表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本人顔が至上の世界で、ヒロインを虐げるモブA君が婚約者になりました  作者: トール


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/18

14.幼馴染






「ルドルフ様に会いたいわ……」


クラウス学園内にあるカフェテラスで、溜め息を吐きながら弱音を溢す。


つい最近会ったばかりだろうなんて言わないでほしい。私達は、ラブラブの恋愛関係になったばかりなのだから。


「はぁ……。憂う表情をされているユーリ様も美しいですわぁ」

「わたくしがその憂いを払って差し上げたいわ」

「艷やかねぇ。最近増々お美しくなられて……」

「まぁ。静かだと思ったら、男性の皆様は鼻血を出して倒れていますわよ」


何故か私の席の周りを空け、ドーナツのような形で満席になっているカフェだけど、いつもの事なので気にしたら負けだろう。


もしかして新手の虐めにあっているのだろうか。とは最近思い始めたところだ。


「クラウス令嬢は相変わらずルドルフに骨抜きだね」


突然話しかけられ、顔を上げればそこにいたのは、


「まぁ、王太子殿下、ブランシュ様、ご機嫌よう」

「君の周りはいつでも席が空いているから、とても便利だよね」


失礼な事を言ってハハッと爽やかに笑って目の前に座る、ほっとするようなこの平凡日本人顔の彼は、この国の王太子フレディ様だ。


「フレディ様、ユーリ様に失礼が過ぎますわ!」


そしてその隣にいるのが王太子の婚約者である、ブランシュ・カスティーユ侯爵令嬢だ。

彼女も日本人顔だが、少々平凡寄りのアイドルのような、可愛らしいお顔の女性である。


「そんなに怒らないで。私の可愛いブランシュ」

「もうっ そんな風に言われてもだめですわ!」

「君は本当にクラウス令嬢が好きだね。妬けてしまうよ」

「フレディ様ったら」


二人はとてもラブラブの婚約者で、いつもこうやってイチャイチャしている。

勿論、クラウス学園は完全実力主義なので、こう見えてとても優秀な人達だ。


私としては、心の中で地味顔同盟だと思って接している友人達なのである。


「王太子殿下にブランシュ様よ!」

「いつ見ても理想のカップルですわねっ」

「クラウス学園の至宝が勢揃いですわ〜!」

「素敵よねぇ」


周りのハーフ顔グループと比べ、地味な日本人顔グループが浮いているのは間違いないが、とても好意的な声が耳に届き、どうも慣れなくて恥ずかしい。


「ところで、ルドルフはいつになったらこの学園に来るんだい?」

「そうですよね。ルドルフ様の実力でしたら、こちらの学園の試験も問題なく合格出来そうですのに。そもそも、どうしてルドルフ様は王都の学園へ入られたのでしたっけ??」


二人はルドルフ様の外見を気にしない、この世界では数少ない人達で、私とともにルドルフ様の幼馴染でもある。


勿論、私がルドルフ様にメロメロな事も知っているので、よく相談させてもらっている、頼りになる友人達だ。


「ルドルフ様は学園を卒業しましたら、ワタクシと結婚致しますでしょう」

「はい。クラウス公爵家の次期当主となられるのですよね」

「はい。ですから、ワタクシの父がルドルフ様を離そうとしませんの」

「ああ、後継者教育を施しているんだね」

「あら? ですが、ルドルフ様は優秀ですし、クラウス公爵家の後継者教育も幼い頃から受けておりますよね。3年程度ならば、王都を離れても良いのではないですか? しかもここはクラウス領ですし」

「私もそう思うな。むしろ、クラウスの後継者であるなら、クラウス学園出身である方が良いだろう」


王太子とブランシュ様は顔を見合わせ首を傾げる。


「ですから、ワタクシが長期休暇で必ず王都へ戻るように、ルドルフ様を離さないのですわ」


つまり、ルドルフ君は、領地へなかなか戻る時間の無い父が、私と過ごす為の人質なのである。


「「ああ……」」


理解していただけて良かったです。


「父にも困ったものですわ」

「でも、仕方ありませんよ。こんなにも美しい娘さんを持つお父様では、そうなるのも無理はありません! 私だって、ユーリ様のお父様の立場でしたら、きっと同じ事をしました!」


ブランシュちゃん……。


「けれど、そろそろルドルフには私の傍に付いていてもらいたい」


王太子の最側近候補だもんね。候補というか、もう決まっているようなものか。

次期スレイン公爵であるルドルフ君のお兄さんと、次期クラウス公爵であるルドルフ君は、次期国王の王太子には絶対に必要な二人なのだから。


「まぁ王太子殿下、ルドルフ様はワタクシの愛しい方ですのよ」

「ハハッ 分かっているさ。君の邪魔は絶対にしないよ。約束しただろう。この国を外見ではなく、能力重視の実力主義国家にしてみせると」

「そうですわね。そのお約束を守って下さる限り、ワタクシは貴方様の臣下として尽くしますわ」

「それは頼もしいね!」


ハハハッ、ホホホッと笑い合う私達は、まるで悪役のようだと思いながら、ルドルフ君に何事もありませんようにと祈ったのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