夜は明け月光も消え
月光に照らされた私達は、その光から逃れるように同じ寝袋で暖めあった。
「ちょっと七菜さん、あんまり動かない。肌が擦れます」
「ふふふ。だめ?」
「駄目ですね......。寝れなくなります」
「今夜は寝かせないぜ!」
「いや本当にその状況ですけどね!?」
「う~ん。聲が怖いなら我慢する~」
「......なんかすんません」
どっちにしろ寝れる気がまったくしない。
七菜さんも同じようで、後ろを見れないけれど、目がランランといった感じがする。
お腹の辺りに後ろから腕を回されて、ハグされているんだけど、七菜さんの体の柔らかいデコボコが、背中に当たって落ち着かない。
首筋にも吐息がかかり、夏の冷える夜ではあるけど、温かいんだけど目は冴える。
.......なるほど、尋常ではない。
私が川に落ちて、着替えを持っていなかったとはいえ、同じ寝袋で2人で裸ん坊。
友達以上のなにかひとつを望んだけど、やり過ぎだよ神様!
「聲は私の事好き?」
「好きですよ。私には貴女しかいないんですよ?」
「ふふっ。私も友達はたくさんいるけれど、本当に好きなのは君だけ」
「.......友達。私達は友達なんでしょうか?」
「それこそ友達以上でしょう?私には友達以上に君が必要」
「嬉しいですけど、何でそこまで......」
「君が独りで孤独だったから。私も本当は独りで孤独だったから」
「私が独りだったのは分かりますけど、七菜さんは友達いるじゃないですか?」
「聲。人と関われて、友達がいても、家族がいても、孤独というのは感じるものだよ?」
「......そうなんですか?じゃあなぜ私を?」
「あれだけ本音で友達がいない!って、凄い熱量で押された事無かったから。この娘なら、孤独を分かっているんじゃないかって」
「七菜さん変わってますね」
「聲に言われた!」
コロコロと私達は笑っていたら、もう夜は明けて、月光も消え、朝の霧が外は見え隠れしている。
顔を七菜さんに向ける。体も七菜さんの正面に向ける。
七菜さんの顔を下から見上げて私は言う。
「寒いんでギュ~て、してください」
「もう朝だけどちょっとだけ寝ようか」
私を抱き締めて目を細める七菜さんだった──
続く




