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出城への突進

楔形陣(パンツァーカイル)と呼ぶにはあまりに少ない台数の陣形であったのと、そもそも「戦車」ですらない普通の四駆での突撃ではあったが、モンスター兵器は存在していても内燃機関や火薬兵器の存在しないこの世界では絶大な力を発揮していた。


雅彦たちが異世界(ミッテレルネ)に出てきた当初は、秀明の個人所有であるライフル銃やショットガンはあったが、基本的に剣や槍や弓矢など中世まで使われていた武器を使用していたため、武力や破壊力を上げるには多くの兵士を集め、クルマの台数も増やしていく必要があった。


旧式は武器しか調達出来ないことを補うために、工事で使用するユンボを戦闘で使えるように改造したり、クルマの動力を利用した高速徹甲矢砲(エアバリスタ)を開発してみたり、日本でも簡単に手に入る有刺鉄線や催涙成分、LRADなどの暴徒鎮圧用装備などを入手してこれまでなんとかヤリクリしてきたのだ。


だが、「火薬」それも通常の歩兵用火器で使用されている無煙火薬の約2倍の爆速を誇る高性能火薬の異世界での量産化を成功させたことによる戦力の強化は著しかった。


わずか3台の多少改造されたランクルで、15万近くの大陸最強の武力を誇るドラゴニア軍を翻弄していたのであった。


ちなみに、当初は10万程度だったゲルハルトたちへの追跡部隊は、比呂たちのポプラトへの接近などもあり、遂に15万程度にまで膨れ上がっていたのだ。


正に地平線を覆い尽くさんばかりの大軍であった。


前後左右、全てに展開して襲いかかって来るドラゴニア軍歩兵に包囲された比呂たちは絶体絶命のようにも思えた。


だが、比呂たちを包囲する部隊のそれぞれの指揮官たちはこの予測困難な状況に困惑していたのだ。


上から届く命令では「ポプラトへは絶対に進入させるな」というものだったのだが、比呂たち第三遊撃隊から放たれ続けているのは彼らが見たこともない爆裂を繰り返す兵器であった。


左右から挟み込むように比呂たちを挟撃してすり潰すようにしてやろうと動くのだが、最前線の兵士たちは悉く爆裂する正体不明な武器の餌食になり、甚大な損害を被っていただけでなく、中には一撃で戦闘不能に陥る百人隊などが続出したのであった。


前後左右から包囲することを困難にしていたのは比呂たちの持つ榴弾だけではなかった。


比呂たちの背後に迫っていた約五万もの狂戦士化された兵士たちの群れの存在である。


彼らはクスリの力で理性が飛び、疲れ知らずとなった凶暴な兵士たちであったが、もうかれこれ何十キロも比呂たちを追って走り続けていた。


その容貌と迫力は凄まじく、口から泡を吐きながら目を血走らせ、奇声をあげながら全速力で走る彼らは正にホラー映画などでよく見る「走るゾンビ」であった。


比呂たちを挟撃する命令を下された部隊が比呂たちだけでなく背後に迫る味方のハズの狂戦士の群れの迫力に躊躇している隙を突いて比呂たちは全速力で前進を続けた。


そこへ比呂たちは大量の白煙を吐き出しながら走り始めたのだ。


比呂たちの背後の狂戦士の群れはたちまち視界を塞がれたが、走る方向は決まっていた。


前方で次々に起こる爆音を目指していけば比呂たちに追いつくハズだったのだ。


比呂が想定していた全ての条件は整った。


前方にはポプラトの防衛ラインを構築する出城と塹壕が広がり、左右にはドラゴニア軍歩兵、背後には五万もの狂戦士化したドラゴニア軍歩兵。


一見、絶望的な状況であったが、比呂のここからの用兵は天才的と呼べるものであったのだ。


比呂「火力を全て正面の守備兵と背後の門へ集中させろ!


C弾(手榴弾)の使用も許可する!


隊列を単縦陣に戻し、エーギルとアルビンは俺について来い!!」


そう言うと比呂は大軍が守備する出城の門を目指して突進していくのであった。

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