表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/95

お持ち帰り




「ちょっと、くすぐったい七菜さん。狭いんですから動かない。ていうか、今何時ぐらいですか?」



1つの寝袋に、2人の女の子が入ってモゾモゾしていた。



「夕方の6時ぐらいかな。そろそろ起こそうと思ってたんだけど、聲かなり深く眠ってたから」



「というか、七菜さんが裸なのは、もう仕方ないとして。どうして私も裸なんですか?自分で脱いだ記憶がないんですが?」



「いや、涼しくなってきたとはいえ、残暑厳しい日々。熱中症になってはと思い、脱がせてあげようとした次第で」



「何が次第でだ......」



頭をはたこうと、体を動かしたらモゾモゾじゃなくて、汗でヌルヌルと擦れあった。

お日様も沈んでないってのに、何してんだ。

いや、沈んでも年齢的にアウトだよ。



「大丈夫、聲!同性だからアウトじゃない!」



ほんとかどうか知らないけど、倫理的な意味でね?

それと、私が寝ていたから仕方ないとして、七菜さん寝袋入る意味なくない?




「えっなんで?」




凄いショックな顔された。

んじゃ、もういい。

いつもの事だし。

こーやって常態化していくのが、駄目なんだろな。

流されて、気づかない内にただれていく。

人は快楽に逆らえないのだ。



「前から思ってたけど、聲。あんまり小学生っぽい思考しないね」



「そーですね。大人びるというか。なんか、霊能あるそうですし」



「ふーん。私は無いなあ。ん?聲その手に持ってるの何?」



七菜さんにうながされて、自分の手を見てみた。

七菜さんに突っ込むのに忙しく、気づかなかったけど、鈴を手に握っていた。




「こ、これは──」



「こんなの持ってた?聲、脱がす時こんな鈴無かったけどなあ」



夢の中で、妖かしの宿で。

誰もいない部屋でポケットに入れた鈴。

持ってなきゃいけないから拝借したけど、まさか現実に持って帰ってこれるとは!



「うん、この鈴。髪飾りに出来るね。私の鈴の髪飾りとお揃いね♪でもこの鈴鳴らないね?錆びちゃってるのかな?」



「そ、そんなハズは。夢の中ではチリンチリン鳴いてたのに」



「ふふっ。聲の言う通り、本当にその力がその鈴を、夢から持って帰れたのかもね」




「なんだろーか......」




夏の夕暮れのテントの中で、裸のせいでクシュン!と小さなくしゃみをする私だった。





続く





















































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