商店街に鬼がいた
私も七菜さんも、お墓参りを終えて、なんだか肩が軽くなったような気持ちで、帰り道。
晩御飯の用意のために、主婦達でにぎわう商店街のアーケードの中に入る私達。
先ほどから、少し雲行きが怪しかったけど、私達がアーケードに入ったと同時に、雨がザッときた。
足早に、駆けてくるおばさん。
遠すぎて、完全にびしょ濡れのおばさん。
予測して、傘を差すおばさんは1人だけ。
ドヤッ!ってしてた。
「運がいいですね、私達。日頃のおこないでしょうね♪」
「......いや、聲。私は、日頃のおこないなど信じない。私が晴れ女だったのだ!」
「いや、めっちゃ降ってるし(笑)こないだの家に来た時も、ゲリラ豪雨凄かったし(笑)」
ドヤッてる七菜さんに、笑いながら突っ込む。
七菜さんも大したダメージを受けず、商店街を見てまわる。
夕方時の、晩御飯前に。
各店から、非常に美味しそうな匂いが、顔を掠める。
七菜さんも、自分の晩御飯用に色々みていたが、悪魔の誘いを私に向ける。
「.......聲。買い食いしよっか?」
「いけません、七菜さん。晩御飯が入らなくなります。お母さんに怒られます」
ツイと人差し指を差す、七菜さん。
指した先には、精肉店が。
揚げたてのコロッケのいい匂いが、ここまでただよってくる。
「仕方がなかったんだ。聲は、七菜さんに強引に誘われて、嫌々付き合わされたんだ。私のコロッケが食べられないのか?と言われて」
「な、七菜さんなにを?」
「大丈夫。お母さんにバレた時は、私に逆らえなかったと言えばいい。聲は悪くない。コロッケを食べても、聲は悪くない」
──なんだか、頭も目もグルグル回って、気がついたら、七菜さんと2人、揚げたてのコロッケを手にして、アツアツのところを頬張っていた。
「むほっ。むほっ。アツ!アツツ!お腹の底あったまる~♪おいしーね七菜さん!」
「.......クククッ精神年齢が高かろーが、子供は子供。あっけないものさ。うまっ!うまっ!」
七菜さんが悪い顔でブツブツ言いながら、コロッケを頬張っていた。
なんでだろ?
まあ、いいや!
「な、七菜さん!みたらし団子が!出来立てのみたらしがー!!」
「よし!聲、確保ー!!」
ノリノリでアホな感じで、この後、磯辺焼きと、ジャンボフランクに、アメリカンドッグと制覇した私達だった。
幸せ一杯、腹一杯の私達だったけど、何か忘れている気がする。
「ねえ、七菜さん。私、何か忘れてる気がするんだけどなんだったかなあ?」
隣にいたハズの七菜さんが居ない。
代わりに目の前に鬼がいた。
「聲。あんた買い食いしたね?」
滅殺豪波動を打つ寸前の、私のお母さんが鬼になっていた。
続く




