表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

441/494

第二次ラボチャの戦い

夥しい犠牲を出しながら、それでもドラゴニア騎兵は半包囲つつゲルハルトたち第二遊撃隊を追った。


いくらタフとは言え、矢傷を多数負ったゲルハルトたちが戦闘を続けるのは困難であったためゲルハルトは比呂との合流地点であるラボチャの丘へと向かった。


ラボチャは以前、秀明や影山の輸送隊を襲った赤い鎧で統一されたドラゴニア重装槍騎兵をゲルハルトとグリステン兵との合同軍で迎え撃った場所で、雅彦とグルカ兵が最初に顔を合わせた場所でもある。


丘の西にはテトラ山地から連なる広大な森が広がり、南西にスピスカ=ノヴァ、東にクロンパキーやパイネがある。


つまり、この地は屠龍軍、ドラゴニアの双方にとって重要な戦略的拠点であった。


ドラゴニアにここを押さえられてしまうとスピスカ=ノヴァとクロンパキーとの物流が遮断されてしまうので、ドラゴニアとしても是非とも手に入れたい場所でもあったのだ。


ラボチャは緩やかな丘の上にあり、今は完全に破壊された集落の跡がポツポツと点在していて、雅彦や比呂などはクロンパキーに完全な防衛拠点を構築した後には、このラボチャに砦を築き、守備隊を配置するつもりでいた。


現在は人手も物資も全く足りていないので完全に放置されていたが、再びこの地が戦場になろうとしていたのであった。


ゲルハルトがラボチャへ向かっていたら右前方にクルマと思われる灯火を発見した。


よく見るとそのクルマもドラゴニア騎兵の集団に追われていたが、そのクルマからも恐らくC弾と思われる手榴弾が背後に迫るドラゴニア騎馬兵の中に投じられ、A弾より遥かに大きな爆音と閃光を発していた。


ゲルハルト「そこのクルマ!ラグナルか?!」


ラグナル「はい兄貴!やっと追いつきました!


ヒロサンに先に行って水を汲んでおく様言われていました!」


ランクル70消防車に乗るラグナルたちはバンバン跳ねながら草原を疾走していたが、ゲルハルトたち第二遊撃隊に合流すべく、進路を左に寄せていった。


ゲルハルト「俺らもC弾を積んでいただろ?試しに一発、後ろに投げてみろよ?」


その言葉を聞いたルーカスは、車内のパーツボックスを漁り、「C」と書かれた金属製の弾薬箱を開けて射手であるクラウスに手渡した。


クラウス「は?!なんだこりゃ?


あ、C弾か!どうやって使うんだ、これ?」


ルーカス「輪になっているピンを抜いて、7秒後くらいに爆発する。


試しに一個、投げみろよ」


その言葉を聞いた瞬間に、ドラゴニア騎兵が放った矢がクラウスのヘルメットのフェイスガードのシールドに直撃した。


頑丈なポリカーボネート製のフェイスシールドも完全に矢を防ぐことは出来ずに見事に矢の先端がシールドを突き破ったが、貫通することなく止まっていた。


拳銃弾程度なら防ぐことも可能なフェイスガードであったが、強化されたドラゴニア騎兵の放った矢によって既に多数の穴とクラックが発生していて矢の鋭さと勢いの凄まじさを物語っていた。


クラウスは血まみれの手でフェイスシールドの矢を引き抜き、矢が放たれた方に向けてC弾を投げるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