大樹の影で
お昼になってしまった。
私は、朝の涼しい時間帯を散歩して回り、七菜さんは、文庫の小説をペラッとめくっていた。
そんな時間は早と過ぎ、
真夏の灼熱のお昼の時間がやって来た。
ジリジリと太陽の光が肌を焼く。
吸血鬼じゃなくても、死ぬレベル。
ああ、そうか。
七菜さんが、健康的な小麦色の肌って、これでなってたのか。
「暑いでしょー聲。涼みに行こっか」
七菜さんが私を誘う。
「私は大丈夫だけど、聲は色白だもんね~。移動するよ」
確かに私は、七菜さんに比べれば、色白のもやしっ娘ですよ~だ!
どうせひ弱だと思ってんでしょ七菜さん。
近い内に私も肌を焼いて、七菜さんとお揃にしてやる。
「聲は、お人形さんみたいな。透き通るような白い肌だからなあ。私みたいに焼けちゃ勿体ない。ほら、日影についた」
私は恥ずかしくなって、持っていた麦わら帽子を深々と被る。そして目にした光景に、声が出た。
「うわあ.....!」
七菜さんが、指で指した先には、物凄く立派な大樹があった。
南の島とかで生えてそう.....。
森の精霊出てきそうな雰囲気をまとっている樹だ。
「凄い樹でしょ♪私だけじゃなくて、皆ここで涼んでいくよ。キジムナーはまだ見た事ない」
「出てもおかしくないですね」
大樹の影に入った私達は、座り込んでくつろいだ。
木漏れ日がキラキラと溢れて私達を照らす。
昨晩の月下の光を思いだした。
昨晩は何故あんなに由々しくなったのだろう?
七菜さんは退かなかったし、
私も流せなかった。
ただ一緒に月の下の光で寝ただけだ。
ただそれだけの話になってしまう。
真夏の夜の夢だったか。
今も隣で、昼寝をしようとしている七菜さんだが、どれほど寝たら気がすむんだ。
真夏の昼の夢を見ようと言うのか。
大樹に持たれて、むにゃむにゃと、寝こける七菜さん。
私もご相伴に預かろう。
せっかくだから、七菜さんの肩にとんっと、自分の頭を乗せる。
昨夜の再現で、安心感を我が手に!
「聲、昼は暑いって」
七菜さんに冷静に返されて、プイっと七菜さんに背中を向けて、ふて寝を決めこもうとする私だった──
続く




