姉妹
お盆の町内。
夕暮れにぼんやりと提灯に明かりが灯る。
手には百円。
お線香の固まりを買って、お地蔵さんにお参りをする。
そうすれば、あら不思議。
引き換えに、お菓子の束を貰える。
なんでだろう.......?
トリック オア トリート?
「あらあら、可愛い。蒼い浴衣が涼し気ね。はい、お線香。あら、お隣に大きな娘さんがいるわね。お姉さんかしら?」
「はい、この娘のお姉さんです!仲よさそうでしょ?」
「お姉さんなら仕方ないわね。はい、お線香。何かあやしい雰囲気の姉妹な気もするけど」
「お、お姉ちゃん。早く行こ!お菓子沢山貰おう」
「はい、はい。はぐれないように手を繋いでね」
危ない、危ない。
怪しまれてしまった。
とっさに姉妹って事になったけど、誤魔化せただろうか?
「いや、そういう意味の怪しいなのかな?」
七菜さんがよく分からない訝しみをする。
いや、浴衣もお揃いで姉妹で通ったからいいじゃないですか。
「うん。まあ、スールでも姉妹だし。まあ、いいか」
姉妹で、スールて言うんだ。
勉強になった。
今度、お母さんに聞いてやろ。
「無し無し!いいふらす類いの言葉じゃないよ、聲!」
「じゃあ、今日1日、姉妹って事で。よろしくお姉ちゃん」
「うーん。まっいっか」
お線香を立てて、両手を合わせる私達。
お線香の独特の匂いが立ち込める。
この匂い、私は嫌いじゃない。
嗅いでいて、なんか落ち着くのだ。
「こーゆーの、風情があるっていうんだろうな。私は、この雰囲気嫌いじゃない。むしろ、落ち着いて好きかな」
七菜さんとは、気が合うなあ。
同じように感じるの嬉しい。
違ったら、違ってたらで2人で、ワーワーやるのも楽しいけど。
手には大量のおやつ。
七菜さんも、食料な確保が出来てホクホク顔だ。
さて一旦荷物を置いて、本日のメインイベントへ。
河川からの、花火大会の観戦だ。
はぐれないように手を繋いで、言葉少なめの私達だった。
夜のとばりが下りてきた。
続く




