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秀明の行方と慰安婦たち

「勝ったぞー!!」


雅彦の勝利宣言と共に終了したと思われた戦闘も不安な点が残されていた。


それは、秀明と影山の消息と、敵将の行方であった。


もし、これだけ多くの敵兵が残っている時点で、敵将が逃がしてしまい、万が一帰ってくることに成功してしまった場合、敵軍は再度立て直して襲ってくる可能性がある。


こちらの兵士は今のところ誰一人として欠けてはいないのだが、それでも彼我の戦力差は未だに7〜8倍近く離れていたのだ。


また、今はユンボがオーバーヒートしてしまい大きく戦力を落としてしまっている状態なので、このままの状態で敵の総攻撃を受けてしまうとかなりマズイ。


雅彦としては早急に秀明と影山を探し出し、また敵側の大将の消息を調べねばならなかった。


比呂には大急ぎで村に帰ってもらい、ドローンで秀明たちの行方を追ってもらい、


ゲルハルトたち傭兵隊には前線をユンボのある処まで下げ、ここに即席の防御陣地を構築してもらい、


雅彦は日本人の拠点になっている丘の上に置いている修理用の工具を取りに走り、ユンボの応急処置をして、ひとまず動かせれるようにすることにした。


そうこうしてたらすっかり日は地平線の向こうに沈み、夜となってしまっていた。


比呂はドローンをしばらく飛ばしていたがあまり遠くに行くとドローンの制御が不可能なエリアに出てしまうので捜索を断念し、ドローンを村に戻すことにした。


雅彦の修理は真っ暗な林道の中で発電機を回しながら煌々と作業灯をたきながら行われた。


敵のバリスタから放たれた木の杭はどういう理由か分からないが、敵から見て死角になるユンボのボディの後部にあるラジエターの空気の取り入れ口から侵入し、ラジエターのコアを貫通して止まっていた。


ラジエターの表面をガードしていた鉄板を撤去し、木の杭を抜いたがラジエターの真ん中に大穴が開き、切断されたコアから水が漏れていたのだった。


そこで雅彦は切断されたコアの水路になる部分をラジオペンチで切断面を折り曲げて水が簡単に流れ出ない様に加工していき、ラジエターに水を入れてみた。


LLCを入れるのはラジエターを交換してからでも遅くないのでとりあえず水だけ入れたのだが、なんとかオーバーヒートはしない程度に冷やすことは出来たので翌日以降に戦闘が終わったと確定したら日本に戻して業者に修理させてやろう。


それにしてもここにいる全員が疲れ切っていた。


林道はユンボとランクル73で塞ぎ、隙間を一輪車(ねこぐるま)で移動してきた大楯で埋めたので、ひとまずは敵の侵攻が始まってもここにいる全力で対処出来るが、逆に言うと親父を捜索にも行けなくなってしまっていた。


比呂のドローンの捜索も不調に終わったので、比呂に連絡してランクル80を持ってきてもらい、そのクルマで林道を抜けて親父たちを探すことにした。


村に残ったエマさんたち村人たちも忙しく全員分の食事の用意と傭兵たちの寝床の準備などを済ましてくれていたので、雅彦は比呂、アレクシア、ヴィルマ、イングリットの5人で林道を抜けて行ったのだ。


林道には動ける敵兵の姿はほとんど残っていなくて、至る所に死体が残り、その度にクルマの進路を邪魔しないように全員で手分けして横に退けて行ったのだが、数が余りにも多くて林道の出口に辿り着いた頃には真夜中を完全に過ぎていて、辺りは急激に冷え込んでしまっていた。


ここにランクル80を持ってきた理由は、この車には一番長いアンテナを積んでいたため、見晴らしの良い場所に出さえすれば、数十キロ以上の電波が飛ばせるからだった。


比呂「親父、聞こえるか?親父?」


しばらく無線で呼びかけるが、雑音が飛び込んでくる以外は何も入ってこない。


雅彦「雑音は入るってことは、何かを発信していることは間違いないのか?


ってことは生きている人が最低一人はいる訳か?」


比呂「おう、それにしてもどこまで行ってるんだ?もしかして敵軍の本拠地のある60キロ先まで追いかけちゃったんじゃないか?」


雅彦「いや、それもあり得るな。


…ん?敵の本陣があった処に光が見えるぞ。


敵が残ってるんじゃないのか?」


雅彦たちはゲレンデの中腹に残されていた敵軍の多数のテントと食料を載せていた荷車の残骸があった辺りで複数の光が揺らめいているのを発見した。


比呂「兄貴、どうする、これ?


様子を見に行ってみるか?」


雅彦「敵兵が残っている可能性もあるけど、どうだろうな?


俺が敵兵だとすると、司令官が討ち取られてしまっているなら既に逃げ出しているだろうし、ここに残るメリットもないんだよな。


司令官が生きているとするなら、あんな風に『襲ってくれ』と言わんばかりに煌々と灯りをつけるかな?


