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攻城兵器防衛陣地奪還作戦の終結

武装解除に応じたドラゴニア兵士は200人ほどになり、彼らは捕虜としてリンツ卿がパイネに連れて帰ることになった。


今回、陥落させた攻城兵器の数々もパイネに持ち帰ることとなり、新たに捕虜となった兵士たちに運搬させた。


雅彦とリンツ卿は敵の防衛陣地であった場所に残り、今後の打ち合わせをしていた。


リンツ「マサヒコ殿はこの後、どうされるのですか?」


雅彦「私どもは一旦帰り、約束の食料や製品を大量に持って来ます。


こちらの馬車のサイズでは3〜4台分ほどでしょうか。


リンツ卿は交換用の金塊などをご用意下さい。


双方の受け入れ体制が整えば、さらに大きなクルマでこちらに大量に持って来させますので、リンツ卿はパイネの商人たちにビスマルク王国内やアルターニャ王国などへの販路を拓く準備をお願いします。


あと、クロンパキー付近の敵軍を撃退する必要もあるので、こちらも大至急用意して戻ってきます。


クルマの台数は10台で今回の倍以上です。


攻撃開始は7日後を予定しています。


クロンパキー付近の敵軍の騎馬隊を叩き、クロンパキー村を奪還しておいて交易を開始するという感じですね。


リンツ卿には今回と同様に500の兵力を出して下さい」


リンツ「500でいいんですか?やろうと思えば千は出せますが?」


雅彦「500で構いません。全ての兵士に長槍を持たせておいて下さい。


村の外でドラゴニア騎兵たちを迎え撃ちます。


あとリンツ卿はこの防衛陣地を敵に奪われないよう守備兵を配置しておいて下さい。


もし、襲われることがあれば数日持ち堪えてもらえば、我々屠龍軍が救援します。


緊急時の連絡は早馬でお願いします。


村の入り口にある関所で『ジープ最高』と言ってもらえば中に通します」


リンツ「『ジープ最高』ですか?(意味不明)


意味は分かりませんが合言葉ですね、分かりました。


では、マサヒコ殿。また後日お会い致しましょう」


雅彦「はい、リンツ卿もお元気で、では!!」


雅彦は屠龍軍全員をクルマに搭乗させて、スピスカ=ノヴァへの帰還命令を出した。


雅彦「帰るぞ!野郎ども!!


ゲルハルト!ヴォルフラム!次の戦いは7日後でクロンパキー村だ!


それまでしっかり鋭気を養っておけよ!」


ゲルハルト「マジですかい、我が主人!楽しみにしてますぜ!」


ヴォルフラム「うお〜!!次こそは暴れるぞー!!」


比呂「ター君、影山さん、次の戦いは約7日後でクロンパキー村付近になるそうですよ。


頑張って下さいね?」


貴史「なにぃ〜?帰ったら1日くらいは休みをくれよな」


影山「雅彦、関所の合言葉を『ジープ最高』にしたんやな!お前、やっぱり分かってんな!


帰ったら、ランクル辞めてジープに乗り換えよ?」


雅彦「いや、丁重にお断りします(笑)」


こうして雅彦たち屠龍軍の一行は、スピスカ=ノヴァへと帰っていくのであった。


…………………………


雅彦たちが帰った後のパイネの様子を簡単に説明しておこう。


まず、パイネのすぐ近くまで来ていたドラゴニア軍の陣地を攻略し、こちらの損害は軽傷者が20名ほど、重傷者は1名ということでほぼ完勝したニュースが街の中を飛び交い、街の中は大騒ぎとなっていた。


