下校時間
キーンコーンカーンコーン♪
夕暮れの中、下校の時刻を告げる鐘の音が鳴り響く。
私は、挨拶する相手もいないので、無言で席を立つ。
居ない。
学校内では居ない。
だけど、この校門を潜れば私が唯一挨拶出来る相手がいるのだ。
私は何度か咳をして唸り、声を整えて呼びかけようとした。
「七菜さ......」
声をかけた相手は、同世代のお兄さん、お姉さんと喋っていた。
声もしぼんでしまう。無理もない。
友達のいない私には、この輪に混ざるなんて、とても無理だ。
「じゃっ。おつでした」
仲間と愛想良くしている七菜さん。
七菜さんが仲間と別れて、私に向かってくる。
愛想じゃない笑顔を浮かべて。
愛想じゃないと思いたい。
それを見て、私は小学生だから.....
「七菜さんはロリコンなの?」
「ぶっ!!と、突然なに!?聲、どーしたの?」
「いいから答えて、七菜さん」
「いや、まあ、その。聲に会うまでは分からなかったけど、多分ロリコン......ごめんなさい、色んな人にごめんなさい」
「七菜さんがロリコンでよかった」
「えっ!?」
「でなきゃ私ずっと1人だったよ、1人ぼっちだった」
「本当に1人だったのは私だ。ごめん、言わせてごめん。謝る相手は聲1人だった!」
「そーですよ、七菜さん。私を1人にしないで下さい」
「分かったよ。君をもう1人にしない」
私は、思いつくままに、七菜さんの手の甲にキスをする。
七菜さんは、唐突の事にビクリ!と体を震わせ驚いた。
「!?」
「1人にしないって誓う。七菜さんも誓って」
手の甲とはいえ、キスをされた七菜さんは、ちょっとしたパニックになっていたが、私の意が分かったみたいで、しゃがんで背を合わせ、私の手の甲にキスを仕返した。
私も七菜さんも、何かを我慢して、ブルブルっと震える。
「七菜さん今はこれで許して」
私は七菜さんの手をとり繋ぐ。
指と指を絡めて手を繋ぐ。
私と七菜さんの、胸が爆ぜる。
「.......これは.......なんて.....生殺し......しかし、これも至福!」
あれ?七菜さんの性癖が歪んだ気がする。
七菜さんもだが、私も相当やらかしてる気がする。
夕暮れの中、2人で恋人のように手を繋いで帰った。
私は熱に浮かされた──
続く




