《オリジナルドッペルゲンガー》覚醒
アビス。それはアンデッドであるゾンビの上位種であり、時折大量発生する。一体ではそこまで強くないと言われるものの、それでも現時点でのライの実力よりは強いだろう。そうでなければ街や村がいくつもアビスによって消滅する事態など、起きるはずもないのだ。
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(ライ視点)
後ろを振り向くとアビスが立っていた。急いで走って逃げる。今の僕の実力では絶対に敵わないからだ。しかしアビスは群れを作るため、街に直接向かったら街が全滅する恐れもある。
「……倒しちゃえればいいんだけどな、生憎炎魔法も光魔法も使えないから逃げるしかない」
アビスはアンデッドのため、炎魔法と光魔法には大変弱いのだ。もしこの場に炎魔法の使い手がいれば、どうにかできるかもしれないのだが……
「……っ!!」
必死で走っていた上に考え事をしていたため、足に躓いて転んでしまう。後ろからアビスが距離を縮めてくる。
気のせいだと信じたいが、アビスの数が五匹に増えている気がする。
「何か一瞬で火を起こせるものはないか!?」
時折炎の魔鉱石と呼ばれるものが地面に落ちていることがある。炎の魔鉱石はアビスを撃退してくれるはずだ。
けれど、ぱっと見見当たらない。
「やばいな……」
そう思ってアビスの方を向き、剣を構える……と、胸に黄色い光が灯った。
ドゴォッッ!!!!
胸から飛び出した炎の球が、正眼に構えていた剣を融解させながらアビスにぶつかり、一瞬で燃やし尽くした。
ドゴォッッ!! ドガンッッ!!
次々と炎弾が放たれ、アビスを確実に燃やしていく。気がつくとアビスの群れは完全に無くなり、目の前にはちょっとした更地ができていた。
「なんだったんだ、今の……もう一回やってみよっと」
何もわからないので、とりあえずさっきと同じことを起こそうとする。
「確か胸が黄色に光ってたよな……それじゃ、掌を光らせたらどうなるんだろ?」
カッコつけて、右手を前に出す。そして手を黄色に光らせるイメージをすると……
「おお、出た」
掌の前に炎弾が現れた。それを放つイメージをすると……炎弾が放たれ、更地が少し増えた。
何度か試してみたところ、体の一部を黄色に光らせるとそこから炎弾を放てることがわかった。《オリジナルドッペルゲンガー》の能力なのだろう。全く疲労を感じないため、ひょっとしたら戦闘時はとても役立つかもしれない。
そんなことを考えながら帰路に着こうとして、ふと気がついた。
「コトコト草、さっきので完全に灰になっちゃった」
依頼は達成できず罰金を取られそうになったが、あらかじめ持ってきたアビスの死体のおかげでどうにか罰金は取られずに済んだ。
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