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なんでこんなところに異世界への入り口が?

源雅彦(みなもとまさひこ)…親父の鉱山で遊んでいたトラックドライバーはある日そこで異世界へと繋がる道を見つけてしまう。

そこには以前、強盗団を装った敵国の襲撃で男性たちがほぼ全滅していて女性たちばかり残された村があった。

最初は興味本位の手助けだったハズが、敵国からの再度襲撃を受け、彼の人生は一変していく。

親父や弟も引き込み、彼らが持つ知識や経験、特技などを駆使して村の人たちを数百倍以上の残虐な軍の侵攻から守り抜けるのか?

目指すは「味方の損害ゼロ!」

魔法も転生特典も露骨なご都合主義もチート能力もないこの世界で、生き残ることは出来るのか?

奇妙な異世界英雄譚が今、開幕する!

地平線が見渡せる一面の草原を疾走する10台の四輪駆動車がいた。


先頭を走る男は明らかに若い日本人で、彼が駆るクルマはランドクルーザーの中でも、もっともスパルタンだと言われている70(ナナマル)型であった。


そのクルマは全体に波板が張られ、明らかに戦闘用に改造されたクルマと思われた。


そのクルマの後ろには一直線で四駆が並び、右側の窓が開かれると銃身のような太い鉄製のパイプが全てのクルマから突き出された。


『ファイエル!(撃て!)』


男は号令をかけるとその銃からは一斉に多数の高速の徹甲矢が撃ち出された。


彼らの右側には数千、いや数万の鋼鉄製の鎧に身を纏った騎馬兵が地響きと咆哮をあげながら殺到していたが、それらの先頭は次々に男たちが撃ち出す超高速の矢に鎧を貫通され、転げ落ち、あるものは走りながら死んでいった。


それでも襲いかかる数万の騎馬兵たち。


その前方を一気に駆け抜けて、四駆の隊列は騎馬軍団の側面に回り込み、さらに攻撃を激化していくのであった。


四駆には日本人以外にも、中世の物語に出てくるようなバイキングのような格好をした者や、金髪をなびかせながら、銃のような形をした矢を高圧の空気で撃ち出す高速徹甲矢砲(エアバリスタ)という砲を撃ちまくる少女の姿もあった。


縦一列に並んだ車列は、敵軍の真っ只中に突っ込んでいく。


バイキングは雄叫びを挙げ、バトルアックスは騎馬兵を薙ぎ払い、日本刀を右手に持った男は、クルマを運転しながら身を乗り出し、敵の騎馬兵を刈り取っていく。


辺り一面は血煙と敵兵士の死体があふれ、その中を四駆の車列が一直線に切り裂いていくのであった。



…これは『単縦陣(たんじゅうじん)」と呼ばれている陣形と四駆を使って100万以上の敵軍を打ち破った、ある平凡な日本人の話しである。



………………………………………-


「一緒に走る奴がいなくておもんねぇな」


この物語の主人公である源雅彦(みなもとまさひこ)はランドクルーザー70の運転席に座ったままで独り言を漏らした。


ここは某県の田舎の山の中で主人公の親父が所有している鉱山で、現在でもロウ石というトイレのベンキなどの原料となっている白くてサラサラの石を掘っている場所であった。


彼は現在、25歳になっていたが彼がまだ小さい頃はこの山も非常に活気があり、遊びに来たら時たま発破の音が山に鳴り響いていたものだった、が、今は昔の面影はなく、あれほど多かった従業員もほとんど居なくて親父がひとりで細々と石を掘り出していた。


雅彦が乗っているランクルは「悪路走行用」にチューンした物になっていて、半ば放置される様になった鉱山の一部を這いまわって遊んでいたのだった。


この遊びは俗に「クロカン」と呼ばれていて、バブル前の頃は四駆ブームだのなんだのが盛んな時期もあって同じような遊びをしていた人もたくさんいたが、今ではすっかり廃れた趣味となっていた。


元々、この趣味を雅彦に赤ん坊の頃から教えたのは親父の小畑秀明(おばたひであき)であった。


彼の趣味は四駆でのクロカンに留まらず、エアガンを使って敵味方に分かれて戦うサバイバルゲーム(通称サバゲ)や、本物の猟銃を所持していたりと会社の経営以外にも多岐にわたっていたのだが、長男の主人公もその道楽者のオヤジの影響をモロに受けて、四駆やらサバゲにドップリと首まで浸かっていたというわけだ。


