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雅彦の頭脳内戦闘シミュレーション

比呂が会社を辞めて戦いの準備に明け暮れていた頃、雅彦は大型トラックでいつものルートを走りながら、今後、どうするかを考えていた。


まず、この件は親父の秀明、自分、弟の比呂の三名だけの秘密なので、自分の友人や会社の人にも相談したり協力してもらうことは出来ない。


独りでないだけまだマシだが、友人や同僚などにも相談も出来ないのはかなり孤独なものだ。


親父の鉱山と異世界が繋がっている、ということは極力秘密にしておこうとしたのにはちゃんとした理由がある。


異世界とこちらの世界では驚くほどの技術レベルの差や文明のレベルの差がある。


ということは、もし悪人が彼方の世界に行ってしまうと現代日本の知恵や知識を悪用して、どんな恐ろしいことをしてしまうか分からないからだ。


日本に産まれて住んで、日本という国は普通に好きだが、だからと言って無条件に日本人すべてや日本国政府を信用するわけにもいかない。


将来的にはあの異世界も「日本の領土の一部」ということで自衛隊や警察などに治安維持などをしてもらわねばならない時期も来るかもだが、現時点ではその時期ではないと思うのだ。


そもそも何故あのような非科学的なことが起きているのかがまだ分からない。


親父の秀明などは「お前が何らかの存在に選ばれたんじゃないか?」などと言っていたが、それすら分からない。


自分はあの世界をどうしたいのか?


今、言えることは純粋にあの村の人々を助けてあげたいという事だ。


僕がそう思うということは、「何らかの存在」もそれを望んでいて、だからこそ二つの世界が繋がっているのではないか?


ならば全力であの村への支援体制を整えよう。


ひとまず明日働けば念願の休みが来るので、異世界に行くのが楽しみなのだが、問題は「どうやってあの村を護るか」だ。


親父などは昔、剣道とかをしていたそうだし、伝家の宝刀なんて物を持っていたりするので接近戦とかある程度マジでやりそうだけど、オレやヒロなどは格闘技とかの経験がまるでないので接近戦とかマジで無理。


そもそも現代日本人が日本刀持ってチャンバラするのはオカシイやろ?ということで、接近戦とかは親父に任せてオレは独自路線をイカせてもらおう。


どうせヒロとかは軍略だの化学兵器だのやり出すに決まってるので、自分の得意技から攻めていこう。


で、自分の得意技と言えば、まず挙げられるのが「ランクルを使うスキル」だ。


もっと言えば「四駆で悪路をあらゆる手段を使って走破するスキル」だ。


ジムニーとか軽い四駆で軽さにモノを言わせて自走に特化した走りをする連中は四駆業界にも多いが、


オレが親父から学んだのは、ウインチやレスキュー用品なども含めて、あらゆる手段を駆使してA地点からB地点へ車を運ぶスキルだ。


場合にもよるが90度の崖を登ったり降りたり、横転した所から自力でリカバリーしたり、人も登れないようなぬかるんだ道を進んで行ったりとかなりの事がオレとランクル73なら出来る。


さらにオレのスキルを使えばランクル自体を強力な武器にする事も出来るだろう。


中世の世界で機動力のある兵器と言えば馬に乗る騎馬隊か馬で引く戦車くらいのものだが、ランクルなどの車による高機動力と、航続距離の長さ、また車自体を凶器にして敵に突撃する戦法もやろうと思えば出来ないこともない(さすがにやりたくないけど)



また、「サバゲーのスキル」だ。


これも親父の趣味を受け継いだものだが、現代の接近戦の基本程度は理解出来ている。


日本で使えるのはエアガンだが、例えばコンパウンドボウなどに持ち替えれば、ある程度なら森林内での待ち伏せ(アンブッシュ)や塹壕を活用した第一次世界大戦ばりの塹壕戦、建物の中での市街戦など出来るはずだ。


我々はハンディ無線機なども持っているので、複数の部隊の連携も出来るが彼方の世界ではおそらくコレだけで大きなアドバンテージになると思われる。


サバゲーで培った戦闘法を村の人々に教えればいいのだ。


…それらの事を考えていると、なんとなくだが自分がするべきことの優先順位が見えてきた。


まずは「いかにしてランクルを戦場で活用するかを追求すること」だ。


よくゾンビ映画や世紀末的な世界観の映画で出てくる四駆の前面に巨大なプラウを付けたり鉄の柵をスカートのように付けてゾンビを轢き殺しているのを見るが、


正直グロ過ぎるし無理なのと、あれはアプローチアングルを異常に削ってしまうので走破性が極端に落ちるため付けたくない。


だが、敵の矢や投石などへの対応も考えねばならないので装甲は最低限増やさねばならないだろう。


特に脆いのがガラス部分なのでステンレス製の網で保護するとか、透明の強化プラスチックなどで補強するなどの対策が必要だろう。


先日、村の狩人の女の子の弓矢で親父の車のセンターピラーがほとんど貫通してたけど、ランクルのボディの鉄板は確か0.8mm程度と一般的な乗用車よりゴツいはずだ。


それなのに矢が貫通してくるのは恐ろし過ぎるわ。


あと、ランクルを戦場で有効活用するなら、車体後方に取り外し可能な金属製の頑丈な柵を取り付けて、敵の接近をソレで防ぐという手が使えそうだ。


なぜ後方かというと、ランクルは基本的にフロントヘビーで前が重たいので、重い物を取り付けるなら後方の方がバランス的にも良いことや、


荷台に人が乗っておけば、車の中から敵を攻撃し易いと思うからだ。


鉄の柵で敵の接近や攻撃を防ぎ、安全な荷台から敵を攻撃するわけだ。


また、「機動戦」に活用することも出来る。


ランクルで突撃して敵を轢き殺すってのは最後の手段として、基本的には敵と一定の距離を確保しながら弓矢などで遠くから敵をチクチク攻撃することも出来る。


また古代の戦車みたいに荷台に長い矛や槍を持った兵士を乗せておいて、敵兵の近くを通りすぎる際に車の移動速度を利用して敵を攻撃することも出来る。


ということで、ランクルの改造は大至急行わねばならないだろう。


あと、サバゲーの知識と経験を活用するのであれば、村人に現代戦の装備を付けさせ、武器も近代的なコンパウンドボウを持たせたい。


あと、オレが出来るのはユンボを使った地形の変更だろう。


具体的に言うと、落とし穴を掘る、土壁を作る、塹壕を作る、などなど。


ヒロが過去の戦史に詳しいと豪語してたからヤツに案を出させてみるかな?


これも具体的なことを考え始めたらアイデアは幾らでも湧いてきそうだな!


…などと頭の中ではスッカリ戦場にいた。


とりあえず仕事が終わらないと何も出来ない。


最優先はランクルの改造だから、いつもの車屋に行って改造の相談を今日の仕事帰りに早速しておこう。


「あーー!!早く仕事を辞めたい!!」


大型トラックのキャビンでそう絶叫する雅彦なのであった。


如何でしたか、隠れ主人公の雅彦のターンでした。


稼いだ金の大半はランクルとサバゲにつぎ込んだせいで金がないのでなかなか仕事を辞めれない雅彦君の物語でした。


「お金」と言えば金の換金はどうなったのか?


次回は秀明のターンとなります。


お楽しみに!



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