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2.もしかして、あの乙女ゲームの世界?






3歳から始まった淑女教育。先程その担当講師であるブランシェ伯爵夫人から「貴族は王族の名と姿は必ず覚えておかなければなりません」と見せられた姿絵。


その中に既視感のある顔を見つけ、ふと思い出したのが、マキちゃんのハマっていた乙女ゲーム“貴方色に染められて”だった。


見せられた姿絵は現国王陛下とそのご家族のものだったが、その時は、そこに描かれている子供が“貴方色に染められて”の攻略対象者の王子をもっと地味にして、日本人顔に変えたらこんな感じかな。という程度の認識だった。



「公女様、どうかされましたか?」


ブランシェ伯爵夫人が首を傾げる私の反応に訝しんでいる。


「この方のお名前は……?」

「第2王子のオリバー様です。お嬢様のお一つ上のお年ですね」


攻略対象者の王子と同じ名前、だよね。でも、あの乙女ゲームの世界はキラキラしてた。こんな地味顔の王子じゃなかったよ。


まてよ……。地味顔、日本人顔が至上の世界では、この王子はキラキラなわけだよね。そういえば、この国の名前もあの乙女ゲームと一緒だ。


もし、ここがあの乙女ゲームの世界だったら……?


「こちらのお方が現陛下であるアルフレッド国王。そのお隣にいらっしゃる方が正妃グレース様、そちらが第1王子のフレディ様です」


ブランシェ伯爵夫人は、不吉な考察に至る私を他所に、粛々と授業を続けた。


「ここで少し我が国の歴史をお話させていただきたいのですが、その前に。公女様は“勇者と聖女”のお話をお聞きになった事はございますか?」

「はい。お母様からなんどもお話ししていただきました」


“勇者と聖女”の話は、この世界では子供の寝物語として語られるもっともポピュラーな昔話だ。


「では、(ワタクシ)にお聞かせ願えますか?」

「はい。昔々、魔がはびこっていた時代、一人の若者が闇をほふるためたちあがった。聖教会にて神のけいじをうけた若者は、光の聖女とともに旅にでる。とちゅうであった戦士と魔法使いを仲間にし、次々とおそいくる魔物たちを倒し、とうとう魔王をほふることに成功した。しかし倒れたはずの魔王から闇の力がぼうそうし、世界は闇に包まれてしまった。魔王との戦いで力つきた勇者と仲間達がぜつぼうするなか、光の聖女は神へと祈りをささげる。祈りは闇を切りさき、世界は光につつまれた━━━……」

「そこまでで結構です。では、その“勇者と聖女”が我がアスデフィラ王国とどのような関わりがあるのか、これからお話しさせていただきます」


え? このどこにでもあるような物語の“勇者と聖女”って実在するの? ちょ、すごっ ファンタジー!


「アスデフィラ王国は約1000年前、勇者と、その仲間であった聖女が魔王討伐後に人族を中心に興したとされる国です。王家はその勇者と聖女の血を継いでおり、現在の国王陛下で25代目となります」


まさかの王家が“勇者と聖女”の血筋だったーーーー!!!!


じゃあ、仮にここが“貴方色に染められて”の世界なら、攻略対象者であるオリバー王子は、勇者と聖女の血筋って事か……乙女ゲームあるあるだね。


ますます疑惑が深まってきた。


「筆頭公爵家であるクラウス公爵家も勿論“勇者と聖女”のお血筋です。

クラウス公爵家は勇者と共に戦った魔法使い、へーミッシュ様が興され、“勇者と聖女”の第1女であるフローレンス様が降嫁された由緒正しきお血筋。

さらに3代後、王家の姫君が降嫁されております。それからも度々王家のお血筋が入り、さらに先代様は前陛下の弟君でもあらせられますので、第2の王家といっても差し支えがないかと存じます。

事実、王家のお血筋が途絶えた際にはクラウス公爵家から養子を迎えるように定められておりますので」


それ、もしかして王子と婚約とかするフラグとか言わないよね?

そうなると、パターン的にヒロインの邪魔する悪役令嬢なんですけど。


「話が少し逸れてしまいましたね。……勇者と聖女のお血筋である為か、王家では魔力が多いお子様が産まれやすく、総じてご成婚されるまで王子であれば聖騎士、姫君であれば聖女となられます」


魔力かぁ。魔法はできれば見たいんだけど、魔道具があるからなのか、使用する必要がなくて見る機会も失われているのだと思う。


「フレディ様は正妃グレース様のお子様で、オリバー様は側妃ミア様のお子様です。アルフレッド陛下のお妃様はグレース様とミア様のお二人のみですが、他国には100人のお妃様をお持ちの王様もいらっしゃいます」


100人……後宮の予算だけでお金が飛んでいきそうだな。


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