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一つの寝袋に2人




するり、スルリ、シュルッ


なんか衣擦れの音するな......。

後ろを見たら、七菜さんが脱いでいた。


「いや、ちょっ、七菜さん脱ぐ必要なくない!?」


全裸の七菜さんの姿がランタンの暗い灯りで照らされる。

悔しいけど綺麗。出るとこも出てる。じゃなくて、


「ほら、聲も体拭けたらさっさっと寝袋入っちゃいなさい」


「あっ、はい。着替えも無いし寒いですもんね」


イソイソと私は、冷える体を寝袋に滑り込ました。


「そして私も、同じ寝袋に入る!」


「何故に!」


何故に、女子高生と女子小学生が、同じ寝袋で裸で一緒に寝ているのだろう......。

誰か説明して欲しい。


「それはね。川で冷えた体を暖めるには、裸の体同士がいいのよ」


「七菜さんが説明してくれるんですね。いや、雪山の遭難じゃないんだから」


確かに、私達の関係性にもうひとつ何か欲しいと思ったけど、ちょっと刺激が強すぎる。


私の背中に七菜さんの暖かい肌が直接当たる。

安心より、不安のドキドキがして、七菜さんにバレないか気になって仕方ない。


柔らかい......。


「ふふっ」


七菜さんが笑う。

私はそんな余裕ない。


「お昼に、言ってたじゃない?そう、私は群れない。本当の心で。けどパートナーを探すのは普通なんだよ」


「どんな男性がタイプなんですか?」


私は、思いもしない事を言う。

七菜さんは、思ったまま言う。


「今くっついてる娘かな?」


「同性ですが?」


「私とパートナーじゃ嫌?」


「七菜さんしか、こんなに近い人いないから分からない」


「やだ。聲じゃないと、やだ。私は、付き合いは広いけど、聲がいい」


「あはは。初めての友達で終の棲家ですか」


「ん、聲が友達欲しいなら、私も橋渡しするけど、嫌々」


「別にいいですよ。私も七菜さんでお腹一杯です」


「聲!」


私を強く抱きしめる七菜さん。艶かしく二人の体が動く。

私の心臓が早鐘をうつ。

どうにかなる。自分じゃいられなくなる気がした。


「怖いです、七菜さん。優しい七菜さんがいい」


「ごめん、早かったね。これぐらいにしとこうか」


優しく私を抱きしめ直す七菜さん。

あったかい。安心する抱きしめ方。


「ごめんなさい七菜さん」


「ちょっと我慢するね。あはは。早く大人になりたい。初めて思った」


まだ受け止めれない。私はそう思った。

もうひとつ何か欲しいと思ったのに──








続く




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