冒険者登録
「えーっと、冒険者ギルドってのはここかな?」
冒険者になりたくて街へやってきたライは、大きな建物の前でそう呟く。目の前には黒っぽい大きめの扉があり、真鍮でできているであろう取っ手が付いている。
「うん、ここだと信じよう!」
そう言ってライは扉を開けた。扉を開けると同時に、外に喧騒が漏れ出してきた。どうやら冒険者ギルドであっていたらしい。
中に入ると、天井からぶら下がっている『冒険者登録はこちら』と書かれている札を見つけた。その札が指す方向に歩いていくと、一つのカウンターにたどり着く。かなり綺麗なお姉さんが、カウンターの向こうに座っていた。
「いらっしゃいませ。冒険者に登録なさりたいということでよろしいでしょうか?」
「あ、はい。冒険者になりにきました」
「そうですか。では冒険者ギルドカードを発行しますので、こちらの機械に手を触れてください」
そう言ってお姉さんは箱型の何かを差し出してきた。ライがそれに触れると、少し厚手のトランプカードのようなものが印刷されて出てきた(電子マネーとかのカードみたいなイメージ)。
少し手元の紙とカードを見比べた後、お姉さんはライにカードを差し出した。
「えー、冒険者登録が終わりました。ライ・ノエルさんでよろしいですか?」
「はい、合ってます」
「ではこちらが冒険者ギルドカードになります。無くすと再発行には銀貨二枚がかかりますので、なるべく無くさないようにしてください」
お姉さんの口元が『それに面倒くさいし』と動いたような気がしたが、気のせいなのだろう。彼女はまた話を続ける。
「では、説明を致します。こちらがお名前と、ノエルさんのスキルになります。スキルは《オリジナルドッペルゲンガー》のようですね。そしてこちらが…………」
その後もお姉さんが何か続けて言っているが、ライの耳にはほとんど入って来なかった。それよりもスキル名が《オリジナルドッペルゲンガー》だったことの方が気になっているのだ。
お姉さんの話をほとんど聞き流したライはカウンターを離れ、席に座る。そして思っていたことを口に出して言ってしまう。
「スキル《オリジナルドッペルゲンガー》って、雑魚じゃん」
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