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新たな仲間と戦後処理

昼過ぎになり、やっと目が覚めた日本人たちは早速、戦後処理に動き始めることにした。


まず比呂は日本に戻り、防護服やアルコール、マスク、ゴーグルなどを大量に軽トラでミッテレルネに持ち込んで来た。


休むより先に、林道やゲレンデなどに大量に残された敵兵の死体の処分をしないと疫病などの危険性があったからだ。


それらの処理は雅彦が主体となり、主に傭兵部隊と協力して行うことにした。


秀明も一度戻り、ダンプカーをレンタルして戻ってくることにして帰って行った。


比呂は村の中に残り、昨日保護した奴隷たちに対する扱いをエマと打ち合わせしたり、村人からも死体処理の手伝いをするよう人手を出すことなどしてもらった。


まず、雅彦だが、傭兵たちの所に戻り、可能な限り敵の装備を剥ぐことと所持金の回収について指示を飛ばした。


雅彦「先日の戦闘は見事でした。


お陰で敵兵は全て撃退することが出来ました。


ただ、ここで大きな問題があります。


残された敵の大量の死体の処理についてです。


まず、放置していたら腐敗して病気を起こす原因となります。


だから、これらを集め、装備を剥ぎ、所持金を回収して一ヶ所に集め、火葬する作業をしなければいけません。


まず、装備を剥ぐことと所持金の回収についてだが、これらは諸君らの装備の更新のために必要なことです。


だから、ゲルハルト、君が責任を持ってそれらの回収について監督をしてくれ。


ちなみに敵兵の装備や金をくすねる必要はないぞ。


君らにはここを守っていきさえすれば、大金が手に入るからだ。


端金を得ても意味がないし、そんなことでここから追放されたらそれこそ大損だろう。


さて、実際の回収作業だが、俺がユンボを使い、小川に落ちた兵を林道に持ち上げていくので、2〜3人はユンボのバケットに兵士を載せる作業をしてくれ。


林道に散乱している兵士は先日、道端に寄せているが、皆で手分けして装備と金を回収し、軽トラの荷台に載せていってくれ。


秀明が日本から死体を大量に運搬するためのクルマを持ってくるので、装備を剥いだ死体をそれに載せる手伝いをまた数名、手伝って欲しい。


それらの作業は交代して行ってくれ。


次に同様の作業をゲレンデ側でも行うのでよろしく。


俺は死体を埋める穴を開けないといけないので、その間の作業は比呂とエマさん、ゲルハルトに指揮を任せるのでよろしく頼む」


ゲルハルト「分かりました。


ところで、飯食って作業始めてもいいですかい?」


雅彦「もちろんだ、今、村で炊き出しの準備をしているハズなので出来次第こちらに持ってくるだろう。


あと、死体に触る作業をする人はコレを必ず身につけてくれ」


雅彦が手に取って皆に見せたのは防護服や手袋、マスクなどであった。


雅彦「今のところ、それほど気温が上がっていないので腐敗は進んでいないが、それでも人間が直接触れるのは危険なのと村に疫病を蔓延させたくないので、これは絶対に身につけてくれ」


ゲルハルト「それは何ですか?


真っ白な服とペラペラな手袋?見たこと無いものがいっぱいありますが?」


雅彦「これらの説明と装着方法はあとから説明するが、これらを正しく身に付けることで、作業している諸君も病気になることを防ぐことが出来る」


雅彦は実際にそれらを身につけて、アルコールなどを使って消毒する方法などを実演していった。


また、比呂が日本から持ち込んでいた物の中に大量の次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)があったのでそれを希釈して噴霧器に入れて死体や路面などを消毒する方法を教えていった。


慣れない作業と説明に時間がかかったのだが、夕方頃になり、作業はやっと始まった。


日が落ちても作業は続けられ、その頃には秀明が日本からダンプカーを持ち込み、村人、元奴隷の区別なく全員が参加して死体を集め、甲冑や武器や所持金などは回収して、敵軍の本営があった付近に大きな穴を開けて、その中に死体を放り込んでいってガソリンをかけて荼毘に伏したのだった。


