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ヴィルマの誘惑とカプサイシンバッサー改

ここまできたらいっその事こと抱いてもいいんじゃね?などとも思ったりもするんだが、「いやいや、待て待て。もうじき夜明けだし、戦闘中に何したんだよってことになったら言い訳できないでしょ?」などとも思う。


そもそも今居る場所は林道の出口付近まで引っ張ってきているトレーラーハウスの中なので、近くには村の女の子たちが寝ているテントがあるし、何より数十メートル離れた崖の上では寝ずに見張りをしている女の子がいる。


こんなペラペラの壁しかないトレーラーハウスでいたしたりしてたらすぐ周りにバレてしまう。


その反面、成人男性としては極めて健全な体の持ち主でもあるので、当たり前の生理現象も起きてくるわけだし、「こんなん、どーすればいいんだー!!」と心の中で絶叫することになる。


唯一の救いはヴィルマはボディアーマーは脱いでいるが、ゴワゴワとした戦闘服をまだ着ているので、柔らかさが直接は伝わってこないことであったのだが、、


それにしても、だ。


滅茶苦茶 柔らかいし、雅彦好みの少し強めのいい匂いがするし、爆発する寸前まで追い込まれていたのだ。


ヴィルマの頭髪がちょうど雅彦の鼻の辺りにきていて、顔は雅彦の胸に埋めているのだが、暗闇に目が慣れてきてある事に気が付いてしまう。


目の前にヴィルマの綺麗なうなじが広がっていたのだ。


「ドクン」


雅彦は心臓の鼓動が強くなることを感じていた。


うわ、何この綺麗で美味しそうなうなじ、初めて見た!


バンパイアがもし、こんなシチュエーションになったとしたら、迷いなくこのうなじに牙を立てるんだろうなと思った。


そういや以前、親父が持ってたDVDでこんなシチュエーションになったダンピール(バンパイヤと人とのハーフ)が、ギリギリの処で自分を抑え込んでセーフっていうアニメを見たことあったな。


うわ、マジでヤバい、あのアニメと同じじゃんか!

欲望を抑えきれそうにない程、アソコがギンギンになってしまってきた。


ヴィルマに悟られたらマズいので、腰を後ろに引こうとするが、ヴィルマは逆にその身体を雅彦に押し付けてきた。


「終わった〜(´Д` )」


雅彦のお腹辺りにヴィルマのふくよかな胸が押しつけられ、雅彦の股間のアレがヴィルマのお腹辺りに押し付けられる形になってしまっていた。


「うっわー!!終わった。ヴィルマに『ピー』を押しつけてしまった」


ヤバい、ヤバい、これはホントにヤバい。


少しでも動くと暴発・暴走しそうになる!


落ち着けー、落ち着けー。


こういう時はアルプスの長閑な風景でも思い浮かべるといいぞと何かで見たことがあるぞ。


そうだ、こんな時こそ般若心経を頭の中でループしてやれば落ち着けるハズだ!


必死に心の中で般若心経を唱える雅彦。


敵に聞こえるようにスピーカーから流しん続けている般若心経にここまで感謝したことはない雅彦であった。



一方のヴィルマは、そんな雅彦の身体の反応を嬉しく思っていた。


いつまで経っても自分に手を出そうとしない雅彦も、自分にちゃんと反応してくれているのだから。


ここに来たのは、雅彦が自分をどう思っているか分からなくなってしまい不安になってしまったからだ。


ヴィルマの心の傷は正直、まだ癒えているとは言えない状況だった。


これまではそんな時にイングリットが添い寝してくれて、彼女の暖かくて柔らかい身体の感触で一時的に忘れることが出来ていたのだが、ここ戦場ではそれも難しく、ここ数日、ほとんど寝れずにいたことで心の傷が悪化していたと感じていたのだ。


イングリットはそんなヴィルマの様子を側で見て感じとり、雅彦の処に行って抱いてもらうようヴィルマに促していたのだった。


「いーなー、私も男に抱かれてみたいよ」


ヴィルマを送り出した後でそんな独り言を言って寝袋にくるまるイングリットだった。



ヴィルマはまだ雅彦という「人」のことが理解出来ずにいた。


こちらの世界では、現代日本とは違い甲斐性のある男には複数の女性が嫁ぐ一夫多妻制という風習があるのだが、力と財力がある男性なら女性は積極的とは言わないが抱かれたい、子供を産みたいと思う傾向がある。


だから、魅力のある「(オス)」に抱かれることはヴィルマにとっては実は抵抗ないことであるのだ。


だが、この人は私にちゃんと欲情してくれているのに(それもかなり激しく)、それなのに抱こうとしない。


一生懸命に自分を抑えようとしているのは明らかだった。


反応はしているのに、抱こうとしないのはなんでだろう?


そういえば他のニホンジンのヒデアキやヒロも、抱こうと思えばそれこそ日替わりで村の女性たちを抱くことも出来そうなのに、彼らも誰にも手を付けようとしていない。


村の女の子達も、ここ数年 男性がいなくなって身体を持て余していることは間違いないので、彼女たちも望んでいるのだが、

村長のエマから「ニホンジンを怒らせたり失望させたりしたら村への支援が断ち切られてしまうかもしれないからくれぐれも不用意な事はしないで」と言われていたので皆、積極的に彼らを誘惑するのは我慢していたのだ。


まあ、せいぜい、秀明が日本から持ち込んだ服を着て彼らに自分たちの女をアピールするくらいだったのだ。


今、こうして雅彦に抱きしめてもらっていて、ひとつだけ分かったことがある。


おそらく彼は、今は戦時中なので抱こうとしないだけなのだ、と。


この村がドラゴニアからの侵略に晒されていると知ってからというもの、彼らは全力で私たちの村を護るための準備をしてくれていた。


そうして、実際に敵の攻撃を何回も跳ね除けてくれているし、明日本格的にされるであろう敵の大規模攻勢に彼らならまた勝って私たちを護ってくれるだろう。


いつか、ドラゴニアが去り、平穏な生活が戻ってきたら、その時は彼も何に遠慮することなく私を抱いてくれるだろう。


…そうして、彼の熱さをお腹の辺りで感じながら眠りに落ちていくヴィルマなのであった。



翌朝。


といっても4時間ほど経ち、空は少し明るくなってきた頃だが、見張りの子が鉄板をガンガン打ち鳴らした。


慌てて飛び起きた雅彦とヴィルマ。


なぜか服を脱いでいた二人は慌てて服を着ながら、トレーラーハウスから飛び出した。


ちょうどそこへイングリットがやってきて「上手くいった?」とヴィルマに聞いてきたので彼女は頬を赤らめながら「うん」とだけ答えた。


雅彦は上着を羽織っただけの状態で、崖の上に一気に駆け登り見張りの子から状況を確認しようとしているようだった。


村の女の子たちも一斉に戦闘服を着込み、ヘルメットやボディアーマー、半長靴などを装着していく。


ここら辺はさすがに訓練が行き届いている様子であった。


ヴィルマは無線機を片手に崖の上に登り、見張りの子から様子を聞いた。


まあ、聞くまでもなく、敵の本隊が大量の丸太を持ち、最前列を大楯を並べた重装歩兵でガードしつつ、進軍を始めた様だった。


ここで雅彦はヴィルマに村へと連絡してもらうと同時に、ここにいる全員に軽く朝食を取るよう指示し、見張り役の子に休憩に入るように伝えた。


この報は即座に秀明や比呂、エマやアレクシア達に伝わり、それぞれ戦闘の準備を開始した。


雅彦が言うには敵の先頭が防衛ラインに到達するのは早くても20分はかかるし、今の戦力で迎撃出来るからそれほど増援を急ぐことはないとのことだった。



この報を聞いた秀明は「ほう、敵を目の前にして結構冷静な事を言うようになってきたな」と感心した。


丸太を大量に抱えているということは、おそらく有刺鉄線や堀を丸太で上から塞いで橋のようにして渡ってくるつもりなのだろう。


作業の邪魔が入らない様に最前列は大楯を並べてこちの弓矢からの攻撃を凌ぎつつ、反撃されないように後列から我々に向けて大量の矢を放ち、その隙に強引に前進してくるつもりなのだ。


橋さえ掛けてしまえば後は500騎近くいる重騎兵を突入させて蹂躙させるつもりなのだろう。


おそらく、味方の士気を上げるために怒声を上げさせながらとか、武器をガンガン打ち鳴らしながら接近してくることだろう。


そのプレッシャーは実際、間近で感じると凄いものだ。


下手するとおしっこちびりそうになるほどだ。


そんな極限の精神状態で冷静に事を進めることが出来るかどうかは前線指揮官の雅彦の肩にかかっていたのである。



一方、雅彦は何故だか分からないがスッキリとした顔をしていた。


いや、なんでだろう。


そういえばヴィルマもなんだか妙に落ち着いた様子になっているし、さぞや良い睡眠が得られたのであろう(たぶん)。



「ありがとう、これで思い残すことはないわ〜」などと誰にも聞かれない独り言を呟いた雅彦は、崖の下の女の子たちに放水の準備と発電機の用意、それから火炎瓶や秘密兵器などの準備をテキパキと指示していった。


