プールサイドで
真夏の太陽が、私達を照らす。
水面に揺れている私達の肌を焼く。
やったね。
七菜さんの健康的な小麦色の肌とお揃いだ♪
私はまだこれぐらいの少女だけど、いつかもっとと思える様になるのかな?
目の前の七菜さんみたいに、優しいけど激しい乙女になれるんだろうか?
七菜さんがニヒリと笑いながら、私が捕まっている浮き輪を、泳ぎ引いてくれる。
プールサイドにたどり着いたら、七菜さんが先に上がって、私に手を伸ばしてくれて、水面から陸上に引き上げてくれた。
「聲。足大丈夫?」
「うん。ありがとう七菜さん」
「つったらまた言いな?こう......揉んで、伸ばしてイッヒッヒ」
「七菜さん、照れ隠しで魔女っぽく言わなくても」
「いや、半分、役得、役得ってのもある」
「......引き!」
「言葉で言われたの初めてかな」
2人でバカな事言いながら、笑い合う。
私の足を念のためにと気遣って、七菜さんは私の左手を取ってくれる。
この人、やっぱり紳士なんだよな。
乙女だけど。
「泳ぐのは止めて、お昼にしよっか。お弁当作ってきたよ、聲」
「え、ええっ!?どこまでゲーム差を広げれば気がすむんですか!七菜さん!?」
ただただ私が、お姫様役で甘やかされてるだけの図になってる.......。
七菜さん、むさイケメン。
「私がしたいから、してるだけだから。やらせて?」
うひゃーー!!
七菜さんつええーー!!
小学生の私をトキメかせて!
この変態紳士!
安心と安定の化けの皮を脱ぎ捨てて、七菜さんが攻め巻くッてくる!
「まあ、まあ。そんなに気にせず聲は、ただ気持ち良くなってくれれば。はい」
お弁当から、春巻きを一つお箸でつまんで、私の口に持ってくる、七菜さん。
「あーん。むぐむぐ。おいひー♪」
サラリと、あーん。をしてくる七菜さんと、余り考えずに、受け入れてた私。
春巻き、めっちゃ美味しい。
お弁当だから冷えてるんだけど、こんなに美味しい春巻きは、初めて食べた。
「不思議だね~。体使って泳いだだけで、冷凍の春巻きがこんなに美味しく感じられるんだから」
えっ?
冷凍の味に思えなかったんだけど?
忘れられないぐらい美味しい記憶になりそうなんだけど?
「聲が忘れても、そんときはまた作ってあげる」
笑顔でイケメン化の激しい七菜さんだ。
でも、寂しそうな笑顔に見えた。
立上がった私も、イケメンになる。
座っている七菜さんの頭を胸の辺りで、抱き抱える。
私は、何も言葉が出ない。
この人の寂しさを埋めようとだけ考えて、抱き締める。
「.......わかった。わかったよ聲。ごめん。ははっ聲、心臓ドキドキしてる」
「当たり前でしょ」
私は七菜さんを、もっとギュッと抱き締める。
七菜さんも私の背中に手を回して抱き締めた。
七菜さんは、安心したような表情をしていた。
私は、ドキドキして落ち着かなかったけど、七菜さんの安心した表情を見て、これで良かったのだ。
それだけは分かった。
続く