この作業が完了したのは深夜になっていて、全員、村に戻り、村の中の広場で遅くなった夕食をとるとこにしたのだった。


今回は、森の防備に当たっていた、マルレーネ率いる特殊部隊も帰ってきていた。


これで、新たに村人となった傭兵たち、奴隷として扱われていた女性たち、狩人、村人、日本人四人が全てが初めて一箇所に集まったのだ。


総勢は103人と日本人4名の計107人だ。


円形の広場の中央では以前のようにキャンプファイヤーの火がおこされ、秀明が日本から持ち込んでいた肉が大量に振る舞われてバーベキュー大会が行われていた。


この頃になると村の女性たちと子供の多くは、自主的に食事の用意をする体制になっていて、雅彦や秀明たちが動かなくても、見事な手際の良さを発揮して、肉を焼いていったり、炊き出しをしたりしていたのだった。


秀明は広場の横にあるベンチに座ってその様子を見ていたのだが、「ヤバかったな、兵站の準備を普段からコツコツやってたから、なんとか食料品とか食器や調理器具なんかも一応足りたみたいだったな」と安堵のため息を漏らすのだった。


また、食材の発注や生活必需品の選択と発注手続きなどはエマやアレクシアなどが行ってくれていたので、秀明の資料を元に市場などから調達してこちらの世界に持ち込んでいたのだった。


ここで雅彦が広場に持ち込んでいたランクル73のボンネットの上に立ち、あらかじめ翻訳していた文書を見ながら全員に向けて演説を開始していた。


雅彦「ここにいる皆さん、ご苦労様でした!


今回のドラゴニア軍の侵攻を撃退出来たのは、全ての人が死に物狂いで奮戦した結果です!


まず、最前線で体を張って戦ってくれた傭兵隊のみんな、立ってくれ!」


ぞろぞろ立つ、傭兵隊のメンバーたち。


雅彦「彼らは敵の狂戦士たちの猛攻にも怯まぬことなく、全身を血に染めながらも誰一人欠けることなく、敵を撃破してくれました!


彼らに対して大きな拍手をしてください!」


大歓声と大きな拍手が沸き起こった。


雅彦「ただ、彼らは野蛮なので、村の女性たち、彼らには十分気をつけてください!」


今度は大爆笑が広場全体で沸き起こった。


雅彦「次にわずか8人という少数にも関わらず、この強力無比な傭兵たちを投降させ、味方につけるキッカケを作ってくれた、マルレーネ率いる特殊部隊のみんな、立ってくれ!」


傭兵たちに代わり、今度はマルレーネたちが立ち上がった。


雅彦「彼女たちは、その可愛い見た目に反して、とてつもない強さを発揮して、数百人の敵を撃退してくれました。


今回の作戦が成功したのは彼女たちが守り切ったことが大きな要因でした、彼女たちに盛大な拍手を!!」


湧き上がる大きな歓声に照れ臭そうにするマルレーネたちであった。


雅彦「次に、村の守備隊のみんな、立って下さい。


彼女達は傭兵隊が来るまでは最前線に立ち、敵の侵攻を食い止め、傭兵隊が加わった後でも村を護ったり、最後は敵に対して強烈な一撃を加えて勝利を確実なものにするなど、大きな活躍をみせてくれました!


盛大な拍手をお願いします!」


ここでも大歓声が沸き起こった。


雅彦「さらに比呂は今回の作戦の立案と全体の指揮、エマさんとアレクシアは比呂を補佐してくれて、我々を背後からガッチリと支えてくれました。


彼女達にも盛大な拍手をお願いします!」


照れ臭そうにする比呂やエマたちであった。


雅彦「そして、今回の戦いで単騎、敵の裏側に回り込み、敵の本陣に焼き討ちを仕掛け、大量の騎馬兵を葬り、最後に敵将の首を刎ねるという大活躍をしてみせてくれた、52歳コンビの老人二人、秀明と影山さんの二人にも盛大な拍手をしてやって下さい!」