あそこに親父たちがいる可能性もあるぞ」


比呂「ああ、なるほどね。


なら警戒しつつ、接近してみるか。


兄貴、いつでも反撃出来るようにショットガンの準備はしといてな」


雅彦「了」


比呂はあちこちに点在する敵兵の死体を避けながらゆっくりと敵本陣に近付いていった。


敵の本陣があと100メートルほどに近付いたところで、テントや残骸の陰に停めているランクル70の姿を発見した。


比呂「あっ!親父のクルマじゃないか?!無事なんか?」


雅彦「どこに敵兵が隠れているか分からないから慎重に近づいてみてくれ」


ゆっくり接近すると、ランクル70のエンジンに火が入り、ヘッドライトが点灯した。


よく見ると親父らしき人物がクルマの上で手を振っているのが確認出来た。


周囲を警戒しながら接近した雅彦たちは驚くことになる。


そこには13人もの残された女性の奴隷たちがいたからだ。


秀明「おー、お前ら、無事だったか?


そちらの無線は届いてたんだが、こっちの声は届かなかったか?」


雅彦「おう!全員無事だぞ!


親父達も問題ないのか!?」


影山「ああ、筋肉痛で動けない以外、元気そのものやで」


雅彦「ところで親父、敵将は討ち取ったのか?ここら辺に残兵は残ってないのか?」


影山「敵の大将は俺が討ち取ったぞ。


首はそこら辺に転がしている。


敵の敗残兵は大将を討ち取ったことをアピールすると全員、一目散に逃げて行ったぞ。


逃げずに襲ってきた兵士もいくらかいたけど、小畑のライフルで返り討ちにあってたな」


秀明「まぁなんて言うか、何人討ち取ったか分からないほど沢山仕留めたな。


覚えているだけで俺だけで50人以上、影山は5人?だったか?」


影山「アホ言うなよ、俺の方が数は多かったね。


敵将を討ち取ったのも俺だし、今回の勝負は俺の圧勝でしょ」


また、なんやかんやとくだらない言い合いをする二人であった。



雅彦「ところで親父、この人達は何だ?ヒロが言ってた性奴隷…いや慰安婦さんかな?」


秀明「言葉は通じないが、おそらくそうだろうと思うぞ。


ここに来たときは食事の用意をしていたみたいだが、逃げていく兵士達に乱暴されたのか怪我していた人がいたんで治療してたとこだわ。


食糧はここにはほとんど残されていない。


全部、敗残兵が持ち逃げしたみたいだぞ。


ここから離れて帰っても良かったんだけど、彼女たちを残して帰って次の日見にくると全員死んでいたりしたら寝起きが悪いんで、野犬とかに襲われないよう防御を固めようとしていたんだよ」


なるほど、それで残骸がここら辺に集められていたわけなのね。


比呂「とりあえずここは敗残兵や野盗なども居る可能性もあるので、村に全員を連れて帰らないか?


アレクシアに彼女たちを説得させてみよう」


比呂はアレクシアにざっくりとした説明をして、奴隷と思われる女性たちに、ここは危険なので村にひとまず避難しないか?と聞いてもらった。


女性たちのリーダー格と思われる女性は「是非、お願いします」との事だったので、2台のクルマに箱乗りで分乗して連れて帰ることになった。



ここはネットが届かないので翻訳機が使えないのだが、そんな時に日本語がかなり堪能になっていたアレクシアの存在は有難いものだった。


彼女はテキパキとヴィルマやイングリットにも事情を説明してくれて、全員をランクルの荷台や屋根などに乗せていった。


雅彦「それにしても彼女たちはどうするよ?傭兵部隊と一緒にするわけにもいかんやろ?


アイツらなんやかんやで野蛮だから女とみると襲うかもしれんぞ?」


比呂「エマさんと相談したいが、出来ることなら村に受け入れてもらい、空き家でひとまず寝泊まりしてもらいたいな。


テントとかも数が足りないかもしれんから」


雅彦「戦いが終わったというのにやることは山積みかぁ、早く熱い風呂に入ってゆっくり休みたいよ」


思わず愚痴が漏れる雅彦であった。



結局、女性の奴隷たち13人は村の中の教会にまとめて泊まってもらうことにした。


布団や着替えはある程度、多めに教会に運び込んでいたのでそれを使ってもらうことに。


エマさんは残務整理で真夜中の五時くらいになってもまだ起きていたので、それらの受け入れ作業は極めてスムーズに進んだのだった。


前線での見張りは以前のように村の女の子に任せて、傭兵たちの大半は用意されたテントで寝ることにして、日本人四人もトレーラーハウスに戻り、ひとまず寝ることにしたのだった。


…もう夜が明けてきていたが、布団に飛び込んだ雅彦とヴィルマとイングリットはあっという間に眠りに落ちていくのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 宴をするには遅過ぎたなぁ。
[一言] 戦争終わらせたいなら圧倒的な実力差見せつけた上で城吹き飛ばすのが手っ取り早いよね。
2021/03/09 22:22 退会済み
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