表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/494

戦いの反省会(秀明)

ドラゴニア軍の背後に回り込み、見事に敵の本陣への強襲と、敵将の首を獲ることに成功した秀明と影山は、敵兵の埋葬が済んだ日の夜、かなり遅くまで秀明の事務所で酒を飲んでいた。


秀明「そういえば影山の日本刀はどうなった?」


影山が取り出した日本刀はチルホールのレバーを柄に差し込んで振り回したこともあり、かなりあちこちに傷が入っていた。


影山「うーむ、結構傷んでいるなぁ。


研いでもらったり、メンテしてもらった方がいいかもな。


それにしてもあれだけ無茶な使い方をしたのに多少の刃毀(はこぼ)れ程度で済んでいるのは、やっぱさすがだよなぁ。


お前の日本刀はどうだった?」


秀明は壁に立て掛けておいた刀を取り上げて鞘から刀身を抜きながら言った。


秀明「それが不思議なほど傷んでないんだよな。


やっぱ、青江兼次、すごいわ」


影山は秀明の刀を貸してもらい手に取って色々な角度で見てみたが、刃こぼれはおろか、傷も歪みも全くない綺麗な状態が保たれていたのだった。


影山「いや、これはおかしいだろって。


結構、斬りつけた相手は甲冑付けていたよな?


それでこれだけ綺麗って何かおかしくないか?」


言われてみればたしかにそうだ。


なるべく敵の剣をまともに受けたり、硬そうな箇所を斬るのは避けていたってことはあるが、何度かは派手に火花を飛ばしていたように見えていたからだ。


秀明は兼次を鞘に戻しながら、やっぱりこの刀には何かあるんじゃなかろうか?と思うのであった。


まぁ、確かめようのない事なので深く考えるだけ無駄なので、別のことを考えることにした。



秀明「日本刀を安く研いでくれる業者はまた探しておこう。


美術品として使うわけではないから、極端に綺麗に仕上げる必要はないので安く研いでくれればいいだろ。


また、予備でもう一振りくらい買っておいてもいいのかもな」


影山「ああ、そうするわ。


これは使いやすいのは使いやすいけど、俺はもう少し頑丈な刀でもいいかな。


今回みたいに即席で薙刀(なぎなた)みたいにして振り回すとなると、もう少し頑丈にできている方が安心できるわ。


たまたまチルホールのレバーが上手いこと使えたけど、専用の柄をあらかじめ用意しておいてもいいかもな。


両手で持って振るえたら、攻撃力は倍増するぞ。


やっぱり長柄の武器は怖えぇわ」


秀明「薙刀(なぎなた)、怖いよな。


あんな鋭い刃を慣性力で足元に攻撃されたら、避けようも止めようもないもんなぁ。


両手で持った日本刀でも受けたら受けた腕ごと持っていかれるし、足元は避けるの困難だしな。


確か薙刀(なぎなた) というか刀身がやたらと長い日本刀は鎌倉期の頃、全盛期なんだったよな?


なんで廃れたんだっけ?」


影山「確か長槍を使う集団戦がメインになったんで廃れたんじゃないか?


横一列に並んで穂先をならべて突いたり、叩いたりする槍は集団戦に向くけど、横方向に()ぐ使い方をする薙刀は集団戦で使いにくいんだろ。


鎌倉期によく使われた柄がやたら長い日本刀は確か長巻(ながまき)って言うんだぜ。


そういや武蔵坊(むさしぼう)弁慶(べんけい)とかが持ってる武器は薙刀(なぎなた)だったよな」


秀明「ああそうだな。


俺がまだ小さかった頃、家に十字槍の実物があってだな。


加藤清正(かとうきよまさ)とかが使っていた物のレプリカみたいな奴。


あれ、凄かったんだぜ。


柄が樫の木でできているんだけど鉄みたいに硬いんだよ。


あれで殴られただけで死ぬんじゃないか?って思ったね。


しかもその先に鋭い刃が十字型で付いてるんだから、どれだけ人を殺したいんだよって思ったことがあるよ。


今回の戦いで、傭兵たちが長さ4メートルの鉄パイプの先に鍛造のナタを溶接して固定した長槍を使ったみたいだけど、雅彦曰く『鉄の暴風で血の雨が降った』と表現してたよ。


彼らが使っていた長槍の大半は破損していたみたいだけど、ナタが折れたり溶接が割れただけでなく、あの鉄パイプが折れ曲がっていたものも多くあったらしいから、アレも消耗品ってことみたいだな。


もう少し太いものか肉厚なタイプを探してもいいのかもな」



影山「あの槍を作ったのは誰だ?比呂君か?」


秀明「そうだ、ただ奴も今後は別のことで忙しくなってくるので、武器の製作やメンテナンスは傭兵隊に任せたいと言ってたな。


俺の弟に異世界側に武器の製作工房を作る段取りもしてもらわないとな」


影山「今回はたまたま重傷者が出なかったからよかったけど、もっと大きな戦闘が起こると移動型の手術室が要るだろうな。


今後、他の街と交易するのであれば出張病院などもする可能性があるんで、それらも用意したいな。


明日にでも健康診断で使う大型車を改造したクルマの中古とかないか探してみるわ。


細かい仕様を指定して新品をオーダーしてもいいけど、到着に一年掛かるとかだと間に合わないだろ?


