人肌の抱き枕
チュン、チュン。
あ~朝だ。
朝だよ。ど~してやってくるの朝?
寒っ!
夏場とはいえ、朝はやっぱり冷える。
「う~ん、抱き枕あったか~い」
フニフニして、抱き枕に顔をうずめる。
あったかい。これなら朝の冷え込みにも即対応!
いい仕事だ.....。
いつから、人類は人肌の温度の抱き枕を開発したのだろう.....?
この抱き枕があれば、人などいらぬ!
寝ぼけた頭で、一説打とうとしていた私に、
抱き枕から手が伸びて私の体をまさぐりだした。
ひゃ?!
目の前の暖か~い抱き枕は、もちろん抱き枕ではなく、人だ。女性だ。女子高生だ。
甘木七菜さんだ。
七菜さんも寝ぼけているのだろう。
腕枕してくれている手を曲げて、私の腰に手が回る。
うひゃわん!?
抱き寄せられて、お尻をサワサワされてしまった。
ドスッ!
瞬時に、ボディブローを入れる、私。
「ぬ、ぬおお......」
七菜さんが、女子高生が朝イチで出す声じゃない、うめき声をあげていた。
危ない、危ない!
朝チュンで、おはチュンで
ただならぬ、ただれた関係!
そんな記事が出来上がるとこだった!
七菜さんの為にも、私の為にも、情事の記事はご法度です。
「痛ててて.....!なんなの?途中まで、暖かくて、柔らかくて、気持ちよかったのに.....」
その点については、同感だったので否定は出来ませんが......。
私は、七菜さんを更に叩き起こそうと思いましたが、昨晩の腕枕をしてくれた七菜さんを思い出して、止めました。
朝までしてくれましたもんね......。
腕しびれたでしょうに。
「七菜さん、朝のコーヒーでも入れましょうよ」
私は、その無自覚の寂しがり屋さんに、朝のおねだりで、起床を促した──
続く




