今度言おう
「落ち着きましたか、七菜さん?」
「ありがとう、聲。」
抱き合っていた身体を離す。
七菜さんが、少し照れくさそうに言う。
「私は年上なのに、聲の方が大人だ」
「自分でも小学生と思えないですよ。私にも、もっと甘えさせて下さい」
クスリと、笑う私達。
シリアスなシーンはお終いという事なんだけど、
「ついでですんで、私の家のお墓参りもしていいですか?」
「えっ!?まさか同じお寺に、聲のとこも?」
「はい。こないだ家族と来たんで、簡単にお参りだけ。七菜さん紹介しときます。お祖母ちゃんと、約束したから」
「サクッとしてるなー。確かに、シリアスは終わってたんだな。えっ、ちかっ!!」
お寺の敷地内を、1分もかからず歩いて到着した。
サクッとテンポアップで。
はい、ここですよー。
「ほんとだ。筑波家之墓。なんだか不思議な、縁を感じるよ」
「あの鈴の夢を視た時に、亡くなったお祖母ちゃんと会って、七菜さんの事伝えてね。また連れてくるって言ったから、ちょうどよかったの」
「そうなんだ。私の事、な、なんて伝えたの?」
「ひねりもなくねー、七菜さんとほとんどおんなじ事!」
私はクスリと笑い、七菜さんからブーイングだった。
「ちゃんと言葉で言ってよ、聲~」
今じゃないな。
今度言おう。
続く




