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「茶色の戦斧」傭兵隊

飯を食べ終えた「茶色の戦斧」傭兵隊はマルレーネの案内で10名ほどに没収されていた武器を取りに行かせて、残りのメンバーは飯を食べた広場に残り、雅彦やエマたちと今後の打ち合わせをしていた。


秀明は秀二を連れて、村の中や丘などの工事が必要な箇所の打ち合わせで出かけて行ってしまった。


雅彦はまず、傭兵隊用のテントや寝袋などを支給する事にした。


彼らについては村の女の子たちが警戒するだろうし、しばらくは彼女たちと別々に生活した方が良いだろうということで、前線部隊を彼らに任せて、村の女性たちで構成された長槍隊や弓隊は一旦村に戻り、自宅で休息を取ることにした。


前線で残る村人はヴィルマとイングリットだけで彼女たちは比呂のトレーラーハウスで雅彦と一緒に寝ることになった。


一応、比呂のトレーラーハウスは折りたたみ式のベッドが一つ出せるので、備え付けのベッドは女の子二人、折り畳みベッドには雅彦が寝ることになる。


前線に置いているテントや寝袋は傭兵隊がそのまま使うとして、数が足りない分については傭兵隊がこれまで使っていたテントや毛布などをそのまま使うことにした。


流石に一気に50人も増えるとは思っていなかったので全員分のテントや寝袋は用意していなかったのだが、結構多めに買っていたので、とりあえず半数には行き渡らせることが出来たのだ。


傭兵隊はこれまでテントは軍が支給されていた大型の物を借用していたのだが、寝袋はなく、普段着ている装備の上にゴツい毛布を身体に巻いて夜は寝ていた。


まあ彼らは野宿するのが慣れているので、雨が当たらなければこの程度の寒さであればどこでも寝ることが出来たのだ。


しばらく、雅彦は彼らからドラゴニアについての話を聞いていた。


ゲルハルト「我らは以前は北方の諸国連合と主に戦っていたんだけど、最近になって北部戦区と彼等が停戦協定を結んでしまったので戦がなくなってしまったんでさ。


だが、代わりにドラゴニアの中央政府はこれまで比較的平和だった東部戦区にテコ入れして、ビスマルク王国などに戦狼外交を仕掛けるようになってきたんですよ。


噂では中央からかなりの軍資金と兵糧が東部戦区に流れ、隣国との交易を盛んにすることで経済を良くしようとしていた戦区長を罷免して、代わりに中央戦区から好戦的と言われている幹部を戦区長に就けたらしいですわ。


今、こちらの地方に派遣されてきた軍隊はこの先12万エル(約60キロ)の距離に駐屯している東部戦区第二軍の総兵力一万の軍隊です。


我々がいたのはその第二軍所属の第七中隊です」


雅彦「敵の軍の様子はどうだった?」


ゲルハルト「今はおそらく最悪な雰囲気ですぜ(笑)

