丘のヒマワリ
念願の味噌ラーメンを食べ終えた七菜さんは、しばらくの間動けなかった。
動作停止?
その顔は恍惚として、食べ終わったのに、まだ味わっているような顔だった。
そのままの状態が、続く。
どうすれば?
5分。
店の外で、5分立ち尽くした私達。
「ふぅー、ごめん待たせた。次は、なんだったかな?思い出せない」
「大丈夫です、七菜さん。次は私がナビりますよ。歩くだけ歩いて下さい。意識は飛ばしてていいんで」
買ってもらったスマホで調べて、バスの停留所まで歩く。
何人かの、観光客が並んでいた。
ほどなくバスが来て、私達は乗り込む。
乗る時に、券を取る。
「おっと、定額じゃないんだね。聲は知ってた?」
「はい。予習済みです。この券があれば、どこから乗ったか分かり、払うお金も変わると」
我ながら可愛くない返し方。
そういうつもりじゃなかったのに。
しまった......。
くしや
くしゃ
麦わら帽子を脱いでいる、私の頭を撫でる七菜さん。
七菜さんは微笑んで、
「聲は偉いなあ~。将来大物の女傑だなあ~」
顔が熱くなった。
もう!
そういうとこですよ、七菜さん!
でも、私も意識し過ぎだな.......。
私は澄ました顔に戻して、スマホで七菜さんを撮る。
七菜さんも、私をパシャリとした。
「日野ヶ丘~日野ケ丘~。バスが停止します。近くのポールをつかんで動かないで下さい」
アナウンスを聞いて、私達はバスを降りた。
小さな丘を目指して、少し歩く。
たくさんのヒマワリりが咲いている。
──私達は、小高い丘を登る。
えっちら、おっちらと登っていく。
前を、小さな体の聲が先導している。
元気だなあ......。
私も女子高生だけど、かなわないや。
「七菜さーん!着きましたよー!てっぺんです、はい!」
一足先に丘を登りきった、聲が手を広げて私を導く。
導かれるまま、後ろを向いた。
辺り一面の、ヒマワリ畑だった。
目につく光景が、ヒマワリの黄色で満たされていた。
聲が、私の視界に入ってきて笑顔で言う。
「スゴいですね!!夏は暑すぎて好きじゃなかったけど、このヒマワリを見たら悪くないと、思います」
聲。
ヒマワリにも負けない笑顔。
笑顔が増えたなあ。
どんどん可愛くなっていく。
トクン。
心臓が脈打つ。
私も聲が好きな事を、改めて確認した。
続く