これまではドラゴニア軍の凶暴性や国力を恐れて声を上げてこなかった市民が、目の前で起こった思いもかけない完勝で、フタが外れたようになっていたのだった。


リンツ卿は街に帰還したさい最高に、市民からの大歓声を受けた。


捕虜とした兵士たちは街に入れると市民からリンチを受ける可能性もあったことから、街の東にある鉱山の廃坑へと連れて行かれ、そこで一時的に拘留されることとなった。


彼らの処置はリンツ卿に一任されていたが、比呂から「捕虜は大事に扱っていた方がいいと思います。


労力としても使えますし、奴隷として売却したり、ドラゴニアに身代金を請求することにも使えるからです。


ただ、正規兵と元グリステン領民とは分けて扱う方がいいでしょう。


元グリステン領民の受け入れが困難な場合は、我々特別行政区が引き取っても構いませんよ」


というようなアドバイスは受けていたのだ。


そこでリンツ卿は正規兵に限っては尋問の後で鉱山の労働に回すことにして、元グリステン領民は雅彦に引き渡す方向で調整することにしたのだ。


また、元グリステン領民の中から数名は、彼ら捕虜を監視する役目を負う者もいた。


このようにして、ドラゴニア兵士の捕虜はグリステン領に多数ある鉱山や錬金場、また金塊などの運搬の仕事をさせられることとなったのだった。


リンツ卿はそれらの段取りを行うことに並行して、雅彦から送られてくるであろう商品の受け入れ体制を整える準備を商業ギルドと打ち合わせしていた。


こちらの担当者は、内政担当官(日本政府でいうところの官房長官みたいな役割)のウルリッヒに一任した。


雅彦が送ってくる商品は商業ギルドの倉庫で荷下ろしされるが、日本側の担当者とウルリッヒや商業ギルドの間で交換レートの交渉をする必要がある。


実はこの特別行政区側の担当者はエマが行うことになっていたのだ。


彼女には日本から送られていく商品をなるべく高い価格で取引きを成立させる責任かあったため、その任務が与えられることを知ってからは、かなり緊張していたのだ。


だが、これに関しては秀明や雅彦たちも最初はある程度の損は仕方ないものと考えていたのだ。


なんせ、日本という全くの異世界から持ち込まれてくる次元を超越したテクノロジーで作られている製品がどの程度の価値(この場合は金塊)に化けるか、全く想像できなかったからだ。


そこで、エマにはある程度の目安になる表を持たせることにした。


ライターの場合は金1グラム。小麦粉10kgに対しても金1グラムといった割と安易な値段の付け方だった。


ちなみに日本で金を1グラムで換金するとしたら、日本ではK20で約5000円、K24で6000円を超えるくらいだ。


仮に千円で仕入れた商品を彼方の世界に持ち込んで5倍の価格で販売したら、単純計算で仕入れ価格の4倍の利益があることになる。


本当のことを言えば小麦粉など重い荷物ばかりではなく、小さくて軽い製品なのに高価な価格で取り引きしてもらえる物ばかりを輸出したいのだが、それではあちら側の生活の困窮が解決出来ないので、重い荷物と軽い荷物は半々といった感じで送られることになった。


重い物はほとんどが小麦粉や酒、調味料、缶詰など口に入れる物で、軽い割に高値が付きそうな物は薬、胡椒、ライターなど生活必需品、化粧品、装飾品、お菓子類などであった。


これらは4トントラックで第一陣は送られることになる。


比呂が簡単に計算したところ、これらを全てK20相当の金塊に交換するとしたら、20kgもの金塊になりそうだった。


つまり、日本円にして一億円分の金塊が手に入る計算となるのだ。


それを聞いていた雅彦は「マジか!交易、最高だな!」などと感想を言っていたもんだが、おそらくだが、これら日本から送られた製品をビスマルク王国内や隣のアルターニャ王国などで転売すれば、10億とか、場合によっては100億ペニヒくらいとなる可能性があるわけだ。


(比較は難しいが1日本円は1ペニヒと思ってくれたらよい)


いきなり10倍や100倍になる訳ではないが、これだけ技術格差がある世界での交易は極端な値段で取引きされることもあるということだ。


ここまで大金の取り引きに、現地通貨であるペニヒを使ってしまうと、それだけで国内の貨幣が不足してしまう可能性があるため、最初から金塊での物々交換にしているのだ。



さて、この交易を成立させるには、スピスカ=ノヴァとパイネの間を結ぶ交易路に比較的近いドラゴニア軍が占領しているクロンパキー村が邪魔になるというわけだ。


雅彦たちは帰ったらすぐ、次の戦いの準備をしてクロンパキー村へと出陣していく。


日本の修理工場に出しているランクルたちはボディの補強を済ませて帰ってくるであろう。


比呂のランクル80や貴史のランクル70、影山のジープなどはボディの補強が間に合わないので、厚さ1センチくらいのゴムの板をボディに貼りつけて次の戦闘に向かうことになるだろう。


今回の戦闘では本当に得るものが多かった。


敵の矢による攻撃を防ぐには、敵の方向に対してクルマの向きを斜めにする避弾経始(ひだんけいし)の考えを導入することが有効であるということが分かった点。


敵の攻撃を真っ直ぐ受けるのではなく、斜めに傾けることで敵の攻撃を弾くことが期待できるのだ。


実際、これにはかなり効果があった。


また、敵の陣地を陥落させるために、歩兵を直接送り込ませて制圧させる戦闘方法も目処がついた。


今度の戦いはクロンパキー村の制圧ではなく、交易路を邪魔してくるであろう敵の騎馬兵の殲滅(せんめつ)であるため歩兵の出番はないだろうが、いずれはクロンパキー村は奪還しなければならない。


その時はうちの血の気の多いヴァイキングたちやマルレーネたち狩人(イェーガー)たちも活躍してくれることだろう。


いずれにても、敵軍の補給がままならない間に徹底して敵を弱体化させる必要がある。


「さあ、帰って美味い飯を食べてゆっくり寝たいな。


また明日から忙しくなるぞ!」


そう言いながら轍もないまだ平らな草原を疾走していく雅彦であった。

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