影山「老人は余計だわ!」


日本語は分からなかっただろうが、なんとなくニュアンスが伝わったのか、大きな笑いと大歓声が起こり、拍手の嵐が沸き起こった。


雅彦「そして、最後に感謝したい人がいます。


ヴィルマ、そしてイングリット。


彼女達は最初から最後まで私の側にいて、ずっと戦い続けてくれました。


心からお礼を言いたいと思います、ありがとう」


雅彦はクルマから飛び降り、ヴィルマとイングリットにキスをした。


ここで広場では今日一の大歓声が沸き起こった。


子供たちはここで寝てもらうことになり、残った大人たちはビールや酒などが振る舞われた。



初めて日本のビールを飲んだ傭兵たちは大歓声を挙げ、口々に「なんだ、この美味いビールは?!」「めちゃくちゃ美味しいじゃないか?!」などと大騒ぎをするのだった。


ここだけ世界が違うようにドンチャン騒ぎをする傭兵たちとは対照的に静かな元奴隷の女性たちは、どうすればいいんだろうと困惑した様子でその場で佇んでいた。


彼女達にも酒が振る舞われていたのだが、「飲んでいいの?」という遠慮がビンビン伝わってくるのだった。


秀明はエマに彼女たちはどうするつもりなのか意見を聞いていた。


エマ「昼間に彼女たちと少しだけ話し合って、今後あなたたちはどうしたいのか聞いてみたんです。


すると、『帰っても恐らく居場所がないから、出来ればここに居させて欲しい』ということだったのです」


秀明「彼女たちを受け入れることにエマさんはどう思いますか?」


エマ「彼女たちの職業…といったら変ですが、男性に抱かれることを主にしてきた人達ということを考えると村の秩序を乱す存在になるんじゃないかという危惧はもちろんあります。


ただ、彼女たちとてなりたくてなっていたわけではないでしょうし、それを言うなら傭兵隊の皆さんもある意味、村にとっては脅威ですしね。


あそこまで巨躯の男性がズラりと揃うと、怖くない訳ありませんもんね」


秀明「まぁ、僕らの方がその点では驚異度は低かったかもですね」


エマ「ええ、でもヒデアキサンたちの場合、見た事ないクルマなど持って来てたし、こちらの世界とは違う世界から来たってことで、別の意味で最初は怖かったですよ?(笑)」


秀明「そりゃそうですよね、いきなり見たことない人種の男たちが丘の上から変な乗り物で降りてきたら、怪しいと思われても仕方ないかもですね。


僕らの世界で同じことが起こったら間違いなく通報されますよ」


エマ「通報?誰かに通報されるのですか?」


秀明「あぁ、そうか。我々の国には警察という治安維持の組織があって犯罪者を取り締まっているんです。


自警団みたいなもんです」


エマ「自警団ですか?そういえばこの村にも自警団を作らないといけない段階に来ているのかもしれませんね」


秀明「自警団についてはまた話しましょう。


話が脱線したから戻しますが、傭兵隊と元奴隷の女性たちはどうしますか?


今回、彼らは村の中に入れましたが、エマさんとしてはどうしていきたいと思っていますか?」


エマ「私としては、元奴隷の女性たちの境遇も理解出来るし、私たちもヒデアキサンたちが戦ってくれなければああなっていたわけなので、受け入れたいと思っています。


また傭兵隊の皆さんもこの村を守るために身体を張ってくれたことには違いありません。


もしかすると単純に戦いたかった、金を稼ぎたかったという理由があったかもしれませんが。


ですので、将来的には受け入れて村人として同化してもらおうと思ってますが、今の段階では明らかに文化や風習が違い過ぎて問題が起こることは間違いないのと、それこそ自警団を作り問題が起こった場合、キッチリと取り締まる体制を作ることが先のように思います」


秀明は、エマのこの言葉を聞いて本当に聡明な人なんだなぁと感心していた。


秀明「では傭兵隊の皆さんはひとまず壁の外でテント暮らししてもらいますが、我らが用意した住宅に住んでもらうことにします。


かなり近代的な住居なので文句はでないと思いますよ。


それから…


明日からは本格的に開拓と開発の開始ですね」


秀明にとってはこの世界でもっともやりたい事がやっと始めることが出来る体制が整いつつあったのだった。

※ブックマークへの追加や評価をした上で読み進めていただけましたら幸いです。


評価は下の「☆☆☆☆☆」から入れることができます。


また、感想も書いて頂けましたら、とても著者は喜びます(^^)


高評価、悪評、なんでも構いません。


評価や感想は今後の励みとなります。


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