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気の利いた時間




足がつってしまったので、泳ぐのは止めて私達は、甲羅干しする事にした。

七菜さんがワナワナと震えて、


「サ、サンオイル.......!」


クワッ!と私を凄い形相で睨む。


「いいんだよね?いいんだよね、聲?」


「何がいいのか分かりませんけど、肩と背中だけお願いします」


そんなにですか、七菜さん。

何かもう天を仰いで祈りを捧げてるし。

段々気後れしてくるから私は、


「はい!ちゃっちゃっと塗ってください!」


「へいへい気が変わらない内に、はい。ほー。いや、これは。........!!」


「最後、黙らない」


七菜さんが、顔を七変化させてる気配がする。

なんだか鼻息も荒い。

フーッフーッ言ってて、大丈夫だろうか?


ぺたり、ぺたり、ヌルヌルっと。


「はあ......大変結構でした......」


「んじゃ、七菜さん。私も塗ったげる。うつ伏せになって?」


「うおう?!そっか、まさかの逆オプション!」


七菜さんが、顔面崩壊していた。

ニヘラ、ニヘラと、それはもう。

女子高生の乙女がしていい顔ではなかった。


「.......ほんっと。変態なんだから」


蔑むような白い目を、たぶん私はしていた。

七菜さんは、ゾクゾクした表情をする。

........変態。


「ちょっ!?聲、ヒモ外すの!?」


「跡がいきますからねえ。それは認めません」


うつ伏せになった七菜さんの、ビキニのヒモを外す。

今までが今までなのに、これだけで恥ずかしがる七菜さんがわからない。


スルリ。


ヌルリ、ヌルリ。


「うっひゃ~♪」


「七菜さん、恥ずかしいから。声出さないで下さい」


「声我慢してる方が、萌える?」


「やめますよ?」


「ごめん。続けて下さい」


.......んっ........んっ!

声を我慢してる七菜さん。

なんだろう。

私は、とてもいけない事してんじゃないかって、気になる。

酸欠で、ハッ!ハッ!と息が上がる。


「........終わりましたよ、七菜さん」


「残念。あー気持ち良かったー♪」


私も七菜さんの横にゴロリと、うつ伏せになる。

焼けるような日光の下に背中を向ける。

これで2人揃って、小麦肌の健康優良児だ!


なんか、不健康な事一杯した気がするけど忘れよう。


「忘れても、思い出させてあげる」


「だから、ちょいちょい思考に混ざらないで下さい、七菜さん」


七菜さんが荷物から、文庫本を取り出して。


「聲も読む?」


「何があるんですか?」


「アガサ・クリスティとか」


「........らしくない」


七菜さんから、「そして誰もいなくなった」を借りて、寝そべったままページを繰る。

2人して、肌を焼きながらミステリーを読んで。


気の利いた時間が過ぎていった──






続く




















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