優しい優しい光に包まれて
「少し寄っていかない?」
カラオケやら動物園やら、1日じゅう散々遊び倒した私達を夕方の中、月光が照らす。
そうだね。
さすがにクタクタで、少し休まないと家にたどり着くまでに、力尽きてしまいそうだった。
全力で遊びすぎた......。
そんな私を見て笑う七菜さん。
いつもの公園のテントに着いた。
ガスコンロでお湯を沸かして、ホットココアを作ってくれる。
マグカップに、ココアの粉と、砂糖、お湯を入れて混ぜる。
「ほい、聲」
ココアを受け取り、ひと口つける。
ほあ~と、疲れた体に染みる。
即席の疲労回復だ。
「七菜さん、ホットココア好きですね」
「うん。コーヒーも飲むんだけど、ここぞという時は、あまあまのホットココアかな」
「私といる時、何気に飲んでません?」
「そ、そうだったかな?無意識だったよ」
それだけ意識してもらえるのは、バディ冥利に尽きる?
というより、バディ?
「ねえ、七菜さん。私達まだバディでいいのかな?」
ブホッ!
あつっ!あつっ!
ホットココアを吹く七菜さん。
高度なむせかたを.......。
七菜さんは、一呼吸置いて答える。
「そうだね。私達の関係は、もうバディであるけど、もっと深くなってしまった。心も体もつながった」
「やっぱり彼氏と彼女?」
「彼女と彼女だね」
進んだなあ......。
私達も。
最初からただれてた気もするけど、本当に繋がれたのかあ。
濃いい夏休みだったな.......。
この先の人生で、こんなに濃密な時間は体験しないと思う。
「.......聲、まだ小学生だぞ」
「その小学生に手を出したのは、貴女です」
まあ、背中を押したのは私ですが。
ぐぬぬ.....!
と、倫理に戸惑う七菜さんが、可愛いので言わない。
「聲が、可愛いからだろー!?」
「ひと夏の思い出にしますよ?」
キレ合ってみた。
なんだか細かい事は、どうでもよくなって、笑い合う。
2人だけで。
世界には、無数の人がいるのは百も承知だけど、それでも2人だけだった。
私には、七菜さんしかいなくて。
七菜さんには、私しかいない。
それで、いいと思えた。
「.......もしも。もしも、私達の仲を悪く言う。私達の仲を引き裂こうとする人間が現れたら、どうしますか七菜さん?」
「全力で戦い、排除するよ。聲は、当たり前の答えを言わせるなあ」
「ええ(笑)どうしても言質が無いと不安なんですよ」
「じゃあ主義じゃないけど、聲に習う事で、2人の宣誓にしようか。聲も、そんな輩が出てきたら戦うだろう?」
「もちろん戦います。七菜さんを守ります」
「これ、以外に照れ臭いな!これで、病める時も健やかな時も。っか」
「......七菜さん」
テントに2人の影が重なる。
「おやすみのキス?」
「バイバイのキス」
「また明日のキス」
月が照らす下、私達は3回唇を重ねた。
優しい優しい光に包まれた。
完