中隊の隊長があの鉄製のイバラの罠にハマって激怒してましたよ。

昨日とかの話はオレらも知らないんだけど、アチラはどうなったんですかい?」


雅彦「今度は大量の丸太を抱えて堀を越えて来ようとしたけど、火炎瓶(フラーメンフラッシェ)と涙が止まらなくなる霧をかけてやったらまたしても退却して行ったわ」


ゲルハルト「なんですかい、その火炎瓶ってのは?」


雅彦「火を付けたら爆発的に燃え上がる水を入れた瓶に火を着けて相手に投げる兵器さ。

今でも俺らの世界で使われることがある武器さ。

涙が止まらなくなる霧ってのは説明が難しいが、目に少しでも入るとその日は目がヒリヒリして涙が止まらなくなって闘うどころではなくなるね。

火炎瓶の方は浴びたら死ぬけど、涙が出る霧は浴びても死なないんで興味あったらかけてあげるよ」


ゲルハルト「いや、ボス、それは勘弁して下さいよ。

俺らがもしあの場所に残っていたら、もしかすると黒コゲになって死んでいたか、もしくは涙が止まらなくなって悶絶してたかどっちかだったかもしれませんね」


雅彦「俺らが持ち込んだ武器や道具なんかも少しずつ説明してやるよ。

さっきも言ったけど、お前たちはこの世界で最強の傭兵部隊となるんだぜ。

想像してみろよ。

わずか50人の部隊なのに1万からの敵を撃破するようになる処とかをな。

実際、俺らは戦闘の素人の女の子たち40人で、千人もの戦闘のプロたちを相手に今のところ損失ゼロで守り続けてるんだぜ。

彼女らで出来るなら、勇猛で名高い君らヴァイキングの末裔にそれ以上のことが出来ないわけないよな」


ゲルハルト「ボス、その『ヴァイキング』ってのは何ですかい?ボスの世界にもそういう民族がいるんですか?」


雅彦「ヴァイキングっていうのは随分昔、こちらの世界にいた伝説的な戦闘民族で勇猛果敢でかつ極めて戦闘力が高かったことで有名な民族の総称なんだよ。

君らを見るに、おそらくそのヴァイキングの血が混じっているんじゃないかと思うんだよな」


ゲルハルト「我らは北方諸国の血を引く者の集まりなんですけど、その北方諸国がボスが言うところのヴァイキングって奴なんですか?」


雅彦「行ってみないと分からないけど、その可能性が高いな。

そこまで行くとなると、今のドラゴニアをなんとかしないといけないわけだが、あの国って兵力はどれくらいあるもんなんだ?」


ゲルハルト「なんとも言えないですが、北部戦区と北方諸国連合との戦いでは、10万と10万のぶつかり合いってのも普通にあったんで、かなりの兵力があることは間違いねぇ。

あと、まだこちらには居るとは聞いたことないですけど、狼などを大量に使う部隊や、ゴーレムと呼ばれる巨人や、ドラゴン族、ワイバーンなどを使役している部隊とも一緒に戦ったことがあるんで、そちらはマジで厄介だと思いますぜ」


雅彦「野良のワイバーンがそこら辺を飛んでいるのを見たことはあるけど、ドラゴンとかもっとデカいんだよな?

あと、ゴーレムって何だい?」


ゲルハルト「トロール族よりさらに巨大な種族でさ。

うちのヴォルフラムの倍くらいの大きさになるのと、やたらと力が強いので戦場でまともにぶつかったら勝ち目がねぇ。

こいつらも元は北方諸国出身の種族なんで俺らに近い連中ですね。

ドラゴンはたまにしか見かけねぇが、それこそドラゴニアの国名にもなったくらいなんで、強力なモンスターですぜ。

デケェわ、火は吐くわ、攻撃は通じねぇわ、ありゃバケモンやな。

制御が難しいのが難点らしいけど、戦場での脅威度はナンバーワンですわ」


おいおい、以前敵の捕虜から聞いていた話と少し違うような気もするが、まあいいだろう。

当たるとしてもまだだいぶ先なので、比呂とかに策を出させて対処すればいいだろ。


雅彦「うむ、分かった。対処法はこちらで考えておく。

あと、君らが思うドラゴニアの強さの秘密って何だと思う?」


それぞれ顔を見合わせたが、ここで初めて副長のヴォルフラムが発言した。


ヴォルフラム「奴らは戦いに手段を選ばない処ですかね。

国力が大きいので兵力も多いのは間違いないんだが、それ以前に敵国に対する浸透工作が凄い。

敵国の上層部を買収して内部崩壊をさせたり、先に経済的な結び付きを強くさせておいて、他の国をドラゴニアに経済的に依存させておいて言う事を無理矢理聞かせるとか、手段を選ばない処がドラゴニアの強さでしょ」


