映え!
「最後に「私も中身オッサンなんですよ」って言う時の、月見そばの卵の黄身を飲み干した、唇から見えた赤い舌!いや~エロかったな~。ほんとに小学生かよって!」
「隣の女子高生に、色々お世話になりましたからね。って、オッサンの前に乙女ですから」
「乙女か~。乙女は、立ち食いそば行かないよ~?」
「帰ってきますよ?ブーメラン。だけど、そんなに言うなら乙女らしく、スイーツとシャレこみますか?七菜さんに出来ますか?」
「安い煽りだね。乗った!聲も出来んの?やっちゃったね」
かくして、中身オッサンの乙女2人が、女の子出来んのか!?
やってみま~す♪
ということで、まずはタピオカ飲んでみようか。
「うおおっ、スゴい行列!タピオカだけでこんなに人が並ぶなんて!私の知ってる地球と違う!」
「落ち着いて、七菜さん。しかも、タピオカ専門店に来ています」
「流行りの極致を、垣間見た.....」
「しかし、七菜さん。こう行列に並んでいると......」
「聲もそうなんだ。分かるよ。何してんだろ?って不意に思って、イライラしたりするんだよね」
「私達、行列に向いてないですよね。だから、ファーストフード好きなんだけど」
待ち時間の間、気をまぎらわす為に、しりとりをする私達。
七菜さんの執拗な、「ら」攻めにキレそうになった。
砂糖そんなに取ってないけど、ネチネチした攻めにイラついた。
そうこうしていたら、番は巡ってきて無事タピオカを手に入れた私達だった。
「じゃあ、タピるよ!?」
「タピりましょう!」
ズボッ!
容器に刺さった太いストローから、タピオカらしき物体が口に入ってきた。
「げほっげほっ!?」
あまつさえ、口に入ったタピオカを飲む物として、流しこんだらまあ、ムセた。
「.......ウチら、女子向いてないかもね」
「さりげなくウチらって言わないで下さい、七菜さん」
かくいう私もムセていて、初タピの経験は散々だった。
しかし、めげずに次の本命を口にする私。
「パンケーキ行ってみよー!」
「しょ、正気か!?」
私達は、まあ、中身ドムに乗ってたオジサンぐらいには、オジサンな訳でして、だから、正気か?と問われれば、気が触れるギリギリなとこでありまして。
「ま、まあいってみよ~」
私達は、かくもキラキラ・キャピキャピとした空間に放り込まれた。
「た、耐えれん.....」
私達、やっぱ陰キャだよなーと思っていると、七菜さんが運ばれて来たパンケーキを、スマホでパシャリ!と撮影していた。
「持ってたんかい.....」
「ん?一応付き合いの為にねー。」
「な、七菜さんが!七菜さんが、インスタで、映え!とか言って、うわああああ!七菜さんの裏切り者ーーー!!」
「やらない、やらない(笑)めんどくさい。撮ったの只の記念」
なんか、その余裕も腹立つけど。
「聲の方がスゴいと思うよ?こういう流行りの店の、情報があるんだから」
「いや、ウチのお母さんミーハーで教えてもらって、はははっ」
「さ、さすが!?」
七菜さんの顔がひきつって、苦笑いのニガリツが高い。
ま、まずい!
「ふぉ、フォローミー?」
「聲、無理」
キラキラ・キャピキャピした空間の一角が、冷たいオーラを放っていた。
続く




