「ほーんとに、お姉ちゃんは馬鹿だよね? あんな芝居に騙されてさあ〜! もう少し頭をつかって生きたほうが良いよ? ......あ、もう遅いかぁ。 ははっ」
ケタケタと笑うニアラ。ほーん、あ、そう。
「考えれば貴様は昔から気味が悪い娘だった......その魔女のような緋色の瞳と、異様に白い肌。 そして邪悪を表す漆黒の髪色......」
おうおう、言ってくれますね?それを言うならお父様も頭の上に異物のせてさも自分の髪のように振る舞うなど異様ではなくて?
使用人の皆様もどう接していいか困って......いいや、もうそんなことどうでもいいでしょう。
「あの、さっさと幽閉してくださいませんか」
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