雅彦「おいおい、我々の世界にも似たことをする国があるぞ。

俺らが住んでる国はそういうのが苦手なんだよな、他に誰かないか?」


ここにきて初めて発言した女傭兵がいた。


レベッカ「あの国の一番恐ろしい処は、圧倒的な穀物生産量でしょう。

国の真ん中に肥沃な大穀倉地帯を抱え、それらを大量の農奴によって耕作させている。

大量に生産された食料を元に兵站を組むので、兵士が食べ物で苦しむことは滅多にない。

ドラゴニアが何十年も大軍を維持して戦うことが出来るのはあの兵站の強さあってのことなんです。

また、馬の育成にも欠かせない草原を多く抱えているので、騎兵が強いのも特徴的です。

ドラゴニアと戦う国は、まずあの圧倒的な騎兵隊への対処が迫られることが多いでしょう。

ですのでマサヒコさん達みたいな、堀などを作ってドラゴニアの騎兵の接近を阻止した作戦は大正解です」


雅彦「えっと君の名前は何かな?」


レベッカ「失礼しました、レベッカと言います。得意な武器は両手剣です、宜しくお願いします」


雅彦「また、全員の名前と顔を教えてもらわねばならないな。こちらこそよろしく、レベッカ。


他にも言いたいことがある人はいるか?」


ゲルハルト「ボス、もう一つありますぜ。

ドラゴニアは大型武器がやたらと種類が豊富なんでさ。

投石機や破城槌など、以前戦っていた敵国などから学んだ技術を持っているので、奴らは攻城戦にもやたらと強いんですよ。

おそらく、近日中にこちらにも大型の武器が登場すると思います。

我々があちらを出発するときに既に工兵が作り始めてましたし、本隊からも攻城兵器が送られてくると思います。

特に奴らの武器で気を付けねばならないのが、『バリスタ』でしょ。

車輪付きの台車の上に設置する大型のクロスボウですが、巨大な鉄の矢尻が付いた矢の他にも、投石機としても使えるので、敵の戦列にバリスタの一斉射撃で穴を空けて、そこに騎馬兵を突っ込ませる戦法はかなり使ってましたね」


雅彦「敵軍にそのバリスタが大量に配備されていたらどうする?」


ゲルハルト「手で持てる木の板で作った盾では歯が立たないので、丸太を並べた置き盾を前面に並べて、敵のバリスタの攻撃を防いでから一気に距離を詰めて倒しますかね。

連射が効かないのが弱点なんでそこを突くわけですよ」


雅彦「なるほどね、また詳しくドラゴニアの事は教えてくれ。

ここには来ていないが、作戦の立案は比呂という日本人に任せている。

彼に詳しくドラゴニアの内情について説明してやってくれ、ゲルハルト。


あと、少し気になったのは、あの国の傭兵はどれくらいいるのか?

君たちが傭兵になった経緯を教えてくれないか?」


ゲルハルト「我々の様な50人規模の傭兵隊は俺が知る限り、少なくとも10近くはありますぜ。

俺らの傭兵隊も元は他の傭兵隊にいたり、個人でやっていた人も大勢いるんで、元々からいるのはヴォルフラムやレベッカ以外に数名いる程度ですぜ。

中には数千人規模の傭兵隊もいますが、それらはドラゴニアの党の幹部の子息がやってる場合が多いので、俺らとは少し毛色が違いますかね、ほとんど正規兵みたいなもんですから。


国の半分は奴隷のあの国で、我々みたいな北方諸国出身者の子孫が奴隷にならないで生きていくには、傭兵になるしか手がないんです」


雅彦「なるほど、ありがとう。

君らはもれなく私の直属の配下となったわけだが、もし今後、戦いが元で怪我などをして戦闘出来なくなったとしても、我々は諸君らを見捨てることはしない。

必ず別の仕事は用意するし、仕事も出来ない体になってしまった場合も生活の保護をすることを約束する。

だから安心して戦って欲しい。

だが、これだけは覚えておいてくれ。


オレがこの世界に来て目指しているものはあくまでも平穏無事な生活を送ることだが、それ以外にも「我々の味方の損害をゼロにする」という目標もあるんだ。


損害ゼロということは、死亡して脱落する以外にも怪我をして戦えれなくなる人もゼロに抑えるということだ。


諸君らはおそらく戦以外の生活はあり得ないだろうから戦をする機会を奪う気はない。


だが、戦うならば必ず圧勝させて、こちらの損害はゼロに抑えるように持っていってやる。


それが嫌な時は、私の配下から抜けてくれればいい。


私と君たちとの契約は、お互いが死ぬその時まで自動的に続く。


それで異存はないな?ゲルハルト、ヴォルフラム、レベッカ?」


一同「もちろん、異存ありません!!」


平原に響き渡るほどの大音響で返答をする傭兵隊であった。



雅彦はしばらく彼らの顔を感慨深く見廻していたが、ふと思いついたことがあったので、ゲルハルトを読んで小声で聞いてみた。


雅彦「そういえば君たちは夜の相手はどうしてるんだっけ?」

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