雅彦は崖の上から防衛ラインに向けて、小川の水を大量に撒き始めた。


前日に撒いた水はまだ乾ききっていないので、あたり一面が泥の海に戻るのも時間はかからなかった。


崖の下では防戦準備が整ったようなのでいつもの様に弓隊はライオットシールドや自作のアルミ製シールドの後ろに隠れさせ、万が一 突破してきた敵を足止めする長槍隊はランクルの真後ろに槍とバリスティックシールドを持たせて待機させた。


今回は弓隊に矢は撃たせず、敵が接近してきた時のみ撃たせるよう指示を出していた。


「ガン!ガン!ガン!ガン!」も武器と盾を打ち鳴らしながら接近してくるのが後方の弓隊からも確認出来るほど接近してきた。


ヴィルマとイングリットも打ち合せ通りに崖の上に登ってきた。


雅彦「さあ、始まるぞ」


雅彦は双眼鏡で敵の様子を見ながら、敵の前線指揮官と思われる兵士の動きでそう言った。


号令と共に後列から一斉に矢が放たれた。


先日の攻撃の時より遥かに多くの矢が空を覆う。


これは、騎馬兵も同時に発射したのであろう。


大量の黒い矢がランクルを中心に降り注いだ。


崖の上の雅彦たちの所にも大量に届き、頭上に掲げておいたバリスティックシールドにガンガン当たった。


先日は散発的に発射していた矢を今日は途切れることなく発射し続けている。


雅彦「大丈夫か?」


ヴィルマとイングリットはうん、と目で合図するのだった。



そうこうしているうちに最前列は最初の鉄条網のラインに到着した。


盾の陰から見ていると、敵軍は大楯の隙間から丸太を持った兵士を先に進ませようとし始めたのが確認出来た。


雅彦「よし。火炎瓶(フラーメンフラッシェ)を投げる準備をしろ!」


雅彦たちは崖の上から一斉に丸太を持つ兵士に向けて火炎瓶を投擲し始めた。


イングリットがテキパキと瓶をクレートから取り出して、ヴィルマがライターで火を着けて雅彦がポイポイと投げる。


すると、火炎瓶は大楯や丸太などにヒットして割れ、辺り一面を火の海に一瞬で変えた。


ここで弓隊からも一斉に攻撃を開始した。


あっという間に崩壊する敵の前衛部隊。


雅彦の攻撃は容赦なく続けられ、少なくとも30人余りの兵達が引火して小川に殺到しようとしていた。


また丸太を抱えていた兵たちにも飛び火があり、慌てて消そうとして手を離してしまい、押しつぶされる兵が続出、控えめに言っても「地獄絵図」が目前で展開されたのだった。


更に雅彦は、崖上に持ち上げていた高圧洗浄機のスイッチを入れ、タンク内に入れている水を敵兵の頭上に散布し始めた。


最初は何ごとか分からなかった兵士達も、目や喉の痛みでのたうち始めた。



そう、これは比呂が予め用意していた大量の唐辛子から抽出していたカプサイシンと、ホームセンターや薬局でも手に入るある薬品をほどよくブレンドした、通称『カプサイシンバッサー改』であった。


これは催涙スプレーなどの成分を調べて研究していた比呂が、手に入る素材で独自に編み出した、「暴徒鎮圧用の催涙ガス」だ。


雅彦の方は風上だったので今回はガスマスクとか着けていなかったが、少しでも逆流して浴びてしまうとこちらも大変なことになる。


まあ、目薬なども持ち込んでいるので応急処置は出来るだろうが。


カプサイシンバッサー改は直接浴びた兵士だけでなく、はるか後方の弓隊や騎兵などにも霧状で届き、あっという間に隊列は崩壊し、退却する兵士が続出した。


ちなみに小川に飛び込んだ兵士にも試練が待ち構えていた。


予め弓隊が小川にも同様のカプサイシンバッサーを少しだけだが混ぜていたからだ。


もう、こうなると敵軍は収拾がつかなくなり、完全崩壊してしまうのだった。



比呂がドローンを前線上空に飛ばした頃には勝負はついていた。


防衛ラインの直前辺りには多数の焼け焦げた盾や丸太と共に兵士の死体が転がり小川の中にも同様の死体が数体転がっていた。


敵は戦意を喪失して一斉に後退して行ったのであった。


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