待ち合わせ
「待ち合わせをしよう」
「なんで?七菜さんのテントまで迎えに行くよ?」
「うん。それはありがたい。いつもの日常には感謝しているよ?でも!日常からはみ出した非日常の、聲との初旅行だよ!?」
「なるほど。少しの緊張感を持って行きたいと」
「さすが聲。言わんとする事を、一言で十察するね。小学生レベルじゃない。そう。特別なイベントにふさわしい始まり方で行きたいんだよ!」
「さすが変態さん。もう何かのプレイの前兆としか、思えません」
「それが理解出来てしまっている時点で、聲!君もコチラ側だ!」
「ぐっ!?」
──なんてアホなやり取りをしてたなあ
と、待ち合わせに15分前に着いた私。
子供向けの、小さなサイズの旅行カバンをコロコロと引いてきて、街の駅に着いた。
白いワンピースに、赤いサンダル。
まだ強い日差しに対応して、麦わら帽子。
こ、これでオシャレできてるだろうか?
自信は無い......。
旅行の事は、お母さんが渋るお父さんを説得。
というより鶴の一声。
「七菜ちゃんとだろ?楽しんできな!」
旅行の事も、待ち合わせにしていくオシャレも、お母さんが見てくれて、GOサインを出してくれた。
だから、大丈夫とは思うんだけど.......。
「おーい、聲ー!」
左斜め前から、七菜さんの声が聞こえる。
そちらに目を向けると、七分袖のピンクのスリーブに、白いスカート。
同じく、白いサンダルに、金髪アタマにかんかん帽
。
そして、大きめなトランクを手にして、こちらに元気一杯に手を振ってきた。
七菜さんは、息を弾まして、
「ごめん。待った?聲の事だから早いとは、思ったけど」
「大丈夫です。七菜さんの事だから、遅刻しないか少し心配でした」
「言うね(笑)まあ、否定出来ないか。聲、余所行きのお洒落して。似合ってて可愛いよ」
「七菜さんも。何か、渡世人の旅人!って感じで格好いいですよ。七菜さんらしいです」
互いのファッションを誉め合いながら、駅のホームに向かう。
良かった~。
七菜さんが、可愛いって言ってくれて。
ナイス!お母さん!
ゴトン
ゴトン
プシュー
目の前に、通勤電車では無い、完全に遠距離用の特急電車が止まる。
その赤い車体が眩しく映る。
七菜さんが、パシャリと手にしたスマホで、写真を撮る。
私も手にしたスマホで、パシャリ。
「えっ聲、スマホ買ったの!?」
「はい。旅行用に、万が一の為に持たされました」
「そっか。後で、ライン交換しよ」
私達は、その遠距離用の赤い電車に乗り込んだ。
七菜さんとの2人旅行の始まりだった──
続く




