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開戦直前

雅彦「面倒なことになっているな。


ドラゴニアめ、指揮官や部隊長が分からないよう工夫をしてきてるな」


今までの戦いでは、部隊長クラスや中隊長(千人隊)の指揮官クラスの敵将は、一目で指揮官だと分かる服装やポジションであったが、今では分からないようにしていた。


これはドラゴニア側の多大な努力の賜物である。


今までは部隊の先頭に立ち、剣を振り回しながら味方を鼓舞したり、指揮をしていた者たちが、それらをせずに指揮するようになっている。


現代のようにトランシーバーなどが普及している軍隊などならそれも容易いかもしれないが、伝達手段は角笛や太鼓、鐘などを打ち鳴らす音や狼煙などしか使えない軍で、指揮官を分かりにくくするのは困難を極めていた。


ヘッダ「いや、マサヒコの旦那、よく見たら指揮している人が分かるよ」


ヴァイキング三姉妹の長女ヘッダは、ユンボのキャビンを覗き込む雅彦に対してドローンのコントローラーパネルを見せてこう言った。


ヘッダ「例えば、この人。


この部隊の中でこの人だけ大声を挙げているでしょ?


部隊長に代わって隊に命令を伝えているだけの下っぱかもしれないけど、こういう人を一人一人刈っていけば、そのうち命令を伝える人が誰もいなくなるんじゃない?」


雅彦「まぁ、そうなるけど、百人隊クラスの敵将をいちいち倒していくのも時間かかるな。


ライフル弾も無限にはないからな。


狙うのはやはり、敵軍の大将クラスだな」


ヘッダ「五万人からいる軍の大将となると、相当、後ろの方から指揮しているんじゃないかしら?


それとも、昨日、マサヒコさんが撃ち落としたワイバーンに乗って指揮しているとか…?!」


そう言うと、ヘッダは空を見上げた。


だが、幸いなことにドローンの大敵になりそうなワイバーンは空を飛んでいる様子はなかった。


雅彦「昨日、怪我までして撃ち落としたからな。


…でも、戦場から離れた場所から指揮している可能性はある。


捜索範囲を少し広げて、敵軍総大将の位置を探ってみてくれ」


ヘッダ「分かりました」


雅彦「敵軍はもうじき突っ込んでくる。


そうしたらドローンは俺が引き受けるから、ヘッダはユンボで打ち合わせ通り、出撃してくれ」


雅彦はそう言うと、顔をしかめながらユンボから降りて、自分のクルマによじ登ると無線機のマイクを取って全軍に指示を飛ばし始めた。


雅彦「二郎さん、引き続き、目立つ挑発を続けて下さい。


敵が攻めてきたら、LRADの音をぶつけつつ後退、投石部隊(スタッフスリンガー)は、一斉に敵前方に対して攻撃開始だ。


グリステン・長槍部隊は、打ち合わせ通り、敵軍が最終ラインを通過した時点で敵軍に突撃開始。


訓練通りにすれば、誰一人死ぬことはない。


落ち着いて任務を遂行してくれ」


そう言う雅彦の言葉には、若者の言葉とは思えないほどの信頼感と安心感があった。

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