志村食い
「ほんとにやるんですね?止めませんから」
「うん」
「お腹壊しても、知りませんから」
「うん。ありがとう」
乙女達の虚ろな瞳に、光が宿る。
その瞳に意思が宿る!
なにがなんでもやってやるとう、決意が4つの瞳を
ギラつかせた。
「そんな小芝居どーでもいいんですよー!!」
「聲!?」
しゃく
しゃく
しゃく
私は勢いよくスイカを食べ始めた!
驚く七菜さんを尻目に、裏切りの志村食い!
「私より先に.....聲が裏切りなんて.....!聲!まだまだ甘いわね!志村食いは、こうするのよ!」
しゃく
しゃく
しゃく!
七菜さんが顔を左右にブラインドさせながら、スイカにかぶりついていく。
早い!
凄まじい早さで、1切れ食べ終えてしまった。
「......なるほど、そうやるのか!」
「ふん!」
!?
七菜さんの顔が、目が!
「ふん。いいスイカだ、大変おいしくて結構だ。これなら全部食べてしまいそうだね」
と、言っていた!
口の中のスイカで喋れないけど、それを「ふん!」の一言で、顔で、目で、表してしまっている!
.......私も、私も続くんだ!
しゃく
しゃく
しゃく!
「ふん!」
「ふん!」
しゃく
しゃく
しゃく
「ふん!」
「ふん!」
2人の乙女が、ふん!ふん!言い合いながら、スイカをむさぼり食べていた。
どういう光景?
──戦いは終わった。
回りには、スイカの皮が山と散乱していた。
腹の出た、腹ボテJKとJSがそこにはいた。
片付けるのに、動けない状態だ。
「......聲。裏切った、じゃなくて、私のためにしてくれたんでしょう?志村食い」
「七菜さん、アホですからね。ほんとに一個丸々食べかねないですから......」
「ふふっ......、余計な事を。と言いたいとこだけど、助かったわありがとう」
「だから、こういう小芝居いらないんですよ」
でも、本気で動けない。
お腹いっぱいになるって、こんなに苦しいのか。
苦しまぎれにお腹をさする。
と、七菜さんの手が私のお腹をさする。
あったかい.......。
「前に、幼女のお手当てもらったからね~。お返し♪現役JKのお手当て!」
「なら、盲腸にはさすがに効かなかったですけど、幼女のお手当てリメンバ~♪」
お互いが、お互いのお腹をさすっていた。
なんか産まれそうな気配。
妊婦さんて、こんな感じなんだろうか。
「あっ。お腹蹴った」
「うそ!?」
七菜さんが、お腹を押さえて言う。
ゴロゴロゴロ.......。
七菜さんのお腹が鳴ったのが、私の手にも伝わってきた。
「聲似の男の子かな♪」
「余裕あんなあ!?」
だいじょぶ、だいじょぶ~。
スルリと、私の手を自分の制服の下に潜り込ませる、七菜さん。
えっ、直で?
ツルツルとしたお腹をなでる私。
上気した表情の七菜さん。
小学生に、こんな事させて......変態!
不意に、触れた右の脇腹に、違和感を感じた私。
そうか、こないだの盲腸の後。
チョンと触れた。
「.......ん。まだ痛い」
なんか、私も変態の仲間に入りそうだったので、それ以上は触れなかった。
「撫でてくれていいのにー。聲になら痛くされてもいいのにー」
変態が、仲間に勧誘してくる。
「そういえばね?聲。盲腸の時の手術の為にね?」
「?」
「必要だからって、オケケ剃られちゃった♪......触ってみる?ツルツルだよ?」
絶望的に、頭が痛くなってくる。
今日、ちょっとネジ外れすぎじゃないか?七菜さん。
「ひう!?」
七菜さんが声をあげる。
ゴロゴロゴロ.....と、またお腹に雷様が来たようだ。
仕方ない、神様退治だ。
私は、七菜さんのお腹を優しく撫でる。
撫で回す。
「聲、お腹壊しても知らないって.....」
「言いましたよ?アレは嘘ですよ」
七菜さんの、首すじに顔をあてがいながら、お腹を撫で回して。
変態の仲間入りをした私だった──
続く




