表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

488/494

比呂たちの脱出とラボチャの半包囲

比呂たち第三遊撃隊を追う、というか迎え撃つドラゴニア軍側からしてみたら、出城の目前まで彼らを追い詰めた処までは見届けていたのだが、出城の正門付近で大規模な爆破が複数起こり、第三遊撃隊を追っていたハズの友軍が出城に雪崩れ込んだ辺りで比呂たちを完全に見失っていた。


正門を食い破られた出城に雪崩れ込んだ友軍は出城内部にいた駐屯兵たちに襲いかかり、至る所で凄惨な同士討ちが始まった。


クスリによる効果と長距離を走って来たことで完全に我を失った狂戦士化したドラゴニア兵は、出城の中で度々起こる爆発音を目指し次々と乗り込んでいった。


出城の周囲に張り巡らされた空堀に沿って西に迂回した比呂たちを追ったのは狂戦士化した兵士のうちのごく一部だけであった。


だが、それらも比呂たちの巧みな運転技術と機転により、ほぼ無駄になりつつあった。


空堀から華麗なジャンプを決めて脱出した比呂たちの背後では、ドラゴニア軍のシラフの正規兵と、クスリでラリった上に長距離を全力疾走したことで完全に我を忘れた狂戦士五万とが、完全な戦闘状態に陥っていたのだ。



比呂はドラゴニア軍の守備兵の間に西に向けて疾走していたが、守備兵として展開していたドラゴニア軍は比呂たちの突然の出現に唖然としていた。


彼らが配置されていた場所は出城の西側。


ポプラトの南西で、最前線となるとは全く思っていない後方部隊だったからだ。


完全に裏取りされたドラゴニア軍の隙間を一気に駆け抜けていくが、それらの部隊長は攻撃してこない比呂たちより、出城内部や外で繰り広げられている凄惨な同士討ちに気を取られていたのだ。


あたふたする指揮官や兵士たちを尻目に比呂たちは部隊の隙間を抜け、一気に西へと走り去っていくのであった。



一方その頃、逃げていたゲルハルトたちを追っていたドラゴニア軍の一部がラボチャの丘を半包囲していた。


丘の上に立て篭っているのは満身創痍となったゲルハルト率いる第二遊撃隊と、比呂が残していったラグナルが運転するランクル70系をベースにした消防車である。


ラグナルの消防車に乗り込んでいるのは、運転手がラグナル、ナビがオットー、射手(ガナー)がラルフという体制である。


ただ、消防車だけは他の車とは別で、クルマそのものに備え付けの高速徹甲矢砲(エアバリスタ)は備え付けていない。


後部座席に古いタイプの手で持つタイプのソレを備えているが、最大の武器はエンジンの動力をそのまま利用した高圧ポンプから発せられる水である。


通常のポンプ車は完全にクルマを停止した状態でないとポンプを稼働出来ないが、このクルマの場合は出力はクルマの駆動に取られるがポンプを稼働しながら走ることが出来る。


目的は走りながら牽引する水タンクから汲み上げた水を放水することが出来るようにするためだ。


ここでは、戦闘が一時的に不能となっている第二遊撃隊に代わり、孤軍奮闘するラグナルたちの活躍にスポットを当てていきたいと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