福引き
「ち、ちがっ!七菜さんが、七菜さんが!」
「言い訳不要!」
ゴチリ!
私の脳天に雷が落ちる。
鉄拳制裁。
頭に丸いたんこぶが、プクリと出来る。
「七菜ちゃん、七菜ちゃん。そこか!」
鬼と化しているお母さんが、片足をあげてスススッと滑るように移動する。いくつもの影を作りながら、一瞬で物陰に隠れていた、七菜さんの前に立つ。
あ、阿修羅閃空。
殺意の波動.......。
ゴチリ!
「むすめさんをたぶらかして、ごめんなさ~い!」
七菜さんの脳天にも、一撃を落とした鬼(お母さん)は、何かを七菜さんに渡しながら買い物に戻っていった。
「アンタたち馬鹿ばっかりやってんじゃないよ。人様に迷惑かけなきゃいいけどさ。これやる。好きになさい」
あいた~!
と、頭を押さえている七菜さんを、私はジト目で見た。
自分も、鉄拳の落ちた頭を押さえながら、七菜さんに抗議する。
「七菜さんが、置き去りにした」
うすら笑いの、苦い笑顔を浮かべながら、七菜さんは、言い訳しようとする。
「聲、ごめん。ごめんなさい!あんな殺意の固まりを察知しちゃったら、誰でも身体が勝手に逃げるよ!」
「私は気づきませんでしたが?」
「そりゃあ、聲がにぶい.....」
私も、ボウッ!と、殺意の波動を発動した。
「ひ、ひい!これは家系なの!?血筋!?」
「ウチのお祖母ちゃんが、1番怖かったですよ?で、七菜さん。お母さんから何を貰ったんですか?」
「ん。......これは、商店街の福引券!10枚も!」
「んじゃ、それ没収」
「えっー!?」
当然でしょ。
私を見捨てた七菜さんが、私に逆らえるとでも?
ジト目で見つめたら、七菜さんは小さくなった。
さて、何が当たるんだろう?
商店街の福引か。
たまにやってるのを見た事はあるけど、やった事はないな。
.......!!
一等
センテンドー25
発売直後の、欲しかったゲーム機!
予約が間に合わず、手に入らなかったヤツ!
転売で、目から火が出るぐらいふっかけられて、頭に来たヤツ!
私は、それだけを目に焼き付けて、七菜さんをいざなう。
「七菜さん、行くわよ」
「は、はい!」
もう1等を当てた気分で、肩で風を切りながら福引きの会場へ向かう私だった。
続く




