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日本人顔が至上の世界で、ヒロインを虐げるモブA君が婚約者になりました  作者: トール


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12.乙女ゲームの始まり






クラウス公爵領にインターナショナルスクールが出来て早2年。

順調に学園都市が出来上がって、他国の王族や貴族、優秀な研究員兼教員や生徒を各地から迎え、たった2年で世界屈指の教育機関として有名となった公爵領は、目覚ましい発展を遂げている。


多額の資金を研究所に投資したおかげで、短期間にノーベル賞ものの発明が次々と発表されたのだ。


そんな実績を携え、王家にもつい先日認められ、大手を振ってこの学校の生徒だと明言出来るようになった。

むしろ、実力主義のこの学校に入れる事は、高位貴族や王族の間でもステータスになりつつある。


現に、この国の王太子はこの学校に通っているのだ。


ちなみに、学校名は“クラウス学園”。まんまである。

まんまだが、ユーリ学園にすると言う家族を押し止め、クラウス学園で妥協してもらうのにはとても苦労した。


とまぁ、クラウス学園の事は置いておいて、ウチの学校が創立2年ということは、そう……。


乙女ゲーム、“貴方色に染められて”がいよいよスタートするのだ。


この2年で、私はクラウス学園だけでなく、“アスデフィラ国立学校”……乙女ゲームの舞台の学校だが、ここに防犯カメラ一式を寄付し、設置する事に成功した。


もし、ヒロインや攻略対象達がルドルフ君におかしな事をしようとすれば、証拠になると思ったからだ。


「準備は万端ですわ」


私が16になる年の春がやって来た。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ルドルフ視点


今日から、アスデフィラ国立学校の高等部に通う為、真新しい制服に袖を通し、僕は中等部とは反対側にある校舎に馬車を向かわせながら、中でユーリから貰った手紙に目を通していた。


何度読んだか分からないこの手紙が、僕の御守りのようなものだ。


後3年通えば、やっとユーリと結婚出来る。


手紙のやり取りと、長期休みの時にだけ会う事の出来る婚約者を想う。


ユーリを好きになってから11年経つけど、色褪せるどころか、僕は手紙を見る度に、会う度に、どんどんユーリに夢中になっている。


後3年も我慢しなければならないのかと正直心は急くが、大丈夫だ。


僕たちは、他の誰よりも愛し合っているんだから。




「やだっ 遅くなっちゃった! 近道、近道っと!」


ヒヒーンッ

「きゃー!!」


突然馬が嘶き、馬車がガタンと大きく揺れ止まる。


「!? 何があった?」

「急に女性が飛び出して来ました!」

「何だって!?」


馬車専用の道に人が飛び出してきた!?


信じられない気持ちで、僕は馬車の扉を開ける。……と、


「ちょっと! 危ないじゃないっ」

「それはこちらの台詞ですよ。ここは馬車専用の道です。あちら側の道が歩道ですよ」

「はぁ!? こっちの方が近道でしょ! もうっ 制服が汚れちゃったじゃない! お詫びに私をその馬車に乗せて行きなさいよね」


御者がおかしな女に絡まれているようだ。


「何をしている」

「あ、ルドルフ様、申し訳ございません。この女性が訳の分からない事を言い出しまして……」

「あなたがこの馬車の持ち主ね! 私貴方の馬車に轢かれそうになったのよ! お詫びに乗せて行きなさい、よ…………げっ ぶっさいく!!」


何だコイツは。自分から馬車の前に飛び出しておいて、詫びに乗せて行け? しかも失礼な事を堂々と言うとは、頭がおかしいのか。


「ぅげ〜。やっぱり遠慮するわ。貴方と一緒の馬車になんて乗りたくないもの」

「貴様……っ」

「きゃあッ」


御者が馬用の鞭で打とうとしたので止めに入る。


「良い。放っておけ。それよりも、早く馬車を出してくれ」

「……はい。ルドルフ様」

「な、何よ!! 突然鞭で人を殴ろうとするなんてっ 野蛮だわ!!」


何やら吠えているが、それを無視して馬車を出してもらった。


無性にユーリに会いたくなった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒロインはどうやら転生者ではなさそうですね。 (ルドルフ君をブサイク呼ばわりするくらいだから…) [気になる点] 転生者でなくとも相当の電波‼︎ ルドルフ君のこれからの学園生活が心配です。…
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