まあそれもやっておくけど。


あと、あちらの世界に病院を作ろうとしてるけど、これは医師や看護婦、医療事務がセットで必要なんでこの人選にももう少し時間がかかる。


当面は俺一人であらゆる事を兼任しないとダメみたいだな、まあなんとかしてみせるよ」 



秀明「俺も当分、忙しいままだな。


傭兵隊の軍事訓練や武器の製作やメンテナンスは雅彦に任せれるけど、マルレーネ率いる特殊部隊の戦闘技術はどちらかというと俺の守備範囲だからな。


彼女たちがわずか8人であそこまで強いのは、あくまでも『森』というゲリラ戦を仕掛けやすい地形があってこそだ。


また幸いなことにこの世界には近代的なゲリラ戦のノウハウなどは全く確立していないので守れているだけなんだけど、まだまだ彼女たちに教えねばならないことは多いし、試してもらいたい戦術とかもあるからな。


敵にとんでもないゲリラ戦の達人たちが今後、現れないとも限らないし、油断はできないんだよ。


また、村や増えつつある軍隊の食事や生活必需品、娯楽や武器などを補充する兵站(へいたん)の構築も俺の担当だからな。


比呂も手伝わせるけどな。


俺の鉱山の敷地内に今作っているチルドとドライ用の物流倉庫が出来れば かなり効率よく物資の補充が出来るようになることは間違いないけど、大きな問題が解決できてないんだよな。


それは『誰がこちらの世界から異世界へ物を運ぶか』ってことだ。


今のところ、この世界と異世界の間を行ったり来たりできるのは、小畑一族というか川北の血が入っている者だけに限定されているみたいなんだけど、


現時点では、俺(秀明)、雅彦、比呂、弟の秀二、秀二の息子くらいしかいないんだよ。


一族総動員して手伝わせてもいいかもしれないけど、秘匿性が高いことだから、誰でも彼でもいいから入れていいという訳じゃないしな。


難しい所なんだよ。


代案としては、まず一回の輸送で極力大量に運べる輸送量の大きなトラックかトレーラーを使うこと。


雅彦や俺などは大型持ってるからひとまず大型トラックをどっかから引っ張ってきたらいいわけだけど、全員運転できるように訓練して、なるべく全員で分担しないといけないよな。


あと、日本側の物流倉庫に運び込まれた商品を必要分だけ仕分けし、コマ付き台車に積み直しをする倉庫内作業員が必要だよな。


これは日本側だけの作業となるので普通の日本人を雇ってもいいんだけど、これもどうするかまだ決めてない。


秘密を保持する必要があるので、これも誰でもいいとは限らないんだよな。


まあ、何をするにしても面倒なことが多いし、予想以上に難しいわ」


影山「うーん、そっちもなかなか大変みたいだな。


それと、今回は仕方なくお前のクルマに乗って敵に襲い掛かったけど、次回からは俺様のジープを使うからな。


ショットガンかライフル銃を俺にも回してもらえないか?」


秀明「とりあえず二丁増やすけど、さすがにこれ以上増やすのはリスクが高いんだよな。


いくら田舎とは言え、なんでそんなに猟銃が要るんだ?と疑われたくないからな。


まあ、この鉱山に射撃場とかダミーで作って偽装工作しようと思っているが、派手にやるのはかなりマズいわ。


だから、今後はインパルス消火銃を四駆一台につき一機を用意しようと思ってる。


水のタンクも今の倍くらいの物を載せてやれば、日本刀とかの武器を使う機会は減らせるからな。


あと、これは比呂がやろうとしていることだけど、エア圧で射撃できるクロスボウを製作しようとしているみたいだな。


また、比呂はもっと強力な武器をいくつか作ろうとしているみたいだわ。


今回、マグネシウムの粉末などで作った閃光弾は、アーク溶接をしていて思いついた非殺傷兵器だったらしいぜ。


あれ、簡単にできたみたいに思うかもしれないけど、テルミット反応で強烈な閃光を発生させるのは、かなり試行錯誤が必要だったらしい。


作業場には大量の残骸が残っていたわ」


影山「あの閃光弾には助けられたよな。


サングラス付けていても残像が残って大変だったけど、アレで敵の馬が戦闘不能になったことが多かったから、あれも量産したいよな」


秀明「いちいち導火線に火を着けないといけないのが面倒なところだけど、使えるのは間違いないな。


あと、ワイヤーに電気を通してワイヤーを踏んだ敵兵を感電させるトラップも今回は一応使えたみたいだね。


最後はトラブルがあって使えなかったみたいだけど、電気を使う武器も非殺傷兵器として改良の余地があるよな。


この時代の異世界にはまだ電気の概念がないので、当分の間は効果が高いと思うぞ。


比呂が電気使った新たな兵器作るとか言ってたから、それも期待したいね」


影山「そういえば、高性能含水爆薬って使わなかったな、今回は。


アレ、使わなかったの、使えなかったの、どっち?」


秀明「ああ、いわゆるダイナマイトね。


今回は使わなかっただけだわ。


設置していた場所まで敵がたまたま来なかっただけだよ。


まあ、林道の入り口でいきなりドッカンやっても良かったんだけど、それだと敵の大将が逃げていたかもしれないからな。


アレは紛うことなく大量破壊兵器なんで最後の手段として用意してたんだけど、個人的には使わなくてホッとしてるんだよ。


使った後の悲惨な状況はさすがに見たくないだろ?」


影山「あーー……。確かになぁ。


肉片とか散乱した跡を誰が片付けるんだ?ってことになりそうだな。


まぁ、あれだけ大量の敵兵を埋葬はしたので、ある程度死体は見慣れたかもしれないが、バラバラになった死体は見たくないよなぁ…」


こうして、取り止めもない話で夜もふけていくのであった。

※ブックマークへの追加や評価をした上で読み進めていただけましたら幸いです。


評価は下の「☆☆☆☆☆」から入れることができます。


また、感想も書いて頂けましたら、とても著者は喜びます(^^)


高評価、悪評、なんでも構いません。


評価や感想は今後の励みとなります。


是非とも宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