ボーイッシュな2人
蝉が鳴いている。
ジワジワジワと、命を枯らして鳴いている。
夏休みに入ったばかりなのに、もう暑い。酷暑だ。
小学生の私に制服は無いけれど、
隣の七菜さんも、もう私服姿だ。
小麦色に日焼けした肌に、真っ白のワンピース。
からんと、サンダルを履いて涼しげな格好。
髪の毛は、ボーイッシュにショートな七菜さんだった。
「見た目、男の子っぽい方が好きですか?聲ってば、チラチラ見ちゃって、まあ」
ニシシッと笑う七菜さん。
七菜さん、なんだか喜んでませんか?
いい事あったみたいでよろしかったです、はい。
「という、聲もポニーテールに、半袖、半ズボン。白いふとももがまぶしい!いやー完全にショタですな」
七菜さんが、変態くさい事を言う。
でも見た目、ボーイッシュな女の子なので、変態性は、薄められて感じる。
しかし、白いふとももて.......。
言われて私も.......うん、特に恥ずかしいとか無い。
こういう発言に、嫌らしさを感じないのは、七菜さんの特性だろうか?私が変?
まーそうかもしれない、ないかもしれない。
どっちもかも知れない。これが1番ありそう。
ツラツラ考えていたら、靴ひもがほどけて踏んでしまった。
きづくの遅くて、あっ!と思った時には、ズシャアー!とこけていた。
「あ.......た...たた.....!」
「聲、大丈夫!?ごめん、助けようとしたけど間に合わなかった。膝擦りむいてる!水で濡らして拭いてあげる。ちょっと我慢して」
痛た!
しょーもない事考えたせいかな。
その罰当たったかな?
「んじゃ、聲。私に乗っかって?おんぶして行くからね」
「う、うえ。ちょっと七菜さん!?」
四の五の言う前に、ワサッ!と私を担いでしまう七菜さん。
ほっそりした体つきに似合わない豪快な担ぎ方だった。
なんかツボに入ってしまった私は、笑ってしまう。
「......クッ、クッ!アッハッハッ!」
「変なとこでツボるなー。聲も変だよなあ」
ひとしきり笑って、落ち着いて。
七菜さんの背中に揺られてみたら。
やっぱり、変な安心感がある七菜さんの背中だった。
七菜さんも変な人だ。
肩に手をまわして前の景色を望む。
「ほら、あれが私のバイト先のコーデュロイだよ」
──私の前に一軒の喫茶店が現れた
続く