鉱山としては半分終わっている山であったが、四駆で走らせて遊ぶコースや、サバゲで遊ぶバトルフィールドとしては近県でもそこそこ有名になりつつあり、親父の商売の邪魔にならない程度に安く遊べることである程度の固定客を確保していた。


今日は日曜日ということで誰にも連絡を取らずにいつものように親父の山で遊んでいたのだが、不思議なことに今日は誰一人として遊びに来なかったので冒頭のセリフが漏れたわけだ。


この山では親父がもつユンボやブルドーザーでコースを自由に弄れるというメリットがあったので普段は四駆のコースとなっている場所のみで遊んでいたのだが、誰もいないのでたまには違うところを開拓してみようということになった。


そこで事務所がある広場から隣の山へ抜ける道が裏に延びているのだがそちらに車で侵入してみることにした。


こちらは平凡なただの道があるだけで、四駆で遊ぶには何の魅力もない道だったので今まで入ったことが全くなかったのだ。


その小道に入って5メートルもしない地点で急にグラッと頭が揺れるような感覚がしたと思ったら、全く見覚えの無い風景が前面に広がっていた。


さっきまで森の中の小道を走っていたのだが、いきなり丘の上の開けた場所にクルマごと佇んでいた。


「は〜?!」


真後ろを振り向いても、今来た道はどこにもない。


理解不明な出来事が起こり頭が混乱していたが、運転席から下を覗き込んでもちゃんと地面は存在していた。


ちょっと待てよ、こういう時、オヤジに言われていた事があったよな、


そうそう「分からないことがあればクルマから降りて自分の目で見て確認しろ」だ。


ドアを開け、4点式シートベルトを外すと、サイドブレーキをしっかり引き絞ってから地面に降り立ってみた。


うんうん、大丈夫、普通に立てるし、地面に生えている草も手で触れることが出来る。 


ランクルも変わりなくアイドリングを続けている。


試しに今来た道の方に歩いて行ってみよう。


クルマの後ろを過ぎると先程感じたあたまの揺れる感触と共に、鉱山の事務所の裏の道に人間だけ戻っていた。


「ヤベッ!クルマを置いてきた!」


と後退りすると、また全く別の世界の丘の上に出てランクルの真後ろに立っていた。


特に時間が進んだ様子もなく、綺麗な夕焼けが正面に広がっていた。


雅彦は歩いて丘の先にまで進んでみたら、眼下に周囲を壁に囲まれた集落を見つけた。


建物の数からして人口は多くて100人程度の小さな村であったが、建物は明らかに日本のソレではなく、中世ヨーロッパの映画の中などでよく見る感じであった。


「これは、いわゆる異世界って奴かな??」


こうして、主人公である源雅彦は、異世界と日本を繋いだ最初の男となるのであった。


…いや、なっちゃったのである。


 

こんにちは!羽衣子(ういこ)です!


「異世界開拓戦記」をご覧いただきありがとうございます!


この物語は「自分がいきなり異世界へと繋がって、そこで10万もの敵と戦うことになったらどうなるんだろう?」という単純な疑問からアレコレと悩みながら構造を練ったものとなっています。


例えば「異世界で火薬を量産すればいいんじゃね?」って思うかもしれませんが、硝石は?硫黄は?木炭は?どうやって集めるの?って疑問が出てきますよね(えっ、私だけ?)


日本に住んでいて、そこら辺にそれらが気軽に手に入る人っていますかね?


日本で入手し難いのであれば異世界ではなおさらでしょう。


ほんじゃ「それならば日本で硝酸カルシウムが入った化学肥料を大量に購入して異世界に持ち込めばいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、そんな事やったら目立ち過ぎてしまいます。


実際、この物語でも主人公はあらゆる困難にぶつかり、そのたびに知恵を振り絞って戦いの準備をしています。


この物語には、現代戦の知識や武器、過去の戦記から現代でも学ばれている戦略や戦術、日本で手軽に手に入り、それでいて目立つことがない意外な物などを駆使した要素をふんだんに盛り込んでいます。


いわゆる「ナーロッパ」の世界の美女たちと繰り広げられる、現代日本と異世界での英雄譚をお楽しみ下さい!


ブックマークへの追加や評価をした上で読み進めていただけましたら幸いです。


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[気になる点] 二話以降で説明されるのかもしれませんが、主人公と父親の姓が違うのは?
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